165 浜辺だ!洞窟だ!
とりあえずみんなで領民達に胃に優しいご飯を配った。みんな昨日は楽しかったね。始めは緊張した面持ちだったけど、精霊達は自由奔放だったのでそれにつられ、領民達もぎこちなさもなくなり、みんな笑顔で楽しく過ごすことができた。これで東地域一丸となって、より良い生活環境を作って欲しい。みんなの笑顔が一番だよ!その土地土地の精霊達も魔力だけではなく、その明るい気持ちが糧になるかもしれない。
海と広大な土地。イーサン兄様の友達、ショーン様の家は漁業と羊の飼育。羊はステーシー様のオブライアン家が飼育していたものを譲り受けている。ソーセージの皮を卸してもらうことと、羊、ここの羊は北のヒツジーゼとは違う種類。ヨーモーという名前だ。
漢字の羊毛だよ、きっと。北の姉様のところで5本指靴下を作っている。ここの羊毛で5本指靴下を作ってしまうと過剰になってしまう。それに素材が温かい。靴下が余計蒸れてしまう可能性がある。別の用途と言えば、ぬいぐるみだ!編みぐるみだっていい!競馬でマスコット売りをするんだ。これはいい。あるじゃないか、材料確保!
父様が二日酔い姿でやってきた。ちょっと気崩した感じのイケメン。なんでも様になるよ。
「ケビン、おはよう。昨日は大活躍だったようだな。イーサンとロナウドから話は聞いたよ」
「大活躍って、人材確保とポロっと心の声が口からとび出てしまっただけですよ」
お前は全くと言って頭を撫でてくれた。ふふふん、気持ちいい。
「イーサンとロナウド、あいつらはあまりこう言ったことに疎い。婚約式とかした方がいいのだろうな。領地と領地の間をとって王都のタウンハウスで婚約式をするかもしれない。これはメルシーと相談しながら考えていかなければならない。ケビンも知恵を出して欲しい」
僕自身の婚約や結婚なんてしたことがないからわからーん!僕に振らないでくれ、悲しくなるよ。前世の兄さんや従姉妹や友達の結婚しかわからないよ。この世界の常識も知らないし。フレッド様に常識を相談してみよう。
「ところでまた何か提案したみたいだけど明日以降で良いか?今日は頭が回らない」
「父様、もう飲み過ぎはダメですよ。母様にチクって怒ってもらいます!」
「チクって?て何」
「父様の行動を逐一報告して怒ってもらうのです。飲み過ぎは体に良くないので、お酒の量を制限してもらおうかなぁ。母様にあなたはこれだけの量しか飲めませーん、と言ってもらおうかな」
「ケビン、頼む、メルシーには内緒で頼む。大人は付き合いも大事なんだ。ケビン、メルシーには言わないでくれ。頼むよ」
「うーん、でも、父様?多分精霊のスパイ、隠密、影がいると思うのです。長老達のスパイもいるはずなんです。だからお酒の話になると長老達がすぐ来るんですよ。だから母様がお菓子でつれば精霊達も逐一報告している可能性がありますよ。気をつけてくださいね」
呆れ顔の父様。よくそんな発想できるなと言われとしまったよ。でも、長老達のスパイは絶対いるはずなんだ!
さてさて、僕は麻で地引網と普通の網を編んだ。そして、カゴ漁か蛸壺漁をするために見本となるものを作った。カゴ漁などは鍛治職人などが作ってくれるかもしれない。
アルバート様、レオン、ショーン様、イーサン兄様、ロナウド兄様、ブラッド、トーマス、ランドル兄弟、あと犬猫を引き連れ一緒に浜辺に馬車で行った。
「うわー、浜辺だぁ」
「ケビン様、こちらに入り組んだ入江がありいい漁場になってます」
ほら犬猫達は走って行ってしまったよ。自由な子達だ。
トーマス達は潜った時の状況を話してくれた。魚やエビ、海藻類、その他によくわからないものが岩についていたと言っていた。海の中が見たいよ。
浜辺もあるけど洞窟らしきものもある。青の洞窟のような感じか?堂ヶ島か?引き潮で何か出てこないかな。夢が広がるよ。今日はここで過ごしたいなぁ、ダメかな?
「イーサン兄様、今日はここで宿泊しましょう。そして明日の朝、魚取りをしましょう。地引網とカゴを作ってきたので明日の朝やりましょう?ね?」
「まて、ケビン。父様達もケビンが言っていた、じびきあみりょう?を見たいらしい」
「イーサン、明日も来るならケビンの言った通りここで宿泊してもいいのではないか?トーマスとランドルもいることだし、料理は任せられるではないか!」
アルバート様の鶴の一声でこれは決まるか?
「とりあえず、僕たちで試してみてから、父様達に参加してもらった方がいいと思うのです。何も出てこなかったら残念になってしまうので、今日は僕達だけでどうですか?」
「うーん、多分一緒に参加したいと思っているよ、ケビン。父様悲しがるよ」
だって期待通りにいかないことだってあるじゃないか!
「アルバート様、イーサン様、我々が公爵様達が希望するのでしたらお連れしましょうか。どうするか聞いて参ります」
ルーアン、コルティ、ディーンら従者達が動いてくれる。それならお願いしたいなぁ。
「コルティ、頼めるか?公爵様達へは無理にとは言わないからそのつもりで。あくまで来たかったらということだ」
「「「かしこまりました」」」
みんなで入江に行ってみた。早速靴下を脱いで海に入ろうとした。
「ケビン、危ないから1人ではいってはダメだ。兄様やトーマス達と一緒に行かないとダメだよ」
「はーい、イーサン兄様」
「レオンもだからな!」
「はい!兄上、大丈夫です」
レオン、その大丈夫が怪しいとみんなが思っているよ。お前もだよって思われているだろうな。大丈夫、その一言は当てにならない、ということだ!
「ショーン様、漁師さん達にこの網を沖の方へ投げて、この縄を浜辺まで持ってきてくるように頼んで欲しいのです。そして明日、領民とこの縄を引っ張り上げましょう。何も出てこなくても、今回はみんなで協力するという目的ですので、過度の期待はやめてくださいね』
僕とレオンは砂浜で遊んだ。トーマス達は泳いで潜って行った。アクティブな人たちだよ。とりあえず活かし網と熊手と三又もり、普通の網を持って行ってもらった。初めて見る道具を不思議がっていたが初めてで使えるかなぁ。頑張って夜ご飯をとってきて欲しい。
「ケビン、ひどいではないか!父様を置いて行くなんて!」
あっ、父様、公爵様、侯爵様2人、フレッド様がやってきた。後ろに恐縮しながらおっちゃんがいた。
「父様ごめんなさい。海を見ていたらここに居たくなってしまったのです。明日の朝地引網をやろうと思ったのでそのままここに居てもいいかなと、ごめんなさい」
「二日酔いの父様だったからな、父様こそすまなかった。トーマス達は潜っているのか。あぁ、すごくここは綺麗だな」
「はい、父様。多分太陽が沈む頃はもっと綺麗ではないですか。楽しみです。そうだ、父様と散歩したいです。あと洞窟探検に行きたいです」
「あははは、ケビンは冒険者だな。一緒に散歩しよう。砂浜を走るのでも良いぞ。鍛錬になりそうだ。ケビンが言っていたキャッキャウフフでもしようではないか!」
えっ!父様としたって嬉しくない!
「そうだよ、ケビン。一緒に走ろう!」
レオン、人はそれを鍛錬というんだよ。砂浜で走るのは足腰が鍛えられるんだよ。俺は無理だからね。
そうだった、ここには家がない。全て寄子達に渡してあるので家の在庫がない。ありゃりゃ、作らないといけないじゃないか!
「ルーアン、ブラッド、家作るよ」




