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166 朝早くに地引網漁

 朝だ!目覚ましの音で目が覚めた。いつもはルーアンにそれが鳴っていても起きずに、起こされていたのに。


 昨日の夕方に浜辺を父様達と散歩したんだ。夕日が海に沈む光景は綺麗だった。この世界もやっぱり丸いのか?大自然の夕方。海、空、遠くに山、広大な土地、こんな光景はこの世界に転生して初めてだ。夕日を眺めているなんて。空を見上げると異世界と感じる。月ではなく惑星が大きく幾つも見える。星もちらほら出始めている。夜は夜で星が瞬いていた。星雲というものもあちこち見えた。綺麗だったなぁ。


「ケビン様、目覚めるのがお早いですね。珍しいものですね」


 昨夜の光景を回想していたのに、ルーアンそれは嫌味か、嫌味だろうなぁ。いつもは起きないのに珍しく起きているよってか!


「今日は地引網をするから楽しみなんだ。まぁ、魚貝類が取れなくてもみんなで協力することに意義があるんだ。子供達も参加するかなぁ?」


「みんな朝からすでに集まっておりますよ。村などの人たちは早く寝て早く起きるが習慣ですからみんなすでに起きておりますよ」


 その後につながる、ケビン様と違って、と聞こえてくるようだ。


 朝食のダイニングルームにはすでにみんな起きて朝食をとっていた。僕だって早く起きたと思ったのに、みんなの方が早いなんて、そんなー。


「ケビン、遅いよ。僕なんて楽しみすぎて早く起きてしまったんだから」


 レオン、僕だって楽しみで早く起きたんだよ、これでも。


「ケビン、すでに漁師とトーマス達が船で地引網を配置させた。あとは皆で引くだけになっているよ」


「父様、もう配置したのですか?」


「ああ、トーマスや漁師達が張り切っている。それにカゴ漁?それも昨日、海に投げ入れたからのそれも今、回収していると思う」


「うわぁ、やることが早いよ。何か取れていればいいなぁ」


「そうだな、ケビン。まぁ、初めてのことだから結果が伴わなくてもしょうがないことだ。それでは早く食べていこう」


「はい!」


 朝食を食べたあとは父様に抱えられ、レオンはアルバート様に抱えられ、足早に浜辺に着いた。領民達が大人も子供も集まっている。


「ケビン様、おはようございます」


「おっちゃん、おはよう。昨日はあまり話ができなくてごめんね」


「何を言っておりますか。ケビン様のお知恵で我々東地域の商会は徐々に潤ってきているのです。そして今回もこのような催し。ワクワクが止まりません」


 ケビンの知恵って?そんなに知恵を出してないよ?それはおっちゃんが見出したことだからおっちゃんの功績だよ!


 2人で話しているとガーネイル侯爵様がやってきた。


「ケビンくん、このサフィールから話は聞いた。アズマイースト商会に助言をしてくれたのはケビンくんだったのか。海藻のことは聞いた。あのお味噌汁?だったかな、あれの出汁がうちの領の昆布だったなんて知らなかった。あと、ようかん?あの黒い甘いデザート。あれが好きなんだ。ロナウドくんが立ち上げた商会と提携を結べればありがたい」


「商会のことなどはロナウド兄様とフレッド様に話をお願いします。デザートは僕が担当なので色々考えてみます。あとで海藻で作ったデザートをお渡ししますね。この暑い時期にぴったりだと思います」


「あははは、楽しみにしているよ。そしてじびきあみ?漁、こういった漁の方法があるのか。それに道具を見させてもらった。この地域の鍛治職人にくるように伝達した。ドワーフが多いので、その、お酒を少し分けてもらえないだろうか。ルーク殿にはお願いしたが在庫がなくなってきたと言っていたのだ。ケビンくんが大量に持っているはずと言っていたのだが、どうだろうか?」


「父様め!僕が大人になって飲むようにねかしている酒に手を出そうとしているのか!」


「ケビンくん、無理にとは言わないからルーク殿を叱らないで欲しい」


「ガーネイル侯爵様、父様は飲み過ぎのなのです!チクリと言わなければ。ですが鍛治職人さんにお酒は提供しますので安心してください。色々作って欲しいものがあるので。あっ、イーサン兄様にも言わなければ」


「ふふふ、ケビンくんはいつも忙しいね。様々なことを考え出す。ボールドウエッジ公爵様がケビンくんの対応で大忙しだと言っていたのがわかる気がする。さぁ、準備が整ったみたいだ、行こう、ケビンくん」


「はい、おっちゃんも行くよ!早く早く」


「待ってください、ケビン様!」


 浜辺では老若男女いっぱい集まっていた。


「ケビン様、カゴの方を回収しましたが、かなり入っております。道具も使いましたが、あれは画期的です。また刺身にしましょう」


「うんうん、そうだね。刺身にして食べよう。そんなにたくさん入っていたんだ」


「はい、あとはこの地引網ですね。それでは左右の縄をみんなで引っ張りあげればいいのですね」


「そうだよ、ガーネイル侯爵様に音頭を取ってもらおう」


 それからガーネイル侯爵様に音頭を取ってもらい、左右の縄をみんなで引っ張っていった。縄は岩などに引っかかっても破れないよう強化してあるから破れず引っ張り上げられると思うんだ。僕も一緒に縄を引っ張る。重いんだけど。


「ケビン、重いね。楽しいね」


 レオンも張り切って引っ張っている。大人達が一番後ろでほとんど引っ張っているだろうけど、僕の周りにいる子供達も一緒に笑いながら引っ張っている。


 引き上げて行くと、あれ?魚が飛び跳ねているのが見える。これは大量にいるね。


「うわぁ、魚がいっぱいいるよ!」


 子供達の声が響いた。それに釣られ大人達が力一杯縄を引く。


 これは干物がいっぱい作れるよ!煮干しも作れる。タコがいる、タコがいるよ!大きいけど。


「ギャー、魔物がいる、変な魔物がいるよ!」


 それはタコだって!どう見てもタコだよ。鑑定しても名前は似ているけど、ターコだけどタコだよ。食用可、生食可となっている。ん?生食と表示された。ありがたい。でもここは茹でる。


「トーマス、ランドル、カモーン。それを〆て。〆る方法は目の間を突く。口の周りを切り、塩揉みして、洗って茹でて!」


「「かしこまりました!」」


 シュタッて2人が来た。鑑定さんが教えてくれた方法を2人がしようとしているけど目の間?目の間を突くってわかるかな?パパパと処理して大鍋にドボン。怖くないのか?手に絡ませていたよ。初見は怖いのではないのかよ?すごい早業。料理スキルがある人はわかるのかな?ランドルが次々とタコを〆めて、トーマスに渡していた。ランドルに刺身にしたいからそのままのを何匹か活かしておくように指示した。


 地引網の方は大量に魚が入っていた。カゴにはエビ。大量なんだけど、これが海精霊達の加護?


「ウルルン、ウルーン達いる?」


 僕は海精霊達を呼んだ。領民達は平伏しちゃったよ。普通に戻ってよ。


「なぁに?」


「こんなにたくさん取れたのは精霊達の加護があるから?毎回こんなには取れないよね?」


「ん?とれるよ。だいじょーぶ。まりょくがたーくさーんだから魚たちもげんきになったんだよ」


 毎回こんなに取れては過剰だけど加工品を作ればいいのかな?それとマジックバッグで生魚を卸してもらおう。とりあえずガーネイル侯爵様にお伺いを立てよう。


「ガーネイル侯爵様、毎回このように獲れるようです。うちに魚貝類を卸してください。お願いします」


「ケビンくん、しかし魚貝類は鮮度が大事だ。王都やフォーゲリア領に持って行くまでに腐ってしまうよ」


「それはマジックバッグを使ってやり取りしましょう。そうすれば鮮度が良いままでこちらに来ます。契約はロナウド兄様に任せます。王都商会でやり取りして王都商会の俺のコーヒー雑貨店で食事を出しても良いですしね」


「「ケービーン!」」


「ひっ!兄様達。聞いていましたか?」


 丸投げ小僧、ケビン君、怒られる、トホホホ。




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