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212 心のマエストロってなに?

 俺は午前中で解放された。お祖父様、ルシおじちゃん、クリスおじちゃん達と昼食をとっていると、奥様達がやってきた。


「あなた達、昨日はどちらにいらっしゃったのかしら?ここにケビンちゃんがいるということはフォーゲリア領へ行ってらっしゃったのかしら、ねぇ?」


 2人の奥様はルシおじちゃんとクリスおじちゃんをロックオンしている。しどろもどろに言い訳を言っていたが機嫌が直らないですね。


「ルシアン、あなた、肌と髪質がキラキラしてますがどうされたのかしら?」


「あら、クリスもね」


「こ、これはフォーゲリア領で温泉に入って寛いだんだよ。とてもよかった。二日酔いも治ったのだ」


 ん?それは言ってはいけないのでは、地雷を踏んだのではないか?


「まぁ、あなた方だけ寛ぎに行ったのですか?それも二日酔い?それほど飲まれたのですか」


 なせ俺に助けを求める目を注ぐんだ。


「あ、あのイルメシア様、ブランカ様、僕はこれから帰るのですが、一緒に行きますか?ブランカ様はお腹に赤ちゃんがいらっしゃるようですが、体調が良ければ一緒に行きますか?」


「「まあ」」


 それからは慌ただしく準備をし、数人の侍女さんを連れ転移をすることになった。ガゼボ?を拡張しよう。居住空間を増やそう。ブランカ様の小さいお子様も一緒だ。


「では、お祖父様、ルシおじちゃん、クリスおじちゃん、お仕事頑張ってね。行ってきます」


「ケビン、我々は迎えに来ないのか?来るだろう?」


 えー、クルさんに任せた。


「はぁ、しょうがないわね。魔鳥で知らせれば迎えに来てあげるわよ」


 クルさんだけで行く?”そんなわけないでしょ、ケビンも一緒よ”やっぱりか。


「お祖父様、迎えに来ます。夕食までに頑張って終わりにしてください。みんなで夕食を一緒に取りたいです」


 それからみんなのいる場所へ転移した。使いっぱだよ。


「やぁ、ケビンご苦労様。イルメシア、ブランカおはよう。やはり来たね。ケビンは午前中執務を手伝ってきたのかな」


「ケンおじちゃんわかっているなら一緒に帰ってよ。ボロレス公爵は登城しなかったよ。なんでも自分がいないと仕事が滞るだろう、まぁ頑張れよ、的なことを言って休みだそうです。だからお前がいなくもできることをわからせるために頑張ってきました。今お祖父様達が事務官達と頑張っていると思います。だいぶ不正をしていましたからね、あの人。横領もいい所ですよ」


「なに!自分のところだけ予算を多めに取っていたのか!」


「はい、だから今不正を暴こうと頑張ってますね」


「なるほど、ケビン申し訳ないが私を王宮に連れて行ってくれないか?私も暴きたい」


 条件は送った後、俺はすぐ帰ること、もう仕事をさせないことを条件に転移した。ケンおじちゃんもボロレスの不正を暴こうとするみたいだ。


「ケビン、戻ってきたのか?」


 お祖父様がすごく喜んでいたが、目的が仕事をさせたいのだろうと分かるので帰ります。


「ケンおじちゃんを送ってきただけでーす。では魔鳥で知らせてくださいね。じゃ!」


 さっさと帰ってきた。寂しそうにしているお祖父様。ここは心を鬼にして帰ってきた。


「あら早いわね、ケビンちゃん。イルメとブランカが子供達を連れて早速お風呂に行ったわよ。ここの温泉はいいわよね。でね、本題なんだけど」


 ジェラルディン様、少し休ませてください。みんなと遊びたいんだ。そうだ、ガゼボ?の宿泊部屋を拡張してこなければ、という理由で難を免れてきた。


 4人衆でガゼボ?に行く前に庭で遊んだ。今回はリルに乗るのだ。レオンを唆し、ゲフンゲフン、リルに乗せてもらえるか頼んでみた。


「リル、大きくなって、背中に乗せてー」


「レオン、いいぞ。大きくなるぞ!」


 ドンっと大きくなったリル。フェンリルだぁ。レックスとイザークも興奮気味だ。リルが屈んで僕たち4人を乗せてくれた。


「高かーい」


「しっかり毛を掴むんだぞ。落としはしないから大丈夫だ」


 走ってもらったがやっぱり早い早い。


「にぃに、ずるい!ずるい」


 あっ、ジュリに見つかった。ちびっ子達が護衛騎士と侍女を引き連れてやってきた。まずい、あのお方にバレるではないか!


 しかしジュリ達も乗りたーいと可愛いことを言っているので、リルに頼んで乗せてもらった。


「リル、たかーい。リルかっこいい」


 ジュリたちも大興奮。


「ふふん、我はかっこいいのだぞ。少し走ってやるからな。みんな毛を掴むんだぞ。落とさないように結界を張ってあるから安心せい」


「ケビン、楽しいね。今度は外の敷地に行けるかな。のびのびと乗りたいよね。リルに全速力してもらうのはどう?」


 時速どれぐらいで走れるのかな。


「うん、レオン。行こう行こう」


 僕達は大はしゃぎしていて気づかなかった。


「ケ、ケビン、あの」


「ん?イザークどうしたの?怖い?もう少し速度を抑えるように言うよ」


「違う、母上が」

 

 ん?母上がって、あれ?あっ!ジ、ジェラルディン様がにこやかに微笑んでいる。まずい、レオン、リルにそっとガゼボ?の方に行くようにお願いした。さあ、部屋の拡張をやってしまおう。僕は、遊ばずに頑張っていました感をだしながら部屋を作っていた。


「あら、ケビンちゃん、さっき中庭でリル様とみんなで遊んでいなかったかしら?気のせいだったにかしらね」


 遊んでいた話からそらさなければ。


「ジェラルディン様、このような部屋ならブランカ様と子供達は寛げますかね?」


 子供ルームでいっぱい体を動かし、いっぱい遊び、遊び疲れて寝てしまうループにしようと考えていた。


「そうね、面白い子供部屋だわ。このおもちゃは何?」


 滑り台とリバーシと積み木とぬいぐるみとお人形だ。あれ?ジェラルディン様はリバーシを見たことがない?


「このリバーシとぬいぐるみはすでに商品化して売り出しているのですが見たことはないですか?」


「ケビンちゃん、私はこの国に久しぶりに帰ってきたのよ。それもこの国の王宮以外出たことがない私なのよ。ふふふっ、王都に帰ったら王都の商会も案内してくれるわよね?フェルも帰らないといけないから話をしましょう。そして明日、王都の商会を案内して頂戴。スピーディさが大事よ!」


 絶対、フェルおじちゃんとジェラルディン様は似た者夫婦だ。頭の回転が早く、行動も早い。イザーク、おっとりしているから大丈夫か?ついていけないだろうなぁ。人それぞれのペースがあるのにわかっているのかな。


「イザークもケビンちゃんのように頭の回転が早ければいいのに」


 ボソリとジェラルディン様がおっしゃった。


「母上?」


「イザーク!」


 さっきの言葉が聞こえていなければいいのにと思ったけど、涙目のイザーク。


「違うの、イザーク」


「僕は何をしても遅くてごめんね。役立たずのスキルだから母上に認められていないことはわかっていたんだ。いいんだよ、別に」


「違うのよ。イザークにはイザークの良さがあるのよ。イザークはみんなに優しいく、思いやりのある子よ。あなたを役立たずなんて思っていないわ、本当よ」


「嘘だ!僕のスキルは役立たずで行動がトロいと言っているのを知っているんだ!僕が小さい時にお祖父様と叔父さんに話していたではないか!僕は、僕は聞いていたんだよ!」


 レオン症候群だ!あの時のレオンだ!


「イザーク、皆そう思っていないよ」


「イザーク、違うのよ」


 今のイザークは両親の話を聞かない。心を閉ざしたイザークでは両親の話は全く響かないよね。


「イザーク、両親と話をした方がいいよ。ダメなら僕のところへくればいいんだから。イザークは芸術・音楽スキルがあるから、これから僕がすることに大いに大いに役に立つスキルなんだ。イザークは心のマエストロになるんだから!」


 自分で言っていて意味がわからないことを言う僕。心のマエストロって何?






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