228 歓迎会とお疲れ様会開催1
新たに職員になった人達がたくさんいる。芸術スキルの人達、魔道具士、酒造、料理人、美容部員、特に事務官を増員し、そして皆が勢揃いした。この中からフォーゲリア領地に転勤してもいいと言ってくれた人もいるので歓迎会とお疲れ様会を開催することにしました。
これからフォーゲリア商会はスティングレイ領支店も作ることになり、また一段と領地本店業務が忙しくなり、尚且つ新作発表会は必ず本店からとしているためその準備に追われることが予想されるのである。
「ケビン、挨拶はケビンがするか?あの歌って踊れるステージでやったあのノリノリで挨拶してみないか」
「何言っているのですか。ロナウド兄様、あれは子供達の心を掴むためにやったのです。ここにいるのはみんな大人ですのであんなノリノリなことをやってはくれませんよ」
「そうかな?休憩していた者達も手伝ってくれ、そしてノリノリで歌って踊っていたよ。みんな芸術スキルがあるのかと思うほどに楽しんでいた。ま、中には歌がズレていたものもいたがな。ほら、ケビン、やってみなさい」
もう、ロナウド兄様が僕をグイグイ前へ追いやる。やめて。みんなの前では、恥ずかしいよ。知らない子供達や親の前だったらできるけど、知り合いの前ははずかしいって!
「ロナウド兄様、恥ずかしいって」
なぜびっくりした顔をして笑い出すんだ?
「ケビンが恥ずかしがっている?あははは、ケビン、恥ずかしがることがあるんだな」
「ひどい、ロナウド兄様、僕は9歳の幼気な子供です。恥ずかしがるのは当たり前ではないですか!」
「いや、なんていうかケビンは子供子供してないから、恥ずかしいという言葉が出てくること自体びっくりだよ」
「僕は恥ずかしがり屋で人見知りですよ、見た目通りなのですが?」
呆れ返った目で見られたよ。
「そ、そうなのか?ま、まぁ、本人の考えと周りの考えが違うとだけは言っておこう。そんな恥ずかしがり屋のケビンくん。前に行って挨拶してくれないか」
ロナウド兄様、言っていることが違うぞ。もう前に駆り出されてしまっている僕。もう、ノリだノリ!やけっぱちのケビンくんだ!
「えー、皆様、お疲れ様です(ペコリ)。皆さんのおかげでフォーゲリア商会王都支店が無事開店いたしました。ありがとうございます。はい、手にお酒の入ってグラスはお持ちですか。子供達はジュースだよ。お酒は20歳からです!そこの兄様方20歳未満の人はジュースだよって嘘ですが、グラスを手に取って、皆さんの頑張りとこれからのフォーゲリア商会の繁栄を祈念しまして乾杯をしたいと思います。乾杯と言ったら皆さんで乾杯と大きな声で言ってくださいね。今、飲んではダメです。そこの人達まだ飲んではダメっと言ったはずですよ。そこのじい達、何飲んでいるのですか!さて、では乾杯の音頭をロナウド商会長にしていただきます!ではロナウド兄様よろしく」
嵌められたという顔をしているが、ふふふ、僕に振るからだよ。ここからはロナウド兄様にお任せだ。
ぶつぶつ言いながら壇上に上がり、労いと感謝の言葉を言い乾杯をした。
”乾杯”、イェーイ。レオンやイザーク、レックスと一緒に乾杯をしていた。
「イェーイ、みんなお疲れ様。手伝ってくれてありがとう。本当に助かったよ。レオンは魔道具部門で、レックスは娯楽施設で、そしてイザークは音楽と歌って踊れるステージを頑張ってくれたね。本当にありがとう。レックスはマジ、リバーシと将棋とチェスが得意だね。今度大会でも開こうか?我こそはと思う人をフェイノランド王国中から募るんだ」
「それいい!僕やりたい!参加したい。ケビン、それをするなら僕手伝うし、参加もしたい」
レックスは興奮気味に僕にお願いしてきた。あっ、まずい本気モードになってしまっている。これは誰に丸投げしようかな。好きそうなのはフェルおじちゃんなんだけど、隣国の人だし、フレッド様か?フレッド様だろう。
「レックス、興奮してどうしたのだ?ケビンが面白そうな催しをするのか?」
アルお兄ちゃん、ダニーお兄ちゃんがやってきた。
「そうなのです、兄上。ケビンがリバーシやチェス大会を考えてくれるそうです。僕は商会の遊戯場を手伝っていたのですが、面白い打ち方をする人や高レベルな闘いをする人達を目の当たりにしました。世の中には違った考えで打つ人がいることを初めて知らました。僕は型にハマりすぎていたのです。そういう人達と対戦してみたいのです。いい勉強になります」
いやいやいや、待ってくれ、さっきのは言葉の綾だ。そんなに大きい大会なんてしないよ。せいぜい宮中大会でいいのではないのか?
「レックス、そんな大きい大会ではなく、まずは身近なところでいいのではないの?」
「身近なところ?」
「王宮内、年齢問わず性別問わず参加したい人が参加できるリバーシ宮中大会とか?参加費を集めて、その中で賞品を買えばいいのではないか?もしくは領地対抗戦があるけど、その中でリバーシ大会やチェス大会など頭脳を競うことも取り入れたら面白いのではないかな。対抗戦といえば体力勝負だから頭脳も取り入れるなんてどうかな」
「くくくくっ、ケビンはやっぱり面白いよな。対抗戦に頭脳も取り入れるか、いい考えだな。騎士は体力勝負というが知能も必要だ。チェスやリバーシを取り入れることもいいな。父上に相談してみるよ」
今度はアルお兄ちゃんが何か言い始めたよ。父上に相談ってケンおじちゃんじゃないか。僕に振らなくていいよ。うちの騎士団達は基礎の基礎から鍛錬し、体感を鍛え、今度の騎士対抗戦の上位になることを目標にしているんだ。頭脳戦ならだれだろう。今度フォーゲリア騎士団チェス、リバーシ大会を開催してみるか。勝ち抜き戦で代表を決めればいい。
「いえ、あのそちらで決めていいですよ。騎士団対抗戦とチェス大会、リバーシ大会をすればいいことです。そこに男女年齢問わず参加できるということにすれば子供達も一緒に参加することが出来ますから。頭脳戦なので大人も子供も関係がないと思うのです」
「確かにレックスのように参加したい子供達もいるだろうな。レックスが対戦しているところを見たが、大人と遜色なく対戦していた。大人だから子供だからという枠を取り除いて対戦も面白そうだな。学園に通っている頭脳集団も参加するだろう。これは焦らずに計画していこう。とりあえず、騎士対抗戦の時にチェス大会、リバーシ大会も一緒に開催することを通達しよう」
アルお兄ちゃんに褒められたレックスは目を輝かせて計画を聞いていた。強い相手と対戦できることや自分の実力を測るうえでの大会を催すことに賛成だ。でも僕は運営側はやりたくないよ。みんな分かっているかな?
「父上に相談の上、ケビン、また相談に乗ってくれ、頼むよ」
肩に手を置かれてキラキラ爽やかイケメンが微笑んでいる。後光がさしてあるのか?眩しいのですが、これは嫌と言っていいのか。肩にある手がやけに重く感じる。
「アルお兄ちゃん、言ってくれれば相談にのるよ」
ありがとうと言ってキラキラ感が増す。あのアニメでいうところの歯がキラッとしている感じだ。王子様だ、いや本物の王子様だけど、多分これを見た令嬢は鼻血を出して倒れるだろう。
「ケビン、楽しみだね」
レックスが喜んでくれて良かったよ。騎士団対抗戦は競馬祭り開催後のことだからまだ時間がある。
「レックス、いろんな人と対戦した方が良いよ。まだ時間があるから頑張ってね」
「うん、頑張るよ。ケビンも練習付き合ってね」
「良いよ、僕、強いよ」
僕の確定石確保と中割りをいつかは披露してあげるよ!ふふふっ。
「ケビン様、ルーク様がお呼びです」
父様が呼んでいる?なんだろう。




