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185 子供達と遊ぶ

 昼近くまで寝てしまった。ルーアンに孤児院の朝を聞いたら、南側地区から移動した子達は戸惑いながらも、西側地区の子達が手伝い声がけして、皆でご飯を食べたそうだ。よかった。皆笑顔で朝食を食べていたそうだ。笑顔は大事。


「皆さん、ケビン様をお待ちです。よく眠れ、ご飯がおいしいと言っておりました」


「ルーアン、朝行ってくれたの?」


「はい、ルーク様とルーベンス様と一緒に伺いました。神父様、司祭様と話をされておりました。子供達はケビン様を待っております」


「そうか、じゃあ、あっちでご飯を食べようかな。いいかな?」


「料理長に聞いてまいります」


 そのあと、ルーアン、なぜかブラッド、護衛騎士エルビス、そして料理長トーマスが一緒に来てくれた。


「料理長、グリムの様子を見に行くの?」


「そうです。グリムが怠慢に、手抜きがないか確認しに一緒に行こうと思いました」


 で、ブラッドは?とちらっと見たら慌てふためき、言い訳めいたことを言ってきたよ。


「わ、私は孤児院の様子をみ、見に行くだけです。や、やましいことはありません。ニヤニヤしないでください、ケビン様」


 リア充男め。ユリアさんと親交を深めているらしい。まだ恋人より親しい友人枠。でもお互い悩みを相談しあい、食堂でデザートを一緒に食べているそうだ。プチシュークリームにワサビを入れてやる。


 西側地区に着くとすぐ子供達が集まってきた。この中にいても全く違和感なくいられる僕。そうだ、仲良くなるためにみんなで出来る競技をしようかな。題して、西側地区障害物パン競争をしようかな。領地でもしたようにみんなで楽しもう。それともみんなでピザ、肉まんづくりをしようかな。


「料理長、孤児院で親交を深めるためにパン競争かピザ、肉まんづくりをみんなでしようと思うんだ。どう思う」


「ケビン様、そうですね、パン食い競争も可能です。ピザ、肉まんづくり両方してもいいと思います。パン種は作ってねかせてありますし、材料もあります」


「本当?じゃあ、料理長、今日のおやつはみんなで作るピザ、肉まんにしよう。ルーアン、ジュリも連れて行っていいか今度父様に確認してほしい」


 ルーアンにジュリを連れて行っていいか確認をとりに行かせた。


「ケビン様、楽しそうですね。ユリアさんも喜びます。ありがとうございます」


 けっ、ピザにタバスコいっぱいかけてやろうかって、タバスコはまだないけど。荒んでいく僕の心と秋の空。


 ルーアンはジュリと一緒にやってきた。


「にいに、いっしょにおでかけ」


 にこにこしながらやってくるジュリ。可愛いぞ。ペトロもやってきた。


「ピザと言ったら私ですよ、ケビン様。子供達の面倒を私が見ますよ。もちろんケビン様もお子ちゃまなので面倒を見ます」


 ここにもリア充男がやってきたよ。何がお子ちゃまだ!ブラッドとペトロ2人にはロシアンルーレットを2人でやってもらおう。クックックック。


「ケビン様、悪巧み、イタズラを見ようとしてますよね。俺は精霊様達にもイタズラされているんですよ。可哀想なペトロくんなんですよ!」


 知らんがな!さぁ、ジュリも来たことだし、みんなで遊ぼう。


「ジュリ、またみんなでパン食い競争と障害物競走をしようか?」


「うん、パンくいきょうそうすきー。にいに、チョコパンある?あれすきー」


「あるけど数が少ないから、ごめんね、お家で食べよう」


「みんなのぶんないの?おいしいのに」


「ちょっと待っていて。うーん、じゃー、これが終わったらみんなで肉まんとピザを食べるけどチョコパンも作ろうか!みんなで包んで焼こう」


「あい!みんなでいっしょにつくるの!」


 孤児院の子供達とジュリはすぐ仲良くなった。みんなで障害物を用意してパン食い競争を始めた。


 小さい子達は大きい子達が補助をして一生懸命トテトテ走っていた。必然的にみんなががんばれーって声援していた。網に引っかかって出られない子を年長者達が助けたり、パンを選んでいて遅くなったりとみんな笑いながら走って、そして声援していた。


 ジュリはやる気満々。


「ジュリ、がんばれ」


「にぃに、がんばるよ」


 ニコニコ笑顔で手をブンブン振っていた。クルがソワソワしていたのでやりたいんだな、この猫は。


「クル、やりたいなら走ってくれば。一番早いと思うけど。加減して走ってよ」


「しょうがないわね。加減して走るけど美味しそうなパンは私がいただきよ!」


 子供達に聞こえないように小声で喋る。クル、網に捕獲されないようにね。ぷぷっ。


 そして颯爽と走っていくがやはり網に引っかかったよ。ニャーニャー鳴いている。もがくと余計出られなくなるよ。もう!


 そこに年長者のクロンが抱き抱えて出てきた。何だかびっくりした、怯えたような顔をしているけど、まさか喋ったか?


 クルはまた颯爽とパンを咥えて戻ってきた。


「クルさんや、もしかして喋った?」


「お礼を言えない礼儀知らずな私ではないわ!」


 あちゃー、クロン、こっちを見ているよ。


「クロン、こっちに来て」


「は、は、はい、あ、あの、ね、猫が、猫が」


「クロン、ごめんね、びっくりしたよね。あとでみんなに紹介するけど、この猫は、幻獣カーバンクルなんだよ。これは仮の姿。本当の姿は「超絶可愛いわよ。あとで見せてあげるわ」


「う、うわぁーー」


 本当にごめん。この猫は全く、いきなりすぎる。


「クロン、慣れてきたら、あとでみんなに紹介するからそれまでは内緒でお願い」


 クルをチラチラ見ている。


「クルを撫で撫でしてあげて。撫で撫でされることが好きだから」


 おっかなびっくり手を出して、撫でていた。


「うわぁ、綺麗。柔らかい」


「抱っこしてみる?」


「うん!」


 クルさん、気持ちよさそうにゴロゴロ言ってますが!猫ではないか!


 みんながずるーいとやってきて、みんなのアイドル化したクルさん。満更でもない顔をしている。動物セラピーでいいよね。




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