167 東地域との契約
ここはガーネイル侯爵様領地。魚貝類とヨーモーの腸の皮と羊毛、ウルーチを卸す契約を交わすことになった。塩作りや干物はもう少し時間をかけようとなった。急ぎ過ぎるのも良くないということだ。急いては事を仕損じる、である。
ウルーチは植物栽培のスキルを持つガーネイル侯爵様の次男アベル様に頼むことになった。アベル様は植物栽培のスキルを持っていたが冷遇されていたらしい。次男のため平民になり農家をするしかないと言われていたのだ。なんて勿体無い!うちの母様の創造種のスキルもそうだけど植物のスキルだよ!生きる上で大事なのにそれを冷遇するなんて酷すぎるよ。そういう奴らは食べる資格なーし!
ということで、アベル様を紹介してもらって、うちのコメとウルーチの品質改良をお願いした。おしべとめしべを交配させればなんとかなるのではないの?と楽観的言葉を発してみんなに怒られた。そもそもおしべとめしべとはなんぞやとなりアベル様に説明したところ、アベル様は何か閃いたらしく、改良に勤しんでくれる。
「まさか、うちの次男のスキルが役に立つなんて。今まで申し訳ないことをしてしまった」
侯爵様は後悔の念に駆られていた。これから関係を構築していけば良いのではないかな。ただそれはやられている側の心の傷次第だから修復できるかはわからない。やっている方は忘れるけど、やられた側はずっと覚えているんだから、ここにいたくなったらうちにくれば良いのだ!まだまだ土地はあるので研究室なんてバンバン作ってあげるよ。そこは内緒で打診しておいた。来てくれれば良いなぁ。帰る前にもう一度念を押しておこう。
アズマイースト商会のサフィールさん、おっちゃんには、おっちゃんの妹さん、ステーシー様のお母様とステーシー様が王都のうちの商会で働いてくれること、まぁ、ゆくゆくはロナウド兄様と結婚するから親戚同士になった時のことを話をした。
「なんの縁ですかね。あの時王都でゴミとして扱っていた海藻を購入した人がいるという話を聞き紹介してもらい、ケビン様に出会った。そしてこのように契約というかうちの商会を提携商会にしていただきありがとうございます。あと、けいばというものに参加したいです」
「おっちゃんの東地域の特産屋台と王都商会で特産店(前世のアンテナショップだ)を出してもらうから、その時来てくれれば宿泊する家など提供するから安心してね。競馬は従業員と見に行ってくれば良いと思うよ」
「ケビン様、ありがとうございます。それまでに屋台に出すものを練習して、売り上げに貢献するように頑張ります」
たこ焼き店とイカ焼き店をお願いしている。本当はハマグリやサザエ、ホタテを焼いて出したいがそこまで求めちゃだめだよね。
「それじゃあ、魔鳥で連絡取り合おうね。王都やうちのフォーゲリア領に遊びに来てね。その時は出張旅費と馬車を迎えに行かせるから」
「それがですね、魔道列車の座席をボールドウエッジ公爵様、オルコット侯爵様、ガーネイル侯爵様が年間指定座席を提供してくださったので大丈夫です。それに荷物はケビン様から支給された従業員特典のマジックバッグ魚貝類用と一般商品用に入れて商いができます。本当に便利です。ありがとうございます。ケビン様、待遇が良すぎます。まだ、王都の商会がオープンしていないのに、求人希望が殺到しているらしいです。もっと大きくなると人材も必要になるでしょう。我々もフォーゲリア商会に恥じない行動をいたします。それに不正などをしたら精霊様に見向きもされず、廃れていってしまうので、皆の意識を一つにし、行動していきたいと思います」
なんだか大それたことになっているような?そんなに大きくしたくないのに。僕は細々とやっていきたいんだよ。おかしいなぁ。
「僕の雑貨店兼ちょっと休憩ができる喫茶店を出店しようとしているから休憩にきてね。従業員個室と割引価格でくつろいでもらうから。無料ではないのでごめんね」
「ケビン様、従業員特典が高待遇すぎます。割引価格ではなく正規価格でいいのですよ」
「うーん、でも割引価格でいいんだ。みんなに気持ちよく働いてもらいたいから。と言っても忙しくさせているから、それで精神、心の安寧になってくれればと思っているんだ」
「あははは、そうですね。ケビン様と関わり合いを持つと忙しくなりますからね」
「あー、おっちゃん、それ褒めてる?貶している?」
「ふふふ、忙しくなることはいいことですから褒めているんですよ」
僕はジト目でおっちゃんを見た。おっちゃんは、がはは笑っていたよ。まったく。
「これが軌道に乗ったら、塩の製造ですか?煮干し、干物、昆布、海苔関連は私共でやりますが塩の製造はイーサン様の魔道具開発次第ですよね?イーサン様忙しいですよね?」
「イーサン兄様も忙しいけど、誰か作ってくれるのではないかなぁと思っているよ」
「すごく楽観視してますね、ケビン様。これでまた東地域は活性化すると思ってます。ケビン様、一体、どれほど国の改革をしていこうとしているのですか?」
ギョッ!何言っているの?国の改革?そんなのしないよ!それはアルバート様やレオンにお任せだよ。
「おっちゃん、何言っているんだよ!国の改革なんてしないよ!それらはアルバート様だよ。僕は何もしなよ!〉
「そうですか?なんかしそうですけどね?」
「おっちゃん、そういうことは口に出してはいけないよ。心の中で思って、温かく見守っていこうではないか、と思ってくれていればいいよ。だめだよ、口にしては!」
「あははは、そうですね、ふふふ、温かく見守っていますよ、ケビン様」
あぶない、あぶない。フラグが立つのはイヤだよ。まったく、もう。
僕の老後は商会の王都支店で喫茶店のサングラスをかけたマスターもいいなぁと思っているんだ。サイフォンでコーヒーを落とし、昔ながらのプリン、コーヒーゼリー、クリームソーダ、ナポリタン、サンドイッチ、ホットケーキ、カレーもか?などを提供して、忙しくない時はカウンターに座り新聞を読んでいるんだ。ドアがチリンチリンとなり、常連さんがいつもの、と言って、いつもの席に座るんだ。そういう店にしたいんだ。だから、王都商会の片隅に雑貨店兼喫茶店、テイクアウトできる店、そのような構造にしているんだ。
まだ、僕は諦めていないんだ!領主は兄様達のどちらかかジュリかルーナにお願いすることを。
頑張るぞ!




