209 国王陛下と長老様達の会合
長老様達がやってきた。
「ほほぉ、この国の国王じゃの。あの時より何代後になるじゃろな。まさかまた王族と相見えるなぞ予想だにしていなかったわい。これも縁じゃな」
お祖父様、いや国王陛下として長老様達に挨拶をしていた。僕達もそれに倣う。
「私共には古の時代より代々引き継がれた古文書があります。そこには精霊様、神獣様そしてドラゴン達との共存が記されておりました。まさかこのような形で精霊様とお会いでき心から感謝申し上げます。我々王族ならびに貴族の不甲斐ない行動により精霊様のお姿を見ることができなくなり、それが長期に渡り続きました。これから、これからを繋ぐ者達に悪習を繰り返してはいけないことを教育し、皆と共存する国を作っていきたいと考えております」
「そうじゃな、人間の欲というものは醜い。精霊達はその醜さに辟易する。全ての人間がというわけではないが、その当時の王族、貴族は精霊、神獣が当たり前にいて、自分たちの利益しか考えていない人間どもだった。我々は姿を見えなくした。それから幾重の時が過ぎていった。またこうして相見えることができた。しかし昔のようにすることはできぬ。またよからぬもの達が湧き出す恐れがある。だから我々は今まで通り生活するのじゃ。まぁ度々こうして会い、飲み明かし、話し合いは必要だとは思っておる。気楽な会合じゃ」
「かしこまりました。度々このような楽しい会合を催しましょう。これから我々はこの国に精霊様が存在していることは公表致してもよろしいのでしょうか?」
「別に構わんよ。頻繁に現れぬゆえ、たまに現れた場合と注釈をしたうえで、見えるものには見える。見えないものは過去精霊を怒らせた末裔だということを強く言って欲しい。そして、今まで見えていたものが見えなくなったら、自分自身の行いを悔い改めよと伝えてくれれば良い。まぁ、悔い改めたとしても見えなくなったら、もう見えぬ。それだけを伝えればいいのではないか?」
「かしこまりました。貴族達に精霊様が存在すること伝えようと思います。どんな反応をするか楽しみではありますが混乱するでしょうね。それにリル様やクル様も紹介するのです。私もまだ心が浮ついた状態なのです。引き継がれている古文書の中でしかあうことができなかった精霊様達とこのようにお会いしたことが夢うつつな感覚なのです」
「ほっほっほ、まあ徐々になれてくれ。さあ新酒を飲むぞ。そなたらも初めての酒が多いであろう。飲もうではないか」
王族の立場で、国王陛下、ケンドリック王太子、ルシアン第二王子、クリスフォード第三王子、アルバート様が会談に臨んだ。話し合いは終わったようだ。今度は王族みんなで飲み会だ。場所はガゼボ?。フランスの宮殿のパクリだから良いだろう。見たこともない建造物だからケンおじちゃん達に不審がられた。特に特に隣国のフェルおじちゃんにはこんな建造物がなぜ建てられるのだと詰め寄られたが、想像上の建造物です、スキルが教えてくれましたととぼけておいた。あぶないあぶない。またあの眼力に捕まるところだった。
僕達子ども組はさっさと寝るように追い出された形だ。これからは大人の時間だとさ、ケッ!うちの屋敷の部屋にアルお兄ちゃん、レオンと卵と一緒に戻ってきた。ダニーお兄ちゃん、エディお兄ちゃん、レックスも一緒だよ。もうみんなうちに来てしまえばいいんじゃないのか!ということで、男衆を連れてきた。面倒だったので、部屋はみんながいる前で改装してしまった。初めて見る人は口をあんぐりと開けて驚いていたよ。
「また規格外のスキルだよな、まったく。自重しろ、自重!」
アルお兄ちゃんに呆れられてしまった。イーサン兄様とロナウド兄様はいつものことだから苦笑い。
「イーサン、ロナウドもケビンを落ち着かせろ」
「無理だね。もう諦めているよ。いつも大丈夫大丈夫で、大丈夫じゃないんだ。もうさ、諦めが肝心なんだよ。それに合わせるしか無いんだよ」
イーサン兄様がアルお兄ちゃん。諭すように言っている。諦めるって何?
「アルだってレオンを抑えられるか?」
アルお兄ちゃんがレオンを見ながら首を振った。
「無理だね。やはりレオンハルトに合わせているな」
「「はぁ」」
2人の兄達が同時にため息をついている。僕とレオンはお互い見やり、はて?と首を傾げて、また怒られた。
「レックス、イザーク、2人はこのレオンハルトとケビンがおかしな行動をしようとしたら怒って欲しい」
「「ぼ、僕たちがですか?絶対無理だと思います。2人が先に行ってしまうので付いていくのがやっとです」」
2人は苦笑いをしていた。
「これからは相談するよ?」
イザークよ、酷いではないか?レオンと俺が悪い子のようではないか!
「イザーク、僕達はそんなに変なことはしないよ。安心して」
ブンブンと首を振るイザーク。僕、怖がられているの?
「ううん、違うんだ。ケビン達といると普通と違うことをするから逆に楽しいんだ。僕1人では何もできないけど、4人で一緒に行動をすると楽しいんだ。だから一緒に行動したいんだ。ケビン達といるといつもの僕ではない違った僕でいられるんだ。だからいつも通り行動して欲しいんだ」
フィルお兄ちゃんが笑っている。
「あははは、イザークの意外な一面が見られてお兄ちゃん、嬉しいよ。ケビンどんどんイザークを連れ立ってくれ」
「おいおいお前達、兄達が大変なんだぞ、フィル、大丈夫か?」
「お、俺も?」
兄達連合も結成されたようだ。
「マジか。しょうがないな。イザーク、ほどほどに」
それはいつもケビンに言っている言葉だ、全く効き目なしの言葉だよってイーサン兄様とロナウド兄様が教えている。兄連合は笑い合っている。
僕達も笑い合った。そういえば、アルお兄ちゃんはずっと卵を抱えていた。卵用の籠のベッドでも作ってあげよう。
「アルお兄ちゃん、卵を抱えたままで大変だったでしょ?」
「あぁ、でもこの布があるからだいぶ楽だよ。でも、この卵が地中から出てきたなんて信じられないよ。ずっと地中深くで寝ていたなんて。君は男の子なの?」
アルお兄ちゃんが卵に話しかけてた。魔力を少しずつみんなのを搾取しているんだよなぁ。
”我は男だ。良い名前を付けてほしい。そこのフェンリルとカーバンクルの安直な名前ではなくかっこいい名前にしておくれ。アルお兄ちゃん」
ん?アルお兄ちゃんって。言い方がリルと同じおっさんぽいのにお兄ちゃんって。それに何気にディスられているように感じる。
「アルお兄ちゃん。名前はポチとシロやクロなど呼びやすい名前でいいと思うんだ。親しみやすい、言いやすい名前がいいよ。大体長い名前がカッコよく聞こえるけどポチとか愛嬌がある名前がいいんじゃないかと思うんです」
”やめろ、ケビン。お前さんがつける名前はバカにされているような名前に感じるのは気のせいか?”
”わかるわ、ほんとにこの子は安直な名前しか考えないのよ”
「わかった、わかった、ケビンの意見は聞かないようにするから」
ガーン!アルお兄ちゃんが酷いよ。長い名前がいいのか?じゃあ、スリランカの名前は長いと聞いたことがある。確かえーと、ボーワッテゲダラ・なんちゃら・ムディヤンなんちゃらが長い名前があったはず。それでいいのかな?
”こいつの話は聞くなアルお兄ちゃん!”
「アルバート様やケビンは本当に声が聞こえるんだね」
レックスが不思議そうに聞いてきた。みんなから魔力を搾取しているのだから、聞こえてもいいのではないかな?みんなと会話できれば楽しいよ。
"ふーん、それもそうじゃな。搾取している者達には聞こえるようにしておこう。勝手に魔力をもらっているから、今度はもらうぞと言えばいいのだな"
みんなの体が光った。おおー。
"どうじゃ、我の声が聞こえるか?"
「本当だ、聞こえる。聞こえます。本当におじさんっぽい声だね。ふふふ」
"おじさんじゃないわい。まだ生まれてもいないのだから、皆より若いぞ!産まれた時、真綿に包むように扱うのだぞ、レックスわかったか"
「ひ、ひゃい!」
あははは、何が真綿に包むようにだよ、頑丈そうだけどな。
"ケビン、お前は一言多い、まったく"
てへっ。




