17 夜も更けて大人の時間
*ケビン視点ではないので、誰が会話をしているかわかるようにしています。
>>>ケビンが寝た後の談話室にて>>>
両親、祖父母、イーサン、ロナウドが話をしていた。
祖父「それにしても、ケビンはあれで対外魔法属性がないのだよな。土精霊様を呼び出して、土地を豊かにしようと考える発想も面白いな」
父「そうなのです、父上。ケビンは対外魔法属性はないのですが、鑑定、付与、空間、アイテムボックス、デザイン、クラフト、錬金というスキルを持っているのです。デザイン、クラフトというのがいまいちわからないのですが、刺繍や編み物というものを作るのに形の構成がわかるということなのかもしれません。刺繍にしてもすごい構成だから、そう言ったものが頭に浮かぶのですかね」
母「あの子、カギあみ?という棒まで作って、テーブルクロスを作るのですよ。びっくりですの」
祖母「見てみたいわ、あの子が作ったものを。私、テーブルクロス作ってもらおうかしら。それにハンカチの刺繍も上手いわね」
イ「俺なんて、このアイマスク。絶対笑わせようとしているよな。でも、短時間で疲れが取れるのがすごいです」
ロ「ケビン、付与をスキルで持っているのですよね。ハンカチとか魔力を感じるので、付与ですかね?」
父「ケビンに内密にしているのだが、これを見てほしい」
中央になにか落書きされている皿をテーブルに出した。
父「これだが、ケビンが土精霊様が来週来ると書いてあったと言った皿なんだが、我々は読めない。ケビンは普通の字が書いてあると思っている。これはあの子は精霊様に気に入られたのかもしれない。ただの気まぐれかもしれないが。これからのことだが、土精霊様にはお菓子などをお供えすることは続けていく。問題は収穫したものが多いのだ。領民にも配っているが、ケビンが言うにはお酒ができるらしい。これもケビンの鑑定が教えてくれる。父上、そちらの事業を担ってもらえませんか?ロナウドも魔導士としての仕事はあるだろうが、商人として助けて欲しい。母上も事務的なところを頼みたい。みんなで協力してなんとか領地を活性化させたいと思っているのだ。イーサンは宰相の事務次官だ。たまに戻ってきて手伝ってくれればいいと思っている。
まだあるのだが、これもケビンがメルシーに頼んだ種で出来たものなのだが、寒い時に温かく、暑い時に涼しくなる綿を作ったのだ。それを紡げば洋服などができるし、寝具でもいいと言っていた。ケビンは寝具にしたいみたいなのだ。快適に寝たいそうだ。あやつの考えはいまいちわからない。ただこれを使って領民の生活を快適にしていきたいと思う。今まで苦労を掛けてきた分を還元していきたいと思う。協力してほしい」
祖父「がははは、ケビンは賢いなぁ。賢いのか?新しいことを考えつく神童だな。そしてメルシーのスキルもすごいことだ。想像上の種ができてしまうのだから。お金のなる木はどうなんだ?」
母「お義父様、それケビンと同じ発想ですわよ。それはダメでしたわ」
ケビンと同じ発想にみんなが笑った。
祖父「参った参った。ケビンと思考が同じか、あははは」
ロ「これから忙しくなりそうですね。私もなるべく領地に戻れるようにします」
父「まだ始まったばかりだ。そしてこれが続いていけるように頑張らないとな。イーサン、ケビンが言っていたことなのだが、海岸でいらない貝殻が大量に欲しいと言っていたが、ツテがあるか?もしくは森などの腐葉土が欲しいと言っていたのだ」
イ「そうですね、学園時代の友人が海沿いの領地で小さいが漁村がある。何もなく苦しい生活をしていると言っていいました。貝殻はほぼゴミですよね。対価としては価値はないですよ。物々交換といってもゴミですからね。腐葉土なら辺境伯嫡男ゼーファン様に嫁いだクラウディアに頼んだ方が早いですよね。運搬をどうするかを考えればいいかと思います」
父「そうだな、クラウディアにも近況報告をしないといけないし、森の腐葉土を譲ってもらうよう何かしら話を持っていこう。貝殻のことは腐葉土がダメだった場合考えていこう」
イ「そうですね。それから母上、王家に報告するのですか?自分のスキルのこと」
母「あちらは知っているわよ。このスキルのことを伝えたもの。それなのに無能と言ったのはあちら。その当時の魔導省長官が調べたけど見聞がなくてわからないから無能と決めつけたわ。私たち誰1人わからなかったけど、ケビンが、あの子がこのスキルを聞いて、大喜びしたのよ。それもすごいスキルと言ってくれたのよ。あの子の常識外れた考えがこのスキルの有用性に気づいてくれたのよ」
ロ「ぶふっ、母様、それではケビンが常識はずれの変わったやつと言っているようなものですよ。ケビンが聞いたら怒りますよ。僕こそ常識人だ!と言いそうです」
父「確かに自分こそ常識人だと言いそうだな。発想は豊かで突飛だがな」
祖父「まぁ、今までメルシーのことを無能という評価をそのままにしていた王家に義理立てすることはない。向こうから言ってきたら、何か御用ですか?何かありましたか?と、しらないふりをしよう」
母「お義父様、そのお顔、ケビンにそっくりです。ケビンもその顔をして、ギャフンと言わせてやる!なんて言うんですもの。私は魔法が使えなくても、ここでみんなに助けられて、子供達にも恵まれて幸せです。本当にありがとうございます」
父「何を言っているのだ。君は全く悪いところはない。悪いのは偏見で見る奴らだ。これからもみんなで助け合っていこう」
そして、明後日来るであろう土精霊様、多数の用意をどうするかを話し合って各々の部屋に戻った。
みんなの心は"精霊様が本当に来るのだろうか"だった。




