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172 オルコット領再び

 ガーネイル侯爵領からオルコット侯爵領へ戻ってきた。変わったことはワイン工房、美容工房が稼働していることだ。ワイン用の大樽が地下には並んでいた。やることが早い。そして黒馬に出迎えられた。頭を甘噛みされてしまったよ。


 オルコット侯爵ヴィンセント様の嫡男王宮事務官のパトリック様、次男近衛騎士のブライアン様が出迎えてくれた。魔力奉納のためにすぐ呼び出されたが、父であるヴィンセント様がガーネイル侯爵領に行ってしまったため帰るに帰れなく、僕達が戻ってきたら魔力奉納へ行くとのことだった。海を満喫していてすみません。2、3日以内に魔力奉納に行くことが決まった。とりあえず一旦ゆっくり休もうとなった。怒涛の日々だったからね。父様、公爵様、侯爵様ごめんなさい。


 それからオルコット侯爵様が僕に黒馬を譲ってくれたんだ。一緒に連れて行ってほしいって。いいのかな。


 そして命名の時、黒、黒風、ブラックなど見た目で言ってみたがすべて却下されてしまった。ナリタ?、オグリ?、ディープ?と聞いてみたが違うらしい。そうだ、ララアかマチルダがいいか。そして決まった!


 ”ララア”だ。君はこれから馬のニュータイプだって、言っていてよくわからないな。


「ララア、これからよろしくね」


 喜んでいるかな。頬をすり寄らせてくる。可愛いぞ。精霊達も周りを喜び舞っている。


「僕はまだ一人では乗れないから兄様達やルーアン、エルビスが一緒になるから仲良くしてね」


 なんだかいやいやながらも認めているという感じだな。お願い、仲良くしてね。僕まだ全然足届かないから。



 大人達はこれからのことをまた話をしている。魔力奉納に行くのは明後日だし。


 僕とレオンはリルとクルと一緒に散歩に出掛けていた。


「ケビン、今日は何して遊ぼうか」


「そうだね、リル、もっと大きくなれないの?今子犬サイズだけどもう大きくなれるようになった?」


 フェンリルといえばもっと大きいサイズだと思い、俺はリルに聞いてみた。


「ああ、魔力をいっぱいもらっているからもう大きくなれるぞ」


 ん?魔力をもらっているって勝手に魔力を取っているのか?


「私も擬態から本当の姿にもうなれるわよ!見せて欲しい?超絶可愛いわよ」


 擬態?この黒猫の姿は仮のお姿。妖怪化け猫のようになるのか?バシッ、イテッ。いつもの猫パンチ。魔力が戻ったから威力も強いね、クルさん。


「ケビン、クルにまた猫パンチされているよ。あははは」


 レオン笑いすぎだよ。


「じゃー、今、誰もいないから見せてよ」


 ルーアンと護衛騎士達は私たちはいるのですが、という表情だった。


「ケビン様、お二方だけでそれは良くありません。アルバート様や公爵様達を呼びれた方がいいと思われます」


「大丈夫だよ」


 レオンが言い、僕も賛同。


「では、やるぞ」

「いくわよ」

「待ってください、リル様、クル様」


 大きな魔力が流れ出て、フェンリルとカーバンクルになった。リルは大きいシルバーが輝く大きな犬!おいって突っ込まれているけど、大きいもふもふ。もふもふだよ!


 クルは額に赤い宝石、毛並みがフサフサモフモフのピンクのラグドール風。そして耳が長い。毛がピンクって、なぜ?


 これは女の子受けするね。もふもふカフェ作ろうかなぁ。癒されるよね。2匹のモフモフカフェ。王都商会開店記念に俺の雑貨カフェで数日限定でやるのはありかもしれない。連日大盛況かもしれない。


「なんだか、邪な思念を感じる」

「私も感じるわ」


「いいじゃないか、モフモフカフェ。癒されたい人は多いと思うよ!」


 それからリルの背中に乗せてもらった。エルビス達の手でリルの背中に上げてもらった。


 うわー、高い。リルは始めゆっくり歩いてくれた。


「ケビン、楽しいね」


「うん、楽しいね、レオン。レオンが王城に戻ってもこの大きさでリルがいてくれたら安心だね。あと護衛騎士達の鍛錬を手伝ってもらえば強くなるのではないの?」


「そうだね、でも子犬サイズの方がリルは可愛いよ。腕に抱っこできるし。でもこうやって背中に乗れるのも楽しい」


「そうであろう、我はレオンを守るぞ。悪い感情を持つものは踏み潰してやるぞ」


 怖い怖い、踏み潰すなんて簡単に言っているよ。


「ふふふ、この大きさのリルに乗るのは楽しいわね」


 クルはリルの頭の上に乗っている。


「おい!お前は自分で浮くことができるであろう!」


「クル、飛べるの?」


「飛べるのではなく、浮遊や瞬間移動よ」


 ゲームの中のカーバンクルって緑だったようななぜピンク?


「クル、なぜ毛の色がピンクなの?緑ではないの?」


「色は人が考えた空想の産物よ。ピンクは可愛いからにきまっているでしょ!」


 はい!我が道をいくクルさんでした。誰も文句は言えない。どうして僕の周りはたかびしゃ、いえ、すみません、高貴な志を持っている気高き女性が多いのだろうなぁ。黒馬ララァ、バラの精霊ローズレッド、ローズピンク、ローズイエロー、あっ、ピンクはかわいい、イエローは人見知りだった、ローズレッドだけだ。そしてカーバンクルのクル。はぁ、人間の女性、どこにいるの?


「ケービーン!」

「レオンハルト!」


 あちゃー、保護者達がやってきた。僕たちはリルの上に乗ったままだ。


「レオン、来ちゃったよ」

「うん、兄上が来ちゃった。あれは怒っているトーンだ」

「うちもだよ」


 それからはリルとクルは小さい犬猫になり、ショボーンと父様やアルバート様の小言を聞いていた。


「我々がいない時にリルとクルは大きくなってはダメだ。リルとクルは強い。だけど何があるかわからないんだよ。家族なんだから心配なんだよ、わかった?」


「「すまぬ(ごめんなさい)」」

 2匹の尻尾がブンブン振られている。家族が嬉しかったかな。うんうん、みんな家族だよ。


 おっと矛先が僕達にきた。この世界で正座があるかは知らないが、正座で聞いていた。足が痺れた。反省してます、ごめんなさい。しばらくは2人と2匹は大人しく遊んだ。


 パトリック様とプライアン様の魔力奉納する日。途中リルとクルが身を寄せていた大きな木に連れてこられた。


「うわー、大きな木。ここでリルとクルは身を寄せていたんだね」


「そうよ、魔力が少なく体を小さくして凌いでいたのよ。食料とかは森精霊達が運んできたり狩りに行ったりしたわ」


「そだな、森精霊達に感謝だ。あいつらは俺達のことを気遣ってくれる優しい奴らだったよ」


 森精霊達はリルとクルの周りをクルクル回ってはしゃいでいた。仲良しだね。かわゆい。


「そうだ、レオンハルト、ケビン。魔獣などを狩った時に魔石があったが、ずっと保管?放置していたから渡すぞ!」


 えっ?魔獣の魔石。ずっと保管っていつから?


「アル兄、パパさん、こっちだ!」


 アルバート様とうちの父様が大きな木の幹に呼ばれた。


「「うわー!こんなに?」」


 中から声が聞こえた。そんなにあるの?骨がいっぱいあるのか?そう言えば2匹はどのくらい生きているのだろう?父様とアルバート様2人が出てきた。


「魔石がたくさんありすぎる。他に素材となるものがある」


「我々は要らぬものだからいつでも持っていってくれてかまわない」


 その後話し合いで方針を決めるらしい。魔道具に魔石は必要だからありがたい。メリーゴーランドを回す原動力となる魔石もあるらしい。最悪、見えないように人が回すことも考えていたから魔石があって良かった。リル、クルありがとう。


 森精霊達もまた食材を持ってきてくれた。長芋と大和芋、蓮根があった。たこ焼きに使えるよ。森精霊達ありがとう。


 あれ?体が大きくなってきたかな?


 ルガリオ達に聞いたら、魔力が増え森精霊の上位種にもうすぐなるということだった。その時名前つけてあげてね、と言われた。ヴィンセント様に任せようとしたら、俺とアルバート様、レオンで名前をつけて欲しいと言われた。いいのかな、俺達で?





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