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188 カルコーマの活用法

 魔道具施設に男性陣が集まった。魔道具士達も集まり、糸紬機の操作をお願いした。鑑定をしてやり方を教えてもらった。優秀な鑑定君だ。


「ケビン、まずこれをどうすればいいんだ?」


「お湯に入れれば糸がほぐれるらしいです。これがうちの領のリアカルコーマ、こちらがコットカルコーマ、最後、レイカルコーマです。同じカルコーマでも素材が違う可能性があるので別々に糸を紡ぎましょう」


 僕は勝手にフォーゲリア、オルコット、スティングレイの名前の一番最後の文字をもじって名前を付けてしまった。鑑定したらその名前になっていた。すまない、まったくひねりのいない名前で。それからロナウド兄様にお湯を出してもらい、それぞれのタライに入れた。しばらくすると糊が取れたように糸がタライに広がっていく。かなりの量の糸がある。ぽこんと茶色の蛹が浮かんできた。こんな小さいのに糸が多い。蛹を鑑定すると乾燥させすりつぶせば肥料になると出た。なるほど、乾燥させすりつぶす魔道具を作ってもらおう。


「イーサン兄様、この蛹を乾燥させすりつぶせば肥料になり農作物が育つみたいです。魔道具作ってください。それと布地にするための道具も作ってください。それからミシンが必要です。手縫いは時間が掛かるのでミシンでドレスなどを仕上げましょう」


 魔道具士達がギョッとした顔をして一斉に僕を見るんだ。


「待て待て待て、ケビン。今、新しい魔道具がいくつ出た?まだ糸を紡いでないぞ!糸が紡げるか、改良点がないかということで魔道具士達を集めたのだが、魔道具を作ってくれという話になるんだ?どうしてだ?」


 どうしてと言われても、うーんとかわいく首をコテンと傾げた。


「ケビン、首をかしげても可愛くないぞ。そのしぐさで事を押し進めようとするなよ。どうして次から次へと作るものが増えていくのだ?絶対、ケビンが言ったものは母様達女性陣が圧力をかけてくるものだろう!フレッド様、絶対圧力をかけてくるものですよね?」


 フレッド様が大きく頷いた。しかしここに伏兵がいた。女性の声がした。魔道具士の女性達だ。一斉に女性陣を見る俺達。


「き、きれいな糸ですね。これで布地が出来て、色を付ければ素晴らしいドレスになりますね。メールシー様やアンジュ様がお喜びになりますね」


 君たち、マッサージ器で頑張っていたよね。よし今度はドレスのためのミシンだ。自分たちのドレスだって作っていいんだよ。自分たち用を優先的に作れるようにしてあげよう。特典付きだ!


「エリン達、ミシンは君たちのモノだ!頑張り給え」


「「「えぇぇぇぇぇ、私達美顔器を頑張りました、こ、今度はみしん?ですか。もう少し余韻に浸らせてください。もう始めないとダメではないですか!えぇぇぇぇ」」」


 3人は床とお友達になってしまった。


「大丈夫だよ、なんとなくこんな感じと言うからさ」


「で、ケビン、作り方は知っているのか?」


 イーサン兄様のいつもながらの素早いツッコミに対し僕も素早く答える。


「え!知らないですよ。だから頼むのですよ。いつものことです」


 ここにいる魔道具士達が一斉にため息をついたのは言うまでもない。あははは。


「はぁ、すまないがエリン達がんばれ」


 イーサン兄様もエリン達に委ねた。がんばれ。涙目で僕を睨むんですけど。セドリックに慰めてもらってくれ。くそー、人の恋の応援をしていてどうするよ!


 さてと糸が出来たので、洗い乾燥させ糸を紡ぐ工程を手動で行った。蛹も乾燥させ粉塵の魔道具へ行くような、この一連の作業の魔道具を作ってほしいことを伝えた。


「なるほど、この一連の工程を魔道具にするのか。オルコット領でリル様からいただいた魔石でメリーゴーランドが出来上がった。保冷ショーケースも出来上がりつつある。まぁこれはドバイン様が率先して、そしてカフェを希望する者たちが力を入れていたから進んだようなものだ。これから”けいば″のゲートを作成するところだ。魔道具士が多いので、いろいろな意見、考えが集まりより良い魔道具ができるんだ。本当のいい仲間が増えたよ。これも応用すれば何とかなるだろう。さぁ、どんな布地ができるか楽しみだ」


 ここまでが魔道具士で行えることだったが、これからはドレス部門に託す。快適綿で作った糸を混ぜ込むか。


「ケビン、母様達を呼ぶか?蛹は見せられないが糸になったものは見せられるだろ。母様達を呼んだ方が後々言われなく済むだろ。早めに呼ぼう」


 だがしかし母様達が来てしまったよ。


「エリン達から聞いたけど新しい生地を作るですって!なぜ早く言わなかったのですか?」


 エリン達、母様達に言うのが早すぎだよ。生地が出来てからでいいではないかぁ。父様がしどろもどろに言い訳を展開していた。


「母様、母様達をびっくりさせたかったのです。それに成功するかわからなかったので言えなかったのです。ごめんなさい、母様」


 しおらしく言ってみた。母様がそんな僕を見て慌てふためく。


「ケビン、怒っているわけではないのよ。あなた達が私達を喜ばせようと頑張っているのは分かっているのよ。でも一緒に喜びたかったわ」


「母様、今は糸が出来ただけです。これから染色をして生地にしましょう」


「そうね、ケビンあなたに似合う色を染色しましょうね。どんな生地なのか楽しみだわ」


 女性陣が集まった。フレッド様はアンジュ様に怒られていた。これからは女性主導のもと生地作成に入る。もう僕たちの手から早々と離れてしまった。


 伏兵エリン達は母様と合流し和気あいあいと生地について話をしていた。


「エリンちゃんたちが私達を呼びに来てくれてよかったわ。あの男性陣で話が進んでしまったらどんな生地を作ってしまうか心配だったわ。だって快適糸とヒツジーゼの糸をませ合わせて、騎士たちのアンダーウェア?というものを作ってしまうのですもの。あの人たちは騎士の方に重点を置きがちだから、もう!エリンちゃん達ありがとう」


 ほら、やっぱりエリン達が母様達を呼びに行っていたのか。母様達に現物と蛹は見せられないが生地作りが成功すればいいな。念のため、ドレスと貴族服のデザイン画を渡し色を伝えた。後は頼みまっせ。


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