164 はぁぁぁぁぁ!?
翌朝、大人達は起きるのが遅い!もう飲み過ぎなんだから、プンスコ、プンスコ。魔力奉納もしたから疲れているのかもしれない。僕は厨房に行き、二日酔いの人のために何か作るように指示しよう。
「トーマス、ランドル、みんなにお味噌汁を作ってあげて」
「ケビン様、すでに作ってございます。我々も二日酔いには味噌汁がお腹に染みるのを身を持って体験しておりますので皆様方にも作りました。ご婦人達にはパンケーキとフルーツなどを提供いたしました。女性方はパンケーキがお好きですから」
「配慮ありがとう。今日の海の収穫はどう?」
「昨日の魔力奉納によりたくさん集まっております。やはり地形の関係でしょうか?入江に魚貝類が入りやすいのでしょうか。良い漁場です。浅瀬に魚が見えますよ、ケビン様」
「本当!イーサン兄様達に連れて行ってもらおう。手掴みで魚や貝が取れるかな?釣り道具をそうだ、作らないといけないね。そうすれば、トーマス達も魚類を取りやすくなると思うんだ。あと、砂浜あった?」
「ありましたよ、だいぶ先に行ったところにありました。何をするのですか?」
「大きな網を作って、地引網漁をしてみようと思うんだ。その時は漁師さん達の協力が必要なんだ」
「じびきあみりょう?ですか?よくわからないですがそうですか。ケビン様のすることは楽しいことですから楽しみです。さぁさぁ朝食を食べてください。ケビン様が言っていた魚を捌いて醤油で煮付けてみました。さんまいおろし?にして骨の部分は少し焼いて、味噌汁の出汁にしてみました。骨は全て取り除いていますので安心して飲んでください。あと、ケビン様、うちで作ってますコメがこちらではウルーチとよばれております。粘りが少ないように感じます。だから粉にして団子で食していたと思います」
「そうなのか、水を多く炊いたらどうかな?水の調整で美味しくなれば良いなぁ」
「そうですね、フォーゲリア領のコメと同じように考えて炊いてしまいました。水加減を調整します」
「じゃー、今回炊いた米はオムライスとチャーハン、ヂーズリゾットやバジル風味のリゾットもきのこたっぷり雑炊も胃に優しいと思うよ。振る舞ってあげれば」
「確かにそうですね。飲みすぎたあとゾウスイもいいですね。それも出汁がよく効いたゾウスイ。私も食べたい。早速作ります。領民にも炊き出しのように渡したいです、ケビン様」
「うん、そうだね。領民にも伝えてきてもらおう。ルーアン、大丈夫」
「炊き出しのようにするのでしたら寄親のガーネイル侯爵様にまず話をした方が領民の好感度が上がるかと思います。昨日の宴会もだいぶ皆さん楽しんでおりましたので」
「そうなんだ、じゃぁ、ルーアン、よろしく。僕は料理を作っているよ。父様達が起きていたら伝えておいてね」
「えっ!ケビン様いかないのですか?」
「ルーアン、任せた」
ため息ついて行っちゃった。さぁ、二日酔いの人用朝食と領民達もへのご飯を作ってしまおう。
汁物2種類。おむすび(シャケと昆布)。シャケと昆布はだいぶ前にもらったもの。昆布を佃煮にしてあったのだ!梅干しとわかめご飯。塩おむすび。こうして色々作ると塩がだいぶ必要だよね。ここには海がある。そう海。塩をつくって良いよね?海苔も作りたい。パリパリ海苔も好きだがなんと言っても海苔の佃煮大好きなんだ、ごはんです、ゲフンゲフン。あれを作りたい。ご飯のお供に必要なんだ。あー、色々作りたいものがある。イカの嘴、イカの一夜干し、貝ひもってお酒のつまみやーん。煮干し、鯵の開き、小女子、やっぱり海の物はいいなぁ。
「ケビン様、ちょっと良いですか?」
ステーシー様。昨夜は兄様と先のお話をしましたか?とは聞けない。
「おはようございます、ステーシーお姉ちゃん」
「ふふっ、おはようございます、ケビン様」
「ケビンでいいよ」
「で、でも」
「事前練習でいいじゃないですか?」
「なっ、そっ、えっ、そ、それではケビンくんでいいかしら」
「それでいいです。どうしました?ステーシーお姉ちゃん」
「あのね、叔父さんが来たの。ケビンくんのことを言ったらぜひ会いたいって。どうかな?」
「おっちゃん来たの?じゃぁ、おっちゃんもステーシーお姉ちゃんの家でくつろいでいて欲しい。領民にご飯作ったらそっちに行くよ。いい?」
「わかったわ」
「お姉ちゃん、これ、おっちゃんにご飯持って行って。魚貝類の食べ物やパンケーキも入っているからなんでも食べて。デザートも入れておいたよ。お母様とおっちゃんと食べていて欲しい。デザートはね、おっちゃんから買った海藻で作っているんだ。作り方は企業秘密だけどね」
「きぎょうひみつ?ロナウド様がケビンくんはよくわからない言葉を言うんだよ、と言っていたけどこのことかな?本当にケビンくんって色々作るのね。物知りね。これを叔父さんに渡してくるわ。ロナウド様も持っていたけどマジックバッグがたくさんあるのね」
「お姉ちゃんも従業員?家族になるだろうから家族特典で色々作るよ。楽しみにしていてね」
「ケビンくん、家族になるだろうって、ま、まだ、ま、まだ早いわよ。じ、従業員が先よ」
「家族特典で色々渡すねっ、お姉ちゃん!」
「もう、ケビンくんたら。これ叔父さんに渡しに行ってくるわ」
顔を真っ赤にしてそそくさと言ってしまった。からかいすぎたかな。まぁ、お姉ちゃんが増えるのは確実だな。
ボールドウエッジ公爵様、ガーネイル侯爵様がやってきた。
「ケビン、あの味噌汁はお腹に優しい。ほっと一息つける。ただ食べたいのに食べたくない、でもお腹が空いている状態なんだよ」
「それではゾウスイを食べてみませんか?森の精霊達にもらった沢山のキノコで作ったキノコ雑炊です。味見してください。二日酔いの人たちにはこれを出そうと思っているのです」
「おお、そうか、ガーネイル侯爵殿も食べよう。ここでいいかな?その後炊き出しを持って行く。領民達にも食べて欲しいからな」
料理人達がえっ!ここで?と驚いていた。
「良い良い、ここで良い」
2人して厨房で食べることになった。僕はきのこと卵とウルーチで作ったゾウスイを出した。
「あぁ、出汁がきいて美味しい。腹に優しいなぁ」
「そうですね、ライアン様。おいしいです。この出汁がこの海の物で作られたなんて」
そうだ、塩のことを言わなければ。塩がこれから必要になってくる。
「ガーネイル侯爵様。お願いがあるのですが」
ライアン様がギョッとした。
「ケビンや!何か、何かするのか?今度は何がしたいのだ?え!何がしたいのだ」
「いやだなぁ、ライアン様。そんな大したことないですよ」
「いや、ケビンのことだから大事になる。いつも言われているだろう?これから競馬という大きい催しをする予定なんだぞ。みんな忙しくなるんだよ。わかっているか?』
「大丈夫です、単なる塩を作って欲しいだけです。魚貝類もこれから網を作るのでみんなで地引網漁をします。他にも養殖業をして欲しいけど、これはまた後でいいかな。とりあえず塩を作って欲しいです。あっ、やっぱり地引網漁を先にします」
「「はぁぁぁぁぁ!」」
トーマスやランドル達はまたか、という顔をしているよ。




