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217 怒涛の初日だった~反省会

 閉店時間になっても人が途切れなかった。飲食はオーダーストップできるので何とかなったが、他の部門は並んでいる列を切るわけにいかずそのまま対応に追われた。


 オープン初日の珍しい物見たさで来ていることもあるだろうから、ずっとこの状態は続かないだろうと思っている。初めだけなんとか切り抜け、あとは新作発表を部門ごとに時期をずらせばなんとかなるだろう。


 今日応援を急遽頼んだ人達の意向を聞いてこのまま応援してもいい人、戻りたい人を聞いたのだが、みんなここにいることになり、住まいを提供した。


 従業員宿舎、温泉施設、社員食堂、トレーニングジム、エステの場所をそれぞれ案内した。


 なぜかフェルおじちゃんは遠い目をしていた。ボソリと従業員がここで働きたいと言って戻ってこなかったらどうするのだと呟いていた。


 スルーだ!


 ロナウド兄様が皆の前に立ち頭を下げていた。


「今日一日お疲れ様でした。怒涛の1日だった。不手際もあり、皆の休憩が取れなかったこと、本当に申し訳なかった。皆が快適に働けるようローテーションなどを考えて行きたいと思う。それから今日いきなりケビンに応援として連れてこられた皆さん、本当にありがとうございました。皆さんがいなければ、もっと混乱していたと思います。今日、初めてここにお越しいただき、何か不便なところ、もっとこうした方がいいところなどありましたら遠慮なく教えてください。カイゼンして行きたいと思います」


 その後は皆で話し合い、買い物後休憩にくる人や食事だけ来ている人がいるのでフードコートをもう少し拡張できないか。おもちゃの部屋の拡張、寝具体験の拡張など、拡張を希望する意見が多かった。でも今だけだと思うからどうすべきか。


「ケビン、ケビンの喫茶店兼雑貨屋も拡張希望の意見がでているんだよ。ゆったりと音楽を聴いてコーヒーを飲みたいというお客様が多数いた。イザークやメメルさんのピアノが好評だ。芸術スキルの人の面談を早めたほうがいいと思うよ」


 アルお兄ちゃんは今日はずっと俺の喫茶店を手伝ってくれて大助かりだった。これから拡張をして明日の準備をしよう。


 皆、ご飯を食べ、温泉に入り、ゆっくり過ごしてもらおう。明日のために休んでもらわないと。


 そこへ警備員が気になることを報告してきた。


「あの、大したことではないのですが、なぜ入れないんだと外でわめいていた人が数名いました。皆が入っていけるのに、その人たちだけは入れず憤慨して喚いて帰って行きました」


 え?どんな人?聞いたところ、恰幅の良いギラギラした洋服を着た中年男性とその部下数名。あいつらか?ボロレスのご用達、ガーゴイヤ商会か?悪意あることを考えていたということか。嫌がらせに来たのかもしれない。


「明日、またその人たちが来たら報告してほしい」


「ロナウド商会長、かしこまりました」


 そして散会した。皆ゆっくり休んでね。


「まさか、ガーゴイヤ商会長が来ていたとは」


「そうですね、入ってこられなかったということは何かしら嫌がらせをしに来たのですかね?」


 ライアン様とフレッド様がガーゴイヤ商会長のことを話していた。皆同じことを考えているだろう。結界があってよかった。悪意あるものは入ることが出来ない。


 ボロレスもそろそろ出てくるかもしれない。精霊達に嫌われているから、ここに入ることが出来ないだろう。立て看板を作ろうかな。


 ”安全性を考え結界の魔道具を発動してます。悪意ある人は入ることが出来ません。悪意に加担しようとする人も入れません。二度と入ることはできません。入れない場合はお帰りください”と。辛辣すぎるかな。入れないで帰る人は悪意ある人だ、とわかってしまうから、さてどうしよう?


 でもみんなにそのことを伝えたら、実行することになった。そして悪意ある者リストを作ることが決まったのだ。イザークに言って似顔絵を描いてもらう。ここでも役立つイザーク。本当に顔写真か!ってぐらいうまい絵なんだ。これを貼ると指名手配犯のようになってしまうぞ。


 "この方々は入れません。心を入れ替えて?入れ替えても入店できませんがあしからず"


 絵の下に貼っておこうか?


 ジョーダンはさておき、よし、明日に向けて拡張しておこう。でもジョーダンではないけどね。


 料理人達はいつでも大忙し。ロナウド兄様とフレッド様と一緒に厨房へ行って労を労った。特にパティシエのクレージュさんとボトムさん夫妻の腕はすごいのだ。料理長が一番俺の要望に的確にそしてそれ以上の期待に応えてくれていたけど、2人もデザートに関してはすごい実力なんだ。デザートの芸術作品。だから糸の飴細工のシュクレフィレやミルクレープ、そしてオペラを一般にお披露目だ。2人は層を美しく見せるケーキを作ることが出来るのだ。見た目でうわーってなるようなデザートなのだ。


「これは商会長、副会長、ケビン様、大変な1日でした。ひっきりなしでお客様が来るなんで夢のようです」


 忙しいのに楽しそう。2人は以前雇われたお店でデザートを作っていたのだが、デザートしか作れない2人に腹を立てたオーナーに解雇されたところを面接に来て採用した2人なんだ。女性陣の要望に沿った2人の働き。君達はパティシエだ!とまた命名し、パティシエールがいるお店と看板に掲げた。よくわからない用語ですごい人達と思わせる、と言ったら詐欺まがいの事はやめてください、とお願いされた。でも、自信をもっていいよ。お土産でデザートを買って帰れるお店を併設してもいいかな。


「ねえ、相談だけど、デザートをお土産で買うことが出来る空間を作っていいかな?」


 皆がギョッとして僕を見た。変なことは言ってないよね?


「これ以上忙しくさせる気か?ケビン」


 グラムで金額を決め、一口サイズでも買えることが出来るとすれば、ご褒美デザートとして買えるのではないかと考えた。スプーンひと掬いだけでも売っていいと思うんだ。少額でね。某アイス屋さんはタダで味見させてくれるけど、うちは少額で売る戦法。


「ケビン、お前は小さい子も、そして貧しい人も食べることができる様に考えているのか?いいんじゃないかやってみれば」


 期間限定で試しにやってみることにした。いろいろチャレンジあるのみ。ロナウド兄様ありがとう。そして頑張れ、パティシエ達、と声援だけ送っておいたよ。呆れ顔のみんなだったことは言うまでもない。






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