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191 ボロレス退場

 ケンドリック王太子殿下の凄みのある視線にボロレスもタジタジ。国王陛下に助けを求めていた。


「陛下、カーバンクル様は王家が所有した方が王家の威厳に関わります。どうか、ご命令を!」


 国王陛下に助けを求めたボロレスだったが国王逆に諭されていた。この状況は国王陛下はボロレスを見限ったのか?


「ボロレス公爵、我は今回家族で会うと言ったはずだ!そしてカーバンクル様はそれぞれの契約者に委ねると伝えたはずだ。なぜ余計なことをする。そして我娘メルシーを無能と言ったことは許さない。そなたには我の結婚のことで力添えをしてもらい感謝はするが家族のことを蔑むことは許さない。そこは反省して欲しい」


「私は宰相ですよ!私の力がなければ王家などどうとでもなりますよ」


 王家を脅してどうするよ。このおっさんは。自分ができた人だと思っているのだろうが凡人だろうなぁ。ウェルス様をクビにするようなやつだ。


「おじさん、おじさんより優秀な人はたくさんいますよ。ただ、だれもがおじさん、あなた自身ではなくて公爵という権力に言えなかったのでしょうが、おじさんの勢力が失墜したら誰もついてこないのではないですか?」


「クソガキが何をいう!ボロレス公爵家は私の代で繁栄をしたのだ!私がいなければこれからも繁栄はせん!貧乏伯爵家の三男は平民以下だ!さっさとカーバンクルを私に渡せ!」


 自分にと言っているよ。リルさんとクルさんが本当の姿になり威嚇しはじめた。


「貴様になぜ我が服従しなければならぬのか!踏み潰してやろうか!」


「ふん、お前みたいな汚い心と少量の魔力量しか持たぬ者になぜ私が従うと思っているの?ばっかじゃない!寝言は寝て言え!異次元に置いてくるわよ!」


 クルさんや、寝言は寝て言えは前世の言葉だから誰もわからないよ。それに2匹とも怖いわ。ボロレスが震え上がってしまったじゃないか。


「そうだ、そうだ、ケビンやかあさまたちをいじめるやつはぼくたちがゆるさないからね!」


 あちゃー、この子達出てきちゃったよ。ずらりと横一列に並ぶ精霊達。君達は戦隊モノ大集結のようではないか!でもボロレスは見えるのか?声だけはきこえるのか?


 ボロレスはキョロキョロしていたが、国王陛下以下みんな最高礼をとってしまったよ。


 僕達は?ケンおじちゃん、父様、ライアン様ど、どうします?ケンおじちゃんが国王陛下に説明していた。後ろの方ではボロレスがキョロキョロと挙動不審に立っている。


「きょうはあそびにきただけだから、あいさつとかはいいよ。ちょうろうのじっちゃんたちがきたら、そういうことをやってね。ぼくたちにはしなくていいよ」


「父上、立ってください。今日のところはいいそうです。精霊の長老様達がいらしたら挨拶をお願いします」


「ケンドリック、お前は驚いていないようだがお会いしたことがあるのか?」


「すみません、黙っておりましたが、メルシーの所に行った時に紹介と挨拶をいたしました」


「ケンドリック、お前だけメルシーのところに遊びに行ったのか!ズルイではないか!なぜ私に言わない」


 精霊様より母様に会いたいと言っているね。拗らせ親子か。


「ケンパパ、このまえのおうきゅうのおかしおいしかったからちょうだい。ちゅうぼうにいけばもらえる?」


 お前達勝手にいくなよ。ダメだよ。びっくりしてしまうからってここの厨房の人は見えるのか?


「ルガリオ、ルッツ、モーリ、ウルン、まだここの厨房の人に紹介をしたいないから今はダメだよ。シャーマン、テーブルを出してくれないか?お菓子やケーキなどをここに持ってくるように」


「はっ!」


 ケンおじちゃんの行動は早いなぉ。執事の人も素早い動き。上司部下は似るのか?


「こ、国王陛下。声が聞こえたのですが何かいるのですか?先ほど精霊様とおっしゃっていたように聞こえたのですが、まさか精霊様がいらっしゃるのですか!」


「ボロレス公爵は見えないのか?」


「声は聞こえましたが私には見えません。どうしてでしょうか」


 南地域の人達は精霊達に嫌われたためだよ。これからずっと見えることはない。ケンおじちゃんを見たが首を振って本当の理由を言わない。見える人と見えない人の違いがこれからわかるだろう。


「ボロレス公爵、これから家族の再会の会なのだが出ていってもらえるか?」


「私は国王陛下と王妃様と結婚の橋渡しをした功労者ですぞ!その私を蔑ろにするとはどういうことですか!」


「出ていってくれ!」


「ふん!」


 ボロレスは憤慨して出ていった。そんな態度でいいのか?


「父上」


「これ以上家族の仲を引っ掻き回されたくはない!これでいいのだ。メルシー、長い間すまなかった。母様と結婚するためにボロレス公爵の力を借りてしまったがために、メルシーに辛い思いをさせてしまった。本当にすまなかった」


 「国王陛下」


 国王陛下は母様に手を差し伸べようとしたが、手を引っ込めてしまった。母様は父と言っていいのかわからない状況なのかもしれない。


「メルシー、父と呼んではくれぬのか。わかっておる、自分のしたことは」


 玉座に座り込んでしまった。母様の両親2人とも下を向いてしまった。はぁ、拗らせ親子め。ルーナとジュリに協力してもらおう。僕はルーナとジュリを連れて国王陛下と王妃様のところへ行った。また幼気な子供のふりだな。


「ジュリ、ルーナ、お祖父様とお祖母様だよ。お祖父様、ルーナはお祖母様にそっくりですね。誰似だろうと思っていたのですが、お祖母様にそっくりですね」


 と言ってルーナを国王陛下の腕に抱かせた。ぎこちなさはあるけど落とすことはしないだろう。お祖母様大好き人間ならルーナの可愛さが何十倍にも可愛く見えるであろう。


「ジュリ、お祖母様だよ。お祖母様にジュリ、いえ、ジュリアスはケンドリックおじさまにそっくりですよね。で、僕は誰似ですか?」


 重たいがジュリを膝に乗せた。


 ジュリはお祖母様の顔を下から覗き込んだ形、上目遣いジュリ。かわいいぞ。たまらんだろう。


 お祖母様は泣き出してしまった。ジュリはお祖母様をいい子いい子して、泣かないで、大丈夫だよ、僕がついているよと言っている。それからぎゅっと抱きしめていた。


 そして僕は目線が高くなり、誰かの首に抱きついた。


「おおー、ケビンか、私に似ているな!」


 先の国王陛下、大お祖父様だ。


「ケビン、嫌そうな顔しないで笑顔で大お祖父様に対応して欲しいなぁ」


 笑いながらケンおじちゃんが言っているよ。父様、どうする?母様ヘルプミー!


「お、お父様、この子はルーナです。半年前に生まれたばかりなのです」


「お、おう。本当に王妃に、クラリスにそっくりだな。おー、手を握ってくれた。かわいいなぁ。小さいな」


 国王陛下と母様の距離がだいぶ近づいたかなって、僕を助けて欲しいのですが母様。ちょっと、ちょっと。


 僕は大お祖父様に抱かれ、大お祖母様の所に行った。


「あなたがケビンちゃんね。レオンハルトに似ているわね。レオンハルトがね、リルちゃんを連れてよく来てくれるのよ。その時にケビンちゃんの話をよく聞くのよ。お花もありがとう。あの花は凄いわね。体が軽くなったのよ。まぁ、あなたがクルちゃん。アリステリアがクルちゃんの話をしにくるのよ」


「大お祖母様ね、本当の姿を見せてあげようかしらね、ケビンどう?」


「超絶可愛いから見せてあげれば」


 棒読みで言う僕。


「ケビン、何その腑抜けた言い方。可愛いを強調しなさいよ」


 もう君たち自由人。なんでもやってくれ。でも、大お祖父様、僕を降ろしてくれ。


 助け舟がここにやってきた。


「お祖父様、ケビンを降ろしてください。ケビンが降りたそうですよ」


「おお、軽すぎてわからなかった。かわいいなぁ」


「大お祖父様、僕は可愛いではなくかっこいいです。それに僕は9歳の男の子ですから!」


「おお、そうかそうか、うんうんかわいいぞ」


 かわいいの連発だ。スルーあるのみ。はぁ、やっと降ろされた。あーよかった。これから自己紹介や今までのことを話すそうだ。食事はルガリオ達精霊達やリル、クルも一緒だ。


 騒がしいぞ。



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