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223 芸術スキルってすごい2

 一旦、解散にしたが、先ほどの男の子ビオラードはすぐ書類を提出してきた。


「ケビン様、ぼ、ぼく、いえ私はケビン様のところで音楽を学び、演奏をしていきたいです。私の気持ちはすでに決まっています。どうかお願いです、私を採用してください」


「ビオラード、僕でいいよ、俺でもいいけど。お母さんに聞かなくていいの?大丈夫?」


「ありがとうございます。あの、僕は数年前まで貴族でした、と言っても子爵ですが。洗礼式で芸術スキルと宣告された時、捨てて来いと父、いえ、もう父ではないので子爵様が母に命令したのです。しかし母さんは拒絶しその後離縁となりました。2人で追い出されました。母の実家も僕達に手を差し伸べてはくれませんでした。串肉屋のおじさんとおばさんが面倒をみてくれ何とか今までやってきたのですが、貴族だった母さんは最近体調を崩しがちなのです。グスッ。だから僕は働きたいです。まだまだ音楽のスキルが他の人よりは使いこなせていないので、他の仕事でもいいです。お願いです、僕をここで雇ってください」


 そんな経緯があったのか。元貴族だった母親が市井で働くのは大変だよな。なんだよ、芸術スキルだからって捨ててこいだと!実家の親まで見捨てるのか、娘と孫だぞ。まったくメメルさんのところと言い、ろくでもない貴族はいるんだろうなぁ。そんな奴らはこちらから願い下げだ。縁が切れていてよかったよ。優遇などしないから!


「心配しなくても大丈夫だよ。芸術スキルだから色々な可能性があるよ。ビオラードの楽器のセンスや歌のセンスはある。これは磨いていってほしい。あと、芸術スキルなら、彫刻を彫ったりするのもいいのではないか?タンスにデザインを彫るんだよ。お母さんが彫金師と陶芸家なんてサイコーだよ。いろいろな可能性があるんだよ。やってみよう、ビオラード」


「あの、ケビン様は母さんの”ちょうきんし”と”とうげいか”というスキル分かるのですか?母様も役立たずなスキルと言われていたので、親子して役立たずなスキル持ちと親戚の伯父さんなどが直接言っていたのです」


 本当にひどい。2人はどれほど肩身が狭い思いをしていたのか。


「なんとなくわかるよ。もうそいつらのことは忘れて、前を向いて生きていこう。そんな奴らのことを考えていたらもったいない。君たちの人生のそいつらはいらない。ビオラードのお母さんの体調を回復させて新たな生活をしよう。それでは西地区に行こうか?そこに君達の家族寮を建てるよ。今から案内するよ」


「い、今からですか?」


「そうだよ、今から君たちの家を作りに行こう。ビオラードは従業員なんだから。でもまずは生活に慣れてもらうために学校で読み書き、計算を覚えてね。それが最初にすること。貴族の時学んでいたと思うけど、うちの水準まで達しているか確認して、達していなかったら学校に通うことが最初だからね」


「学校ですか?平民なのに読み書きと計算が学べるのですか」


「そう、西地区の孤児院の子達も学校で読み書きと計算をならうことにしたんだ。そうすれば、子供達の将来に役立つことが出来るから、基本を学べるようにしているんだ。だからビオラードも勉強が待っているよ。そして上を目指したいなら、僕が学校を作るのでそこへ行ってほしいと言ってもまだやることが多すぎて、構想と段取りはできている。あとはいつやるかというところ。ビオラードも王都より田舎が良いならフォーゲリア領に移り住んでもいいし、それはお母さんと相談してね。西地区に行くよ」


 手をつないでまずはカトレイン商会のルーベンスのところに行った。


「ルーベンス、忙しい?あー、忙しそうだね。あれ、ローガンは今日お休み?うんうん、休みを取って静養してね。ローガン、こっちを手伝っているの?」


 申し訳なさそうにうなずいていた。ルーベンスは嫌味を言ってくるし。


「ええ、ええフォーゲリア商会が立ち上がり、うちが提携商会ってわかっている人達がこちらに来てますよ。ここで売っている化粧品類があちらより質が落ちるって言ったって、この化粧品だって成分がいい。噂が巡り巡ってうちにも人が並んでますよ。ロナウド様に伺って整理券というものをうちでも配布しました。待っている間はフォーゲリア商会のフードコートにいてくれ、と言ってます」


「えっ、そうなの。こっちにも待合室兼フードコート作る?庭園作ってのんびり待ってもらう?」


 疲れ切った目で俺を見ないでくれ。目を反らす、僕。


「売れ行きはすこぶるいいです。他にパンやジャムまで売れていきます。で、本日はまた新たな何かやらかすのですか」


「ルーベンス、酷いよ。やらかしなんてしないよ」


「はいはい、で、何ですか}


 雑、扱いが雑なんだよ。


「西地区にビオラードと母親を住まわせようと思うんだ。母親が体調を崩しているので静養とビオラードを他の子達と交流をしてほしいんだ。自分は一人ではないと感じてほしいんだ。任せていいかな」


「複雑な事情がありそうですね。分かりました、西地区で面倒を見ます。温泉で静養しおいしい料理を食べれば元気になるでしょう」


 さてと家をどこに建てようかな。陶芸家なら窯を作り、彫金師なら工房が欲しいよね。


「ビオでいい?ビオ、このあたりでいいかな。ルーベンス、このあたりで家を作るね」


「あー、どうぞ。どこでもいいですよ。孤児院も近いですし、世話焼きばあさんの家も近いから大丈夫でしょう」


 さてと、家をささっと作りました。4LDKの平屋のお家。


「ケビン様、これが家ですか?僕達がここに住むのですか?」


「そうだよ、あそこの温泉があるから入ってね。食堂もあるからそこで食べてもいいし、裏に野菜畑があるのでそこで収穫された野菜や果物を採って自分で料理しても大丈夫だよ。ここの生活のことはルーベンスや孤児院にいるユリアや世話焼きおばあさんのトットリ―さんにきいてね。それでは使い方の説明書」


 それから使い方を教え、西地区の温泉、学校、野菜畑、食堂の場所を教えた。そして母親を連れてくるときはローガンが運んでくれた。お姫様抱っこで、ニッヒッヒッヒ。


 まさかローガンとビオラードのおかあさん、恋が芽生えないよね?ビオのお母さん、めちゃ綺麗、ムムム!





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