226 芸術スキルってすごい5~君達は心のマエストロであり、音楽の伝道師であり、芸術の先駆者なんだ
ライアン様が寄子やオルコット侯爵領、ガーネイル侯爵領に魔鳥で芸術スキルを集ってくれることになった。ありがたい。
「すみません、ライアン様。いつも助けていただいきありがとうございます」
「何を言っているのだ、ルーク。フォーゲリア家が発展してきたから、寄親であるボールドウエッジ家そしてそれに関わる貴族家が追随してきただけのことだ。こちらこそありがたいと思っている。そして今まで通り頼っていいんだよ」
「まだまだ恩は返せていないですが、頼らせていただきます」
「ふふふ、それにしてもケビンは色々な者達に希望を与える子だな」
「ははは、報連相を忘れているのでついていくのが大変ですが」
「それは言えるな、あははは」
なんだか後ろの方で父様達がなんか言っているがこれも報連相事案だったのか。まずい忘れていた。
そうそう、レオンが商会で大活躍をしているのだ。率先してお客様を案内し、魔道具を紹介しそしてくじ引きへと導く。ポイントカードの紹介やアフターケアの説明までしているのだ。俺より良く知っている。人を導くことが得意なのだろう。
「ケビン、こっちも楽しそうなことをしているね。イザークが楽しそうだ。何か手伝うことがあったら言って」
「うん、子供達パペットを配ったり、一緒に踊る動作をして欲しいかなぁ」
「ぼくも踊るよ。楽しそう」
レオンが一緒に踊っていたら、一般客と間違えられるよ。一緒にやって、最後お菓子もらってそう。ぷぷっ。
オルコット領とガーネイル領で準備が整ったと連絡が入った。さてと行きますか。
「皆さん、ぼくは所用で席を外します。すぐ帰ってきますので、練習を進めてください。父様、ライアン様、それでは行きましょう」
みんなの前で転移はできないので、別室で転移してまずはオルコット領、次にガーネイル領へ行った。
各領へ転移し、話を聞くとこのまま今の職業を続けていくかそれとも自分のスキルを使って新たな仕事に就くかを考えた結果、ここにいる人達は自分のスキルを試したい人達だった。中には今までの職業でいる選択をした人もいる。それは選択の自由だ。ただ、もし自分のスキルでやってみたいと思うならいつでも待っていること、もちろんやっぱり嫌だ、と思うならうちの施設や他の商会、領地の仕事など様々あるのでいつでも転職しても良いことを伝えた。
「それでは皆さん、えーと、転移します」
一瞬ポカーンと誰もが僕の顔を見る。その後は転移がなにか、そんなことが出来るのか、ぶるぶる震える人もいた。
「大丈夫です。目を閉じていれば一瞬です。どうしますか、やりますか、やりませんか。あなた方次第です。転移しなければ数日掛けて王都に来てください。転移なら一瞬ですよ」
ふふふふ、皆を煽る煽る。観念したようにみんな転移するということに決まったが体を寄せ合い震えている。父様とライアン様に目をやり頷く。
「では皆さん、そのまま動かないで、目を閉じたい人は閉じていてください」
転移します、何て言わず、すぐ転移してしまった。一瞬だよ。クルさん、いつもありがとう。
「はい、皆さん目を開けてください。ようこそフォーゲリア商会、芸術部門へ、ほら一瞬だったでしょ!」
まだ転移したことに気づかない面々。目を開けてキョロキョロする人多数。俺は窓を開け、商会の外を見せた。
「ここは王都です。中央ではないのですが王都ですよ。王城が近くに見えますよ。ここで皆さんのスキルを思う存分発揮していただくのですが、まずは施設や生活するところを案内してから、これからやっていただく仕事について説明します。その後芸術部門の歓迎会でもしましょう」
とりあえず今回は単身寮に住んでもらい、家族を呼びたい人の希望を聞いた。施設を紹介していったが、最後の施設紹介は俺の喫茶店。今日はメルルさんピアノ伴奏、フルーリさんのフルートとオペラーノさんの歌だった。曲目は以前僕が歌ったタイタニックだ。
「ここは音楽を聴いてもらう喫茶店なんだ。デザートを食べながら聴こう。ここのおすすめはプリンアラモードとパンケーキ。女性は先ほどのパティシエールの店の方が人気だけどね。ここのデザートや軽食も美味しいと評判なんだ。特にコーヒーはおいしいよ。休憩の時とか飲みに来てね。さて始まるみたいだから一緒聴こうではないか」
オペラーノさんに手招きをされている。どうした?
「一緒に歌ってください、ケビン様。ケビン様の歌声に合わせます」
おおー、ハモリですか?しかしなぜ台を持ってくるのだ?クスクス笑われているのですが、ちょっと。後ろの方の人たちが僕の姿が見えないということで緊急措置、お立ち台。どうせ小さいよ、僕は。
おっ、リュートさん、コーヒーを飲んで寛いでますね。休憩ですか。一般客に交じってコーヒーを飲んでいる。目が合い、声を出さず肩で笑っているよ。大きくなるもん。
さて始めましょう。なぜか続々と客が入ってきて立ち見客もいる。
「ケビン様、演目を書いておくとその時間に合わせて入ってくるお客様が来るのです。特に歌の場合がそうなのです」
「そうなの?聞きに来るんだね」
「うれしいです」
オペラーノさんははにかみながらも自信に満ち溢れた目をしていた。さてと、では始めますか。メメルさん、フルーリさんに頷き前奏が始まった。哀愁漂う音色が響き渡った。サビの部分のハモリは我ながら歌っていても鳥肌がたった。拍手喝采、スタンディングオベーションであーる。皆で中央に集まりお辞儀。割れんばかりの拍手。聴いていた芸術スキルの人たちはどう感じただろう。立って拍手しているから感動してくれたかな。
リュートさんが拍手をしながらやってきた。
「ケビン様、素晴らしい歌声でした。オペラーノさんとの合わせ歌とメメルさんのピアノそしてフルーリさんのフルート。一つ一つが素晴らしく、そしてすべてが合わされメロディを奏でる。心が震えました。私も音楽が次から次へと沸いてきました。ケビン様が言ってらした楽しい曲がたくさん出来ましたので聴いて、そして選んでください。またどういったものを作ってほしいか言ってください」
楽しそうに俺に言い、メメルさん達と先ほどの感想やこうしたほうがもっといいのではなど助言をしていた。僕は皆のもとへ戻って感想を聞いた。
「どうだったかな?これからここで演奏したり、子供広場で歌と踊りを子供達と一緒に楽しみ、劇場で演奏会をし、そしてボールドウェッジ公爵領も馬の祭りのファンファーレを弾くんだよ。皆楽しんでね。自分たちが楽しければ、周りも楽しくなるんだ。君達は音楽の伝道師だ!」
「マエストロじゃないの?」
ん?イザークに心のマエストロと言った、確かに言った。
「イザークを含め、芸術スキルを持つものは心のマエストロであり、音楽の伝道師であり、芸術の先駆者なんだ!自信をもって先導してほしい」
「「「「「「「はい!!!」」」」」」
皆、意味わかったかな?僕は自分で言ってよくわからないぞ?ケビン様語録がまた増えましたね、とルーアン、ボソリと言わないでくれ。




