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235 誕生

 我が産まれそうって、卵が割ればでてこれるよね?みんな聞こえてないのかな?


「お祖父様、卵が産まれそうって言ってます。アルお兄ちゃんのところへ行った方がいいと思います」


「ケビン、聞こえたか。あの卵が産まれそうなのか?」


「そうです、本人が言っているので産まれそうなのでしょう。アルお兄ちゃんのところへ行きましょう」


 僕はルーアンに抱っこされた。急ぐのでケビン様失礼、と言って抱っこされルーアンが急ぎ走っている。早いぞ。


「ルーアン、僕、重くない?」


「ケビン様は羽のように軽いですから大丈夫です」


 この会話、どこぞの異世界カップルの会話ではないか。シチュエーションは倒れそうになるヒロインをヒーローが抱きかかえ、真っ赤な顔をしたヒロインがヒーローを見上げ、重いので下ろしてください、ヒーローがふふっと笑い、羽のように軽いから大丈夫だよと颯爽と抱きかかえてていくというかんじ。僕がルーアンに重くないかと聞き、ルーアンは羽の様に軽いですって、俺はBのLではない。しかしなぜか僕の周りは若い女性率がない。ここはBのLの世界観ではないよな?兄様方、ブラッド、セドリックなどには婚約者や恋人がいる。最近事務官のローガンにも春が来たかもしれない。このルーアンも何やら女性のバラを送ったみたいだから、うーん、おかしい。僕の春はいつなんだぁ。


「ケビン様、唸ってどうしたのですか?」


「いや、人生について考えていただけだから気にしないで」


 また胡散臭い目見られてしまった。いつものことだからしょうがない、トホホホ。


 アルお兄ちゃんの部屋のドアから光が漏れている。どういうこと?お祖父様が勢いよくドアを開ける。まぶしい。


「お祖父様、ケビン来てくれたか。父上ももうすぐ来る。たまごっちゃんが言うにはもう少し魔力が欲しいって。そうすれば産まれると言っているんだ。みんなの魔力を補填してほしんだ」


 ブフッ、たまごっちゃん、パクってはいけないのでチャンをつけただけなのだが、それをアルお兄ちゃんが気に入ってしまったのだ。たまごっちゃんだよ?気にいる要素が全く分からないが、今のこの子の名前はたまごっちゃん。産まれたら何にするのだろう。僕の候補はドラべえ。ドラ助でもいい。ごんべい、ごんすけでもいいなと思っている。採用されないとは思うけど、僕の考えた名前をそっと入れておこうと思っている。誰かが気に入ってくれるかもしれないからね。


「アルバート、産まれそうと聞いたが、大丈夫なのか?」


 ケンおじちゃんが慌ててやってきた。


「光り輝いている.....」


「父上、産まれそうなので、魔力補填をみんなにお願いしたいです。みんなで一丸となればもっと早く生まれるかもしれませんので」


「ねぇ、たまごっちゃん、産まれそうなの?いっぱい魔力ほしい」


 卵に向かって尋ねた。


 ”やめろ、そのたまごっちゃんという呼び方は!なぜたまっごっちゃんにしたのだ、皆の前で言うのは恥ずかしいではないか。ほんと、ケビンの名付は最悪なのだ。皆に言っておく、ケビンが考えた名前は却下するように!魔力をいっぱい注いだら産まれるぞ。たくさんほしい”


 確かにたまごっちゃんと考えたのは僕だけど、つけたのはアルお兄ちゃんだ。僕が悪いわけではないのに、みんなが痛い子を見る目なのだ。


「ケビン、産まれた後の名づけは考えないようにな」


 ケンおじちゃんが酷いことを言う。


「えっ、もう考えてあります。楽しみにしておいてください。選ぶのはアルお兄ちゃんですから」


 ”アルよ、良い名前を付けておくれ、頼んだぞ。では、魔力を注いでくれ”


「.....では、魔力をみんなで注ぎましょう」


 クリスおじちゃんもやってきて、皆で魔力を注入した。


 ”おっ、良いぞ。良い魔力だ。力が漲る。う、産まれる”


 ん?殻を破って出てこないの?


 ”いちいち、ケビン、うるさいぞ。我のやり方で登場するのだ”


 登場の演出が大事なのか。なるほど。先ほどよりも光が強くなった、卵が宙に浮いてきた。みんなの視線が卵に集まる。


「にいに、まぶしいね」


「そうだね、ジュリ。でも目を閉じると産まれてくる瞬間が見えなくなるから、頑張って見ようね」


「うん、がんばる」


 ジュリがんばろう。たぶんもうすぐ出てくるよ。おおー、卵が回転しだした。そして光が大きくなる。


 パッカーン!


 パッカーン?って自分で言った?光で逆光になり黒い物体がいる。なんだ?


「我が産まれたぞ。アル」


 黒い物体は黒いドラゴンだった。逆光で黒いのではなく黒のドラゴン。おおー、可愛いドラゴンの子供。アルお兄ちゃんの腕に収まった。だけど、卵の時と同じおっさん臭いしゃべり方なんだよなあ。


「にいに、ドラゴンちゃん?かわいいね。めがクリクリと大きくてかわいいね」


「そうだね、(喋りはおっさんだけど)かわいいね」


 お祖父様やケンおじちゃんはドラゴンの赤ちゃんの前で最高礼をしていたので、僕達も倣う。


「ドラゴン様、この地上に誕生していただきありがとうございます。私は・・」


「よいよい、いつも一緒に生活していたのだから、もうそんな形式ばった挨拶はいらぬ。我はそなたの孫だぞ。アルの弟なのだから、我が一番下の弟だから可愛がるがよい。おい、フェンリル、我は弟なのだから可愛がるがよい」


「何が弟だ!お前の方が我より古いであろう。何がかわいがれだ。こやつが一番年寄りだから、お前は偏屈爺さんだ」


「はあああ、何言ってんだ、ボケ。我は可愛い弟だ。可愛がるがよい」


 何だかリルとドラゴンは仲が悪そうな雰囲気だなあ。昔から仲悪かったのか?


「そうよ、仲悪いのよ、この二匹。自己主張が強いよっていうかわがままなのよ。お互い譲らないし。あー良かったわ。私はポンコツだけどケビンの方で。こんなうるさい弟たちがいるなんて嫌だわ」


「「何がうるさいだ、お前が一番うるさくて、我がままだろうがー」」


 その件については同意見。アウチ、不意な猫パンチはおやめください、クルさん。


「ドラゴン様、では普通に話します。これから、アルバートと一緒に過ごしていくということですか」


「そうだ、従魔契約をしてやろう。良い名前を所望するぞ、アル兄」


 こうして、卵からかえり黒いドラゴンが産まれた。名前を決めてから従魔契約をすることになった。ふふふ、俺の考えた名前が選ばれたらどうしよう。みんなが出しあった名前で良い名前を決めることになった。どんな名前になるか楽しみだな。


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