233 ラパン家族、一件落着の巻
長男を背中に背負い、ラパンさん一家がやってきた。背中の子供は体調が悪そうだなぁ。無理させてしまった、ごめん。僕と同じ9歳。僕も小さいがこの子はもっと小さく痩せていた。そのほかにジュリと同じぐらいの6歳の女の子と4歳の男の子だ。まだまだ、子供達のためにお父さんは頑張らなければならない時期だ。職は失いたくないよね。
「ラパンさん、息子さん、うちの温泉に入らせてもいいですか?」
「え?お風呂?うちの子達はケビン様達のようにきれいにはできないです。ひ、酷いです。お風呂に入れなんて」
言い方まずった。
「ごめん、言い方が良くなかったね。お子さんが体調が悪そうだったので、うちにある温泉の効能で少しはよくならないかなと思ったのですよ。それにラパンさん達がもしうちに就職するなら、家族寮を作ります。そこの周辺には温泉が引かれているのでいつでも入れます。食堂もあるので、そちらで食べてもいいですし、自分達で作ってもいいです。ただ、うちは秘匿することが多いので皆さんに契約魔法をしてもらいます。それは必須条件です。あと、子供達は読み書き計算ができるように学校に行ってもらいます。最低限を身につけておけば、大人になった時に困らないと思うので、これも必須条件です。自分達のスキルの応じての学校も作る予定ですので、入学希望でしたら入ることは可能です。あっ、福利厚生のことを言わなかったですね。家族寮はこちらで作ります。料理を自分達で作る場合は野菜や卵などは保管庫に取りに来てください。もちろん王都の商店で買ってもいいです。料理教室などもしているのでぜひ参加してください。休暇日は仕事を絶対してはいけません。家族や恋人との時間に当ててください。就業規則はこちらを読んでください。その上で、長男くんに温泉に入ってほしいですね。ここに就職しなくても温泉に入ってください」
ラパンさんと奥様は頷き合って意志を固めていた。
「私はここで魔道具士として技術を磨いていきたいです。私達家族全員で契約魔法をします。どうぞよろしくお願いします。あと、温泉に入るだけでいいのですか?なぜ温泉に?」
疑問があり、不安ながらも深々と家族みんなが頭を下げていた。小さな子供達まで一緒に頭を下げていた。
「まずは長男くんを温泉に入れよう。みんなは食事をしていて。コッペル、使い方の説明してから食事をみんなに提供して。ルーアン、男の子を温泉に入れよう。イーサン兄様、いいですか?」
「ケビン、これも従業員特典か?」
「ロナウド兄様、そうです。みんなが最低限の生活、健康で生きる希望のある生活をしてほしいので、その第一歩です。では、ラパンさんこの子の名前は?」
「ケビン様、さん付けはしないでください。この子の名前はトッティです。トッティ、少しは挨拶できるか?」
「あの、トッティです。この様な姿でお目もじしてすみません」
すごく言葉遣いがしっかりしている子だ。お目もじしてなんて僕、使わないけど。将来有能かな?唾つけておこう。クククッ。
「じゃあ、トッティを温泉に入らせますね。ゆっくり食事していてください」
俺たちは温泉にトッティを連れて行き、ゆっくりと入らせた。バラの花びらを浮かせゴージャスだけど、トッティは目を瞑っていて全くバラのお風呂に興味がないようだ。でもバラはこの世界になかったから、やっぱり気にしていなかったのだろう。俺だって薔薇が浮かんだお風呂と泡風呂はテレビや映画の中でしか見たことがない。しょうがないことだ。うんうん。
「あの、息が苦しくないのですが、どうして?僕、動ける?どうして動けるの。え?」
「よかったね、トッティ。これからここにお父さんが就職して君達もここに住むから、温泉はいつでも入ってね。そうすれば元気になると思うよ。徐々に運動して体力つけてね。さあ、家族の元へ行こう」
トッティは元気に歩いている。来た時とは大違い。びっくりするだろうなぁ。元気に歩いてきたトッティを見てラパン親子は泣いて喜び、平伏して感謝された。それはやめて。
ちなみに借金はうちが肩代わりして払うことを約束した。
その後、どこに家を建てるかと話し合い、西地域に家族寮をたてることになった。ベリー栽培や野菜などを作っているのでそこで働きたいと奥様が言う。
「それらをお願いしたいのと孤児院の子供達の様子を見てほしいです」
もちろん二つ返事。よかった、大人の女性達も孤児院運営に協力してもらいたかったのだ。
西側地域が徐々に新しい家が建つのでそろそろ他の家々の表を変えて行きますか。ルーベンスと教会の司祭様に相談だ。外観も新しい方がもういいよね。
その後のラパンは小さい魔道列車とメリーゴーランド作りに精を出していたことは言うまでもない。
奥さんのアニータさんの愚痴は魔道具士の人達と検討、討論している姿のラパンはかっこいいが話が長すぎる。魔道具士って、なんでずっと魔道具の話で盛り上がれるのか、不思議、ということだ。みんな魔道具愛がすごいので延々と話ができることと酒が入るともっと長いんだよと付け加えておいた。ラパン、程々に!
そしてこの件に関しては一件落着。カッカッカッカァ。
あとは王宮で精霊達とリル、クルを貴族達に紹介して反響はいかに!こうご期待。




