229 歓迎会とお疲れ様会開催2
父様が僕を呼んでいる?なんだ?また厄介事かな?
あっ、イーサン兄様達魔道具部門の人達がまたマニアックな話を皆で議論している。その輪に入って、お礼と状況の話を聞いた。
「イーサン兄様、お疲れ様です。大盛況でしたね。やっぱりドライヤーの売れ行きはすごいですね」
「ケビン、そうなんだ。それと冷蔵庫、魔道コンロの売れ行きもすごかった。特に飲食業の人たちに大人気だったよ。言われたのは凍らす方はまだですかって。たぶん、テイクアウトコーナーのアイスクリームとかき氷でそう思うようになったのではないか。パティシエールのところのショーケースも売ってほしいと言われたよ。まだ商業化はしていないのでそのうち考えると言ったら、すぐ売ってくださいと圧がすごかったよ。でも形になり、皆が喜んで買っていく姿を見ると、また頑張らなくては思うよ。おもちゃコーナーのオルゴールも爆発的に売れているようだから、音楽を増やさないといけないぞ、ケビン。皆、心が穏やかになるらしいぞ。何か付与したのか?」
「あー心の安寧を願いましたね」
「なるほど、また曲の形成を作ってほしい。別な曲もご所望だよ」
「はーい。今度は心が温かくなる音楽にしますか。それにしてもみんな、料理とお酒足りている?あれ?ビールサーバーは出さないの?」
「すでに売り切れだよ。お酒部門ですごかったらしく、結局今日の分を全部使い切ったんだよ。もう少し量産しないといけないみたいだ。ビールサーバーの量産も頼まれたよ。はあ、忙しい。魔道具士を増やしたがまだ足らない。領地に新作は発表会のため戻らないといけないし本当に忙しいよ」
「そうですね、イーサン兄様は領地で婚約式もありますからね、忙しいですね、ニッヒッヒ。あれライザお姉ちゃんは何処に?」
頭をワシャワシャされた。真っ赤になったイーサン兄様。兄様の婚約者のライザお姉ちゃんも手伝いに来ているから、忙しい合間でも毎日毎日愛を育んでいるだ。
「こら、揶揄うんじゃない。東地域からも芸術スキル、魔道具士の人たちがやってきたので、そちらにいると思う。幼馴染や友人も来たみたいだから、話をしていると思うよ」
ライザお姉ちゃんの幼馴染や友人達が来てくれたなら安心だ。ロナウド兄様の恋人のステーシーさんもくればいいのに。イーサン兄様の次がロナウド兄様か。
さて父様のところに行かなくては。どうせ飲んだくれていると思うけど。じいじ達、国王陛下であるオスカーお祖父様まで一緒になって飲んでいるんだから。ケンおじちゃんに叱られるよ。その前にクラリスお祖母様に怒られるのか。怖いよー。
やっぱり、父様、両お祖父様達、ライアン様、ドバイン様、ウェルネス様、そしてギダン達ドワーフ達が楽しそうに飲んでいる。まったく、もう。
「父様、そんなに飲んでいると母様達に怒られますよ!」
「わははは、今日の反省会をしていたんだよ。もっと量産しないとダメだなぁと。すごい売れ行きなんだよ、ケビン。あと飲み比べセットがすごいのだ。飲み比べは良いぞ。味が違うのだよ。びっくりだよ。そしてビールも味が違うのだ。ケビンも飲めれば良かったな、あははは」
「父様、量産の話で呼ばれたのですか?」
僕はまだ声変わりをしていないけど、少し低い声で、ドスは全く効いていないが、何の用なのか聞いた。
「すまんすまん、オスカーお祖父様を、国王陛下を王城に送って欲しいのだ。そろそろ貴族達にリルとクルのお披露目の話と南地域の断罪の話をケンドリック様達とすることになったと魔鳥で連絡が入った。ケビン、クルと一緒に送ってもらえないか」
とうとう、証拠などが揃ったのか。ケンおじちゃん達すごく頑張ったのだなぁ。リルとクルを貴族達に紹介かぁ。精霊達は?
「父様、ルガリオ達も紹介するのですか?」
「精霊様達が存在することを発表する。精霊様達がおっしゃるには、という言い回しで、見える人見えない人がいること、見えない人は過去精霊様の逆鱗に触れた一族だということを発表するようだ。南地域の不正と精霊が見えないという二重の苦痛を味わうのだろう。日頃の行いの悪さが露呈するだけだ」
「では、オスカーお祖父様を送って行けばいいのですね」
「今回、王族の皆さんはお戻りになる。従業員としてお手伝いしていただくのは終了だ。本当に手伝っていただきありがたかったな」
「はい、本当に感謝しかないですね。ではお疲れ様会が終わったら、皆さんを王城に送り届けます」
「すまないな、ケビン。クル様はどこに行っているのだ?」
「食べ過ぎて寝転んでいるのではないのですか?レオンも帰るならもっと話してくるね」
「お前たち4人は始終一緒に居たから寂しくなるのではないか。レオンハルトはリルに乗って来そうだがな」
レオンならあり得る。リルだって本来の姿になって走りたがっているから、うーん、来るよね。魔鳥でやり取りしないと迷惑がかかるから帰る前に取り決めをしておかないと。
「父様、みんなと話してきますね」
「ああ、皆が帰る時は頼む」
「はーい」
それから、母様の美容部門、玩具部門に挨拶に行き、それぞれの問題点や改善点をたくさん聞かされた。俺が改善策を考えないといけないの?主に配置ね。頑張ります。紙を製造しているので顔のマスクのことをポロっと言ってしまったら、放してもらえなかった。長かったよ。
芸術部門でも反省点、改善点を言われ、みんな未来を見ている。そして楽しんでいる。楽しい企画を考え実行しようとしている。自分のスキルに自信を持ち始めた。良い傾向だな。もっともっと活躍してもらうよ。
楽しみだね。




