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210 影の者視点

 私は代々王家の影として仕えている一族の者です。名は控えさせていただきます。この私視点で王族の方々を語るのは烏滸がましいのですが語らせていただきます。


 お酒の席は皆様を陽気にさせていらっしゃいます。女性の方々は軽いすぱーくりんぐわいん?なるものとアップルシードルという飲み物を嗜んでいらっしゃいます。甘くて女性に人気なようです。男性陣はウィスキー?やバーボン?なるお酒。そのまま飲むと喉にくううぅってくる強さなのです。私は”はいぼーる”という飲み方が好きです。レモンを入れるとよりいっそう美味しいです。これもケビン様がこんな飲み方もあるよと教えてくださったお酒です。小さいのにお酒の飲み方を知っていらっしゃるなんて恐るべきお子様なのです。我々にいつもケビン様はそっと料理やお酒をマジックバッグに入れて置いていってくださるのです。


 手紙には


 ”たぶんいるであろう影に軍団へ

 いつも見守ってくださりありがとうございます。おすそわけです。皆さんで飲んで食べてください”

 と置いていくのです。


 影の軍団?とは思うことはありますがいただいた物は、皆、非番の時にお酒を嗜んでいるのです。なんておいしいお酒と料理なんだといつも思っております。


 今は国王陛下と長老様達が楽しく会話をしていらっしゃいます。


「それにしても、このようなかたちで精霊様達の長老様方と会合が出来るなんて夢にも思っておりませんでした。なぜこうもめまぐるしく状況が変化していくので考えが追いつかない状態です」


 国王であるオスカー様はしみじみと感想を述べたいらっしゃり、長老達は笑っていらっしゃる。


「ふぉふぉふぉ、ケビンに関わると状況が大きく好転していくのだ。我々も突飛な考えについていけないときがあるぞい。あれは物おじもせず、催促してくるから面白いのぉ」


 やはりケビン様は精霊様を顎で使う恐るべきお子様なのだ。ご両親のルーク様は謝り通しだった。ロイド様はがははと笑っているので、ケビン様はロイド様に似ているのであろう。ロイド様は国王陛下に物おじなどしないですから。


 ケンドリック様とアルバート様もレオンハルト様がケビン様にお会いしてからお忙しくされている。レオンハルト様はケビン様に感化されすぎて行動範囲が広過ぎなので我々も対応を即座にできるよう再訓練している状態です。フェンリル様と従魔契約までされ、本当にケビン様に関わると大事になる、ゲフンゲフン、悪い意味ではなく、いい方向に変わってきていらっしゃいます。


 国王陛下と王妃様はずっとメルシー様の事を気にかけていらっしゃるのに魔法第一主義のボロレス公爵の顔をたてて、メルシー様に歩み寄れず、夜な夜な懺悔をしていることを我々は知っているのです。


 それが今、和解され、こうして家族皆様で楽しそうに過ごしていらっしゃる。本当に陰で見守っていた我々にとっても喜ばしいことなのです。


 内緒ですが、ケビン様は我々の宿舎をひっそりと作ってくれているのです。そこには温泉があるのです。なんでもカーバンクルのクル様がおんみつ?には誰にもわからないところに家を作ってあげなければ、とおんみつとは何かわからない言葉ですが、ありがたいです。非番の時、お酒と料理と温泉を堪能する日々です。


 あの温泉は何でしょう。傷が無くなるのですが!痛みが無くなるのですが!我々の肌が若返っている?そんなことあり?女性なんて歓喜している。ジャンプ―や化粧品に至っては言葉が出ない。何でしょうね、ここは。ここに配属希望者が殺到する気がする。鍛錬場も作ってくださるということが手紙に書かれておりました。楽しみです。確かにフォーゲリア領の騎士達はよくわからないものを上げ下げしたり、壁に石?が埋まっている所を指の力で登って行ったり、ロープを使って高い塔を上り下りしている訓練を見ました。面白い訓練をしているなと、夜、やってみたこともあります。


 ケビン様、あなたはここに影の軍団?を作る気ですか?怪我で退役した者達がここに押し寄せるかもしれない。そしてここに就職するかもしれない。私の父と兄にそっと教えてみよう。おっとすみません、私事の話になってしまいました。


 長老様がフランソワ様に助言?をしています。


「そなたは体の中に傷を負っている。しばらくは旦那さんと一緒にゆっくり過ごすがよい。温泉に浸かれば傷は癒える。大丈夫だ、安心せい」


 フランソワ様が泣き出してしまった。お子様の事だろう。しかしここにいれば癒される。フランソワ様のあの美しい笑顔が戻ってほしい。皆そう思っているのです。


「本当にここのお風呂の効果はすごいわね。ウォールッシュ水精霊長老様。このような効能があるお湯はあちこちにいるのですか?」


 美の先駆者ジェラルディン様は温泉の効能に興味がおありのようだ。それもそうだろう、このような肌が艶やかに若返るような温泉。近くにあって欲しいと思う。


「そうじゃな、そなたの家に作ることもできる。それと同時にそちの領地に大きな大きな公衆温泉を作ればみんな癒されに来るであろう。その周りに宿や食堂などの準備をすれば無きにしも非ずだがな?ただし欲をかくと消滅するということじゃ。宿や食堂は正規の値段、皆が入れる公共の場を提供すれば良い」


 ジェラルディン様とフェルナンド様はお互い見遣り頷いていらっしゃった。お二方とも遣り手なので何か策を講じるのだろう。


「まぁ、どんなものを作るか行き詰まったらケビンに聞けばなんとか作るだろう」


「「ケビン(ちゃん)!」」


 ケビン様のスキルが教えてくれると言っていたが今度はどんなものを作るのでしょうか?ケビン様は隣国に転移する時は私が影同行しよう。争奪戦になると思うが絶対勝つぞ。


 そして飲み過ぎていらっしゃるようですがほどほどに。国王様、明日仕事ですよ!


 以上報告を終わりにいたします。ご清聴ありがとうございました。



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