22 着々と準備をしていく
母様の魔力も心地いいと言っていたので、母様に魔力を流してもらうように頼んだ。
「ケビン、どうやって魔力を土地に流すの?」
「?ただ、地面に手を置いて魔力を流しただけです。イメージですよ。自分の魔力を春っぽく薄い黄色にイメージしてそれを地面に流す感じ?」
「全くわからないわ。春っぽいって何?」
春夏秋冬、四季の概念がないんだよなぁ。
「暖かく、花や木が喜び、地面にいる種や虫達が喜び、妖精達がふわふわと踊り舞うようなそんなイメージです。イメージして地面に流してみてください」
「イメージね」
母様は地面に手を置き唸るように考え込んでいた。
「もう!母様、目を瞑ってください。はいっ、イメージしてください。そこらじゅうに妖精達やルガリオ達が精霊様でもいいです、それが喜び舞って飛んでいます。地面の下に種や虫達がいます。そこに暖かい、薄黄色い魔力を手から流すようにゆっくりゆっくり地面に流してください。そうです、ゆっくり広がるように。種や虫達が喜んでます。大きくなぁれという気持ちを込めて」
おおー、土地がキラキラしている。ルガリオ達も喜んで舞っている。
「母様、疲れていないですか?大丈夫ですか?ありがとうございます。見て見て、キラキラしてるよ。うわーぁ」
ルガリオ達が飛んできた。
「ケビン、母様の魔力美味しいよ。母様ありがとう」
なぜかルガリオ達、母様呼び。僕のかぁさんだー。
「ふふふっ、良かったわ、喜んでもらえて」
ルガリオ達が母様の周りをぐるぐる回っている。
「母様、上手く魔力を流せていましたよ」
「ケビン、魔力が見えるの?」
「なんだか見えますね。なぜだろう?」
精霊様達と合流してから魔力が見えるようになった。色も見える。最近思ったのは人の体外魔法属性の色も見える。だからその人の持っている属性がわかる。母様や俺は体外魔法属性がないので、無色だけど、さっきも言ったように色を付けて魔力を流すことができる。魔法は使えないけどね。
お祖父様達が来てくれていたので本題の麦を使ったお酒を作る準備をしよう。
まずは蒸留するための魔道具、樽を用意してもらおう。
「父様、お祖父様、今度はお酒の準備をしましょう。精霊の長老様がお酒ができたらちょうだいと言っていたのでよろしくお願いします。では、大麦がたくさん取れたので、この機会に基盤作りましょう。ウィスキーという麦を蒸留して、樽でねかせるのです。年月を重ねるほど深みのある味わいになるはずです。芋の焼酎、麦の焼酎も作りましょう。アポーを使えばバーボンになるはずです。アポーはアポーシードルという女性の方が好むお酒ができると思います」
「ケビン、麦でそんなにお酒ができるのか?アポーやポテイモでもできるのか。早速知り合いの偏屈鍛冶屋兼魔道具士に頼もう。あいつはいつでも暇しているし、お酒といえば協力してくれるだろう、待っていろよ、ケビン。そいつがきたら早速始めよう」
樽も用意して、蒸留する魔道具を作ってくれるお祖父様のお友だち?を待つことになった。
今日のおやつはプリン。厨房に行き、卵、砂糖、ミルクを用意してもらい早速作ることにした。今日は硬めのプリン。なめらかなのも好きだけど、やっぱり喫茶店にあった硬めのプリンがいい。ホイップに缶詰さくらんぼがのっていたのだ。クリームソーダと一緒にご褒美で父さんと兄さんに連れていってもらったんだ。あの時のプリンが懐かしい。
料理長達に一応固めと柔らかめなプリンの作り方を教えた。料理人の匙加減でプリンの硬さを選んで欲しい。楽しみだ。
ルガリオ達も喜んでくれるかな。新作だよ。
おやつまでの間に、僕はイーサン兄様とお祖母様用のテーブルクロスを作ることにした。
レース編みだが、編み方とデザインを変えてテーブルクロスを作った。兄様は丸テーブルと言っていたので、中央に大きな柄、サイドに来るところには細かな編み方にしてもようにした。それに色のついた蔦をモチーフとした刺繍をした。
その他にイーサン兄様の心の安寧の祈りを込めて、ゆるキャラぬいぐるみを作成。綿を作っておいてよかった。シマエナガと白い犬でいいかな。触り心地の良いほっこりするようなゆるキャラ。汚れ防止の付与をしておけばバッチリだろう。
お祖母様には、色とりどりの花の刺繍と蔦を刺繍やここにもシマエナガをゆるキャラのようにかわいい刺繍を施した。
お祖母様には抱き心地のよい花柄のクッション。
「イーサン兄様、お祖母様、テーブルクロス作りました。どうでしょうか?」
イーサン兄様はテーブルクロスではなくゆるキャラぬいぐるみを抱きしめている。テーブルクロスを見てくれ。
「ケビン、これも俺にか?」
「そうだよ。置いていても、抱きしめていても癒されるかなぁと思って作りました。汚れ防止の付与をしています。白い鳥さんと白い犬さんです。可愛いですよね。フサフサ感を出してみました」
ポメラニアンをモデルにした白い犬。今度はトイプーがいいかな。もふもふのを作ろうかな。イーサン兄様、ずっと抱きしめている。癒し効果の願いを込めて縫ったからね。抜群だろう。
「ケビン、これはいい。本当に癒される」
「母様にも触らせ。ああ、いいね。リラックスできる」
みんな癒され効果抜群だった。
「この綿は普通の綿の方で作ったのか。あの暑い時は涼しく、寒い時は温かくなる綿で布団を作るのだよな?その時もこんな癒され効果をつけるのか?」
「まだそこまでは考えていませんが、よく考えて作るようにします」
「そうだな、このぬいぐるみ?でさえ効果覿面なのにあの綿で布団を作ったら快適に寝られるだろうなぁ」
すごく期待されている目で見られている。
ロナウド兄様は野営用も欲しいと言ってきた。そうだよなぁ。ロナウド兄様は討伐とかある。キャンプの時の寝袋みたいなものがいいかな。小さくコンパクトに畳めて、それでいて安眠できる寝袋。
父様も野営する時があるから騎士団達の分も欲しいよね。ロナウド兄様がいる間に作ってみよう。
その後、みんなでおやつのプリンを食べた。さすが料理長だ。あの時喫茶店で食べた懐かしいプリンの硬さだ。涙を堪えながら食べた。美味い。
ルガリオ達は体より大きいプリンのおかわりをしていた。家族みんなもおかわりしていたけどね。
ルガリオ達はお土産をこれにして欲しいと頼んできた。今度帰る時のお土産はプリンとクッキーとなりました。




