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176 レオンハルト、アルバートと街散策(ケンドリック王太子視点4)

 はぁ、街散策へ行くために、ある程度仕事をやっと片付けた。レオンハルトに一緒に街散策に誘ったら大喜びだ。アリステリアが私が行きたいのにと言っていたが、何とか説得し《《今回は》》諦めてくれた。


 レオンハルト、アルバート、私の3人は髪色、目の色を変え商人風の洋服で出発した。


「父上、父上と街散策、うれしいです、楽しみです」


 目を輝かせてわくわくしているのが分かる。まずは街を散策し、そして待ち合わせの場所がフォーゲリア王都支店予定地だ。


「ケビンのところに行くのですよね、父上。僕がいろいろと紹介しますね。僕は従業員なので!」


 まったくレオンハルトはケビン君のこととなると張り切ってしまうが、ん?従業員?


「従業員?」


「父上、私とレオンハルトはフォーゲリア商会王都支店開業時従業員として手伝いをするのです。私はケビンの雑貨カフェで働き、レオンハルトは魔道具店で働くのです」


 今のように髪色、目の色を変えて手伝うらしい。しかしレオンハルトは働くことが出来るのか?


「レオンハルトに合った仕事が用意されているので大丈夫です。護衛騎士も一緒に働きますので」


「私も働こうかな」


 楽しそうだ。ポロリと本音が出てしまった。


「父上はご自分の業務をしてください。母上が応援に来ればいいのではないですか?美容部門は素晴らしいので母上に合っていると思うのです」


「アルバート、絶対それをアリステリアに言ってはダメだからね」


 あの人が聞いたら絶対行く。これは秘匿、絶対秘匿だ。その後、レオンハルトが絶品という串肉を買い、噴水のところで食べていた。うまいな。3人でこうして食べるのもうまい。


「おー、ケビン、兄ちゃんと子猫連れて食材を買いに来たのか。猫、肉食っていくか?」


 ニャーニャー鳴いている。ケビン?レオンハルトの方を見るとすでにいない。オイ。


「ケビン、こんなところで会えるなんて、クルも元気だった?」


「レオン、あれ、今日王都支店に王宮の使者が来るはずだったよね?レオンが使者?」


 そんなわけあるか!レオンハルトが使者のわけない。


「使者?使者って何?王都を散策してから行こうとしていたの。父上に串肉店を紹介したんだよ。クル元気だった?」


「ちちうえ?ちちうえって誰?」


 会話がおかしいぞ、お前達。ちちうえって誰とはなんなんだ、その質問は?2人で盛り上がってしゃべっている。


「アルバート、あれが噂のケビン君か。子猫がカーバンクル様なのか?」


「あの姿は擬態だそうです。本当の姿は全く違います」


「アルバート、見たことがあるのか?」


「はい、リルの本来の姿とクルの本来の姿を見ました。リルは大きいです。騎士でも踏みつぶされてしまう可能性があります。リルもレオンハルトや私を害そうとするものは踏みつぶしてやると言ってましたからできるのかもしれません」


「そ、そうか。頼もしいな。それにしてもケビン君は似ているな」


「そうですね。ケビンの弟のジュリアスはもっと父上に似てます」


「そうなのか?今日、会えるかな」


 レオンハルトがケビン君を連れてきた。


「ケビン、父上だよ。父上、ケビンだよ」


 ケビン君、びっくりした顔でみつめてくる。まさか王太子の私がいるとは思わなかったであろうな。


「うわぁ、ジュリそっくり。ジュリが大人になったらこんな感じか。良いなあ、イケメン。イケメンはどんな格好をしてもイケメンだ」


 よくわからない単語を発している。いけめん?それにしても予想外の感想だった。王太子がいるではなく、ジュリアスというのは弟だろう、弟に似ていることに驚いていたのか。


「君がケビン君か。ケビン君は私と君の母親のお祖父様、先の国王陛下に似ているよ。そっくりだよ」


 すごく嫌そうな顔をするケビン君。そんなにいやそうな顔をすると君たちの大祖父様が寂しがってしまうよ。それからみんなで王都支店の場所へ案内してもらった。


 土塀に開業までしばらくお待ちを、と横断幕で書かれている。


「この中に商会があるのか?」


 レオンハルト、お前が得意顔をしてどうする。


「父上、この中にすごい施設があるんだよ。いろいろあって楽しいんだ。案内してあげるよ」


 レオンハルトよ、今日は話し合いに来ただけなのだ。しかし施設も興味がある。レオンハルトがわくわくしているのが分かる。


 ボールドウェッジ公爵殿とルーク、そしてメルシーが出迎えてくれた。腕に抱いているのがまだ赤ちゃんの姪か。そして私にそっくりなのがジュリアスだな。メルシーが幸せでよかった。大変なこともあっただろうが、幸せなオーラがあふれ出ている。生き生きしている。


「メルシー」「お兄様」


 メルシーの肩を抱くルーク。私はギロリと睨んだ。メルシーと私が仲良くしたいのだよ。


「ケンドリック様、こちらへお越しいただきありがとうございます」


「ボールドウェッジ公爵殿、詳細と今後の話があるため、このような場を設けていただきありがとう。ルーク、ありがとう。メルシーを幸せにしてくれてありがとう。不甲斐ない兄で申し訳ない」


「お兄様、本日はお越しいただきありがとうございます。今日はゆっくりできるのですか?」


「ああ、時間はある。甥、姪の顔をゆっくり見させてくれ」


「はい、お兄様」


 それからクル様の紹介と本来の姿は圧巻だった。この方々と従魔契約ってレオンハルト、ケビン君2人をこれから守っていかなければと大人たちで再認識した。なぜか、精霊様が集まり紹介された。皆、普通に接している、なぜ普通に接しているのだ?ここには神獣様、幻獣様、精霊様がいる。アルバート、レオンハルトまで普通だ。私だけが内心あたふたしている。


 感情が追いつかない。誰でもいい、私の感情を慮ってくれ。

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