171 オルコット侯爵・ガーネイル侯爵のそれぞれの視点と思い
>>>オルコット侯爵視点>>>
娘アンジュと夫のボールドウェッジ公爵次男フレッド君が西地域の寄子フォーゲリア伯爵家の子供達を連れて帰ってくると連絡が来た。フォーゲリア伯爵であるルーク殿は王家のメルシー様とご結婚されたが結婚は大変だったと聞く。ボールドウェッジ公爵が後ろ盾になり結婚に繋がったが、王家からの支援もなく絶縁状態で周りからも快く思われなかった。ボールドウェッジ公爵も大変だったと聞く。
その子供たちを連れてアンジュが帰ってきた。アンジュさんや、肌や髪が美しいではないか?うちのリディアーナがアンジュから送られてきたしゃんぷー?とりーとめんと?化粧品で美しくなった。それを作っているのがフォーゲリア商会と聞く。まだ売り出していないから内緒ね、とリディアーナに言っていたがこの効果は絶大で誰が見てもなぜ、どうして、どうやってと質問攻めであった。ごまかすことが出来ず娘の伝でとだけ言ってしまったのだ。
そしてなぜなのだ?なぜなのだ!アルバート様とレオンハルト様がいるではないか!ケビン君の友達としてレオンハルト様が一緒についてきた?アルバート様はレオンハルト様の従者としているから気にせずにと言われたが気になるでしょうが!もう頭がいっぱいだ。
しかしその後の、その後の、あぁぁぁ、精霊様達がいらっしゃっているなんて。古文書などで言い伝えられている精霊様。人の争い事、妬みなど人の醜い部分に愛想をつかせ、精霊様達はこの国からいなくなってしまったと言われている。その精霊様達が我が家を飛び回っている。アンジュやフレッド君は平然と対処している。妻のリディアーナも対処している。強いよ、リディ。
私は腰砕けになってしまった。涙も出てきてしまった。
森精霊他長老様との会食。そして魔力奉納。息子達がいない分ケビン君にお願いしたのだがなぜかレオンハルト様が魔力奉納をしてしまったのだ。そこからだ、そこからなんだよ。森から小さい動物が2匹やってきたのだ。それもしゃべるではないか。小さいがフェンリル様とカーバンクル様と分かった。ケビン君は犬猫と言っている。犬も猫は仮のお姿だという。そんな大それたことが言えるケビン君。怒らせることは言わないでと思ったら契約をしてしまったのだな。ああ、私ではもう対処できない。
その後ボールドウエッジ公爵様やルーク殿にお越しいただいた。ケビン君はルーク殿に怒られている。森精霊様の恩恵を受け、食材が豊富に取れる。ただし私利私欲に走るような行いをすれば恩恵は消えるという怖い制約だ。これは代々語り継いでいこう。1度の行いが取り返しのつかないことになる。絶対あってはならないことだ。領民達も代々言い伝えてもらおう。
あぁ、それにしてもワインがうまい。これが我が領の特産物になるのだ!
>>>ガーネイル侯爵視点>>>
突然のことで戸惑ってしまった。寄子イグリシアート子爵家、ブルーゼッケン子爵家、西地域のボールドウェッジ公爵様、フォーゲリア伯爵殿、そして同地域のオルコット侯爵ヴィンセント殿がやってきた。話を聞いて信じることが出来なかった。海精霊様?どういうことなんだ。精霊様がいらっしゃるのか?フェンリル様とカーバンクル様がいらっしゃる?どういうことなんだ?犬猫にしか見えないが仮のお姿だという。信じがたい光景。
海から天から精霊様達がいらっしゃった。圧巻である。そして中央が分かれ長老様達がお越しになった。精霊様が、精霊様が我が東地域にお越しになった。隣のオルコット侯爵領には森精霊様がいらっしゃる、我が領は海精霊様だ。こんなことがあっていいのだろうか。
海精霊の長老様はプラージュ様とおっしゃる。。お言葉を賜った。
”魔力を奉納すること。私利私欲、悪事を働かなければ恩恵が受けられること。破った場合は生涯魚も寄り付かず廃れていくことになる″
これは代々受け継いでいく事案だ。領主として領民と共に守っていこう。
始まりは寄子の縁。イグリシアート子爵家、ブルーゼッケン子爵家、そして爵位を返上するオブライエン子爵家、ブラッド、ショーン、ライザ、ステーシーがフォーゲリア伯爵家の長子イーサン殿と友人関係だった。そこから仕事関係で繋がりを持ち、イーサン殿の弟ケビン君と関わった。ボールドウェッジ公爵ライアン殿、長年の友人ヴィンセント、そしてフォーゲリア伯爵ルーク殿。ライアン殿の話を聞き、ケビン君を守っていかなければと強く思う。あの子はこれからも突き進んでいくのだろう。それを我々は支えていく。面白い子だ。東地域が大好きの様だ。ははは。
魚を得るために地引網漁、カゴ漁と魚貝類を獲るために漁の仕方や道具などを考え出し、更には我が領の特産物を発見してくれた。今後は塩の生産、干物?ゆくゆくは養殖?をすると言っていた。干物とは養殖とはなんなんだ!
今後もケビン君との関わりは頻繁になるのであろう。アズマイースト商会はフォーゲリア商会の提携、傘下となった。商会長サフィールは早々とケビン君と握手を交わしていた。あの二人は勝手に東地域を大きな渦に巻き込んでいっているではないか。はぁ、私の仕事が増えるのか?しかしやりがいを感じる。息子たちを呼び戻さなければ。ヴィンセントも息子たちを呼びよせ魔力奉納をさせるらしい。我が領も海精霊様に魔力奉納をしよう。息子たちをケビン君に会わせてもらうよう進言しよう。精霊様やケビン君の期待を裏切らないよう真摯に努めていこう。これは代々受け継いでいくことだ。
近々ウルーチで酒を作ることが決まった。どんな酒か楽しみだ。




