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163 精霊様達と顔合わせ

 着々と準備が進み、夜になった。さぁ、みんな始めるよ!


 東地区、寄親、寄子集結。プラス王家、ボールドウェッジ公爵、うちは隅っこの方に座っていた。


 精霊たちの登場方法は月明かりがあったのでスポットライトは必要なかった。海精霊たちは海がざわめき、それから海から出てきてもらった。他の精霊は空から降臨してきた。精霊達が集結し、最後は長老達大御所が登場。モーゼの十戒のように精霊達が中央を開ける。ピャー!領民達を怖がらせてしまった。演出失敗。


 長老様達はいつものメンバーと森の長老様が新たに加わった。そして今回は海の長老プラージュ様が取り仕切る。貴族の最高礼で挨拶し、精霊様を初めてみる東地域寄親ガーネイル侯爵様他多数は恐縮しまくりだった。オルコット侯爵様はすでに面識があるので前回に比べ余裕があるように感じる。領民達も離れて座っているが、ガタガタ震えている。そんなに怖くないよ。


 なんだかいつもと違う威厳がありそうなかんじで雰囲気を作っているよ。よっ、長老様!と冷やかしてはいけない。


 そしてプラージュ様よりお言葉を賜った。


「東地域の海に魔力の奉納をお願いしたい。この東地域の貴族達の魔力を奉納することにより東地域の海の恩恵にあずかれるであろう。しかし、私利私欲にまみれ領民を疎かにし、自然破壊をする者には恩恵は消えることになる。それだけは肝に銘じ、代々受け継ぐようにしなさい。恩恵が途絶えた者の一族はずっとそのままじゃ。返り咲くことはしない。領民も然り。恩恵を受けられぬ者は何かしら海精霊の琴線に触れたということじゃ。それを領主達は領民に知らせること。まあ、悪いことをしなければいいということじゃ。良いな。そうそう、悪意のある別の地域の者たちが密漁に来ても見えないように結界を張るようにするから安心せい」


「「「「「かしこまりました」」」」」


 魔力奉納を皆で行った。強い結界を張るためにここでも僕、レオン、そしてアルバート様が魔力奉納に加わった。みんな悪事を働いちゃだめだよ。魚貝類が寄り付かなくなるからね。気を付けてね。


 それからはまた飲めや歌えや。領民達に海の食材を教えた。イセエビらしき大きなエビを半分に切りグラタン風を貴族、領民みんなに配った。そうだ、厨房に密かに行ってこよう。刺身にしてもらうんだ。


 僕はコソコソと厨房に行った。


「トーマス、ランドル、食べている?料理おいしくできているよ。みんな喜んで食べているよ。ところでエビはまだある?」


「ございますよ。どのように調理いたしますか?」


「殻を全部取って身だけにして欲しい」


 鑑定してみると、生食可とある。よし刺身だ。食べやすい大きさに切って、ワサビ醤油で実食!


「甘くて、ぷりぷり。うまーい」


「け、ケビン様。何をなされているのですか!生で食べるなんて危険です。吐き出して下さい。お腹を壊してしまいます」


 僕を抱え込み吐き出させようと揺さぶる。やめてー。


「やだよ、大丈夫だよ、すぐ〆たから大丈夫だよ。これが時間がたつと腐ってくるからダメだけど、ほら、新鮮だからまだ動いているじゃない」


「ひっ!う、動いている」


 子爵家料理人たちは怖がっている。こんなことで怖がってはダメだよ。タコとイカを捕獲するんだから。踊り食いなんてできないよ。しかしうちの料理長たちは興味津々だった。


「食べてみる?」


 みんな力強く頷く。ではではどうぞ。わさびと醤油をどうぞ。


「甘い!うまい、これは酒のつまみにいいですね」


「この海老の殻は硬いけど、これより小さいサイズの海老の殻ならお味噌汁の出汁に使ったり、唐揚げにして食べてもいいよ。ただし消化器系統が弱い人やアレルギー、痒くなったりする人もいるから大丈夫な人は食べて大丈夫かなという程度」


「あの、ケビン様、消化器系統とは」


「あっ、ごめん、胃や腸が弱い人のこと。食べたら痒くなったり、ブツブツができたりするのがアレルギーというの」


 そうだよね、ポーションや治癒魔法で治すから医学的根拠なんて知らないよね。


「ケビン様、他にも調理せずにそのまま食べられるものがあるのでしょうか?」


「魚も生で食べられるのはあるけど、生食は鮮度が大事!自分で食べる分ならお腹を壊そうと自分が苦しむだけだからいいけど、他人に出すのは考えるよね」


「では生食は我々だけで食べましょう、ケビン様」


「そうだね、生食は鑑定しながら僕たちだけで食べよう。生食にはこの醤油とわさびが一番なんだよ!トーマス、ランドル、これから潜ったあと、生食可能な物を教えるよ。採れたてを食べよう!ニッヒッヒッヒ」


 トーマス、ランドルフ、僕そして自己責任で食べたい料理人でこっそりこれから食べることにした。


「さすが悪どいことを考えなさるケビン様ですね」


「そういうお主らも悪よのう」


 後ろからいきなり声がした!


「お主ら、コソコソと何をしておるのか?我もそれを所望する」


「そうよそうよ、コソコソと厨房に行くから何しているのかと思ったら、美味しそうなもの食べているじゃないの」


 なんでくるんだよ、リルとクル。リルとクルに生食はいけないのではないか?犬と猫は生食はどうなんだ?元々野生で生きていたからオーケーか?そもそも食べていかなくてもいいのでは?ん?わからなくなった。


「何ごちゃごちゃ考えていが我は犬猫ではない!生食なんていつもしていた。こんなので腹は壊さん!」


 しょうがない。渡すか。


「おお、このわさびが鼻にツーンとくるがうまいな。この唐揚げもたくさん欲しいぞ」


 これがリルの感想だ。


「まあまあね、でも私はわさび要らないわ。ふつうのお肉の唐揚げちょうだい。それと海老のグラタンとエビマヨがまた食べたいわ。料理長作って!」


 これがクル。エビグラタンとエビマヨ好きめ!


 この2匹はすでに料理長達を配下に置いていると思っている節がある。ワガママ放題だ!


「トーマス、ランドル、この2匹をワガママ無法地帯にさせてはダメだよ。きちんと"待て!""伏せ"をさせないとダメだよ!」


「ケビン様、そう言われましても神獣様達ですから、敬意を払わなければいません」


 リルは得意げに鼻を鳴らしている。


「トーマス、よく言った。ケビンは我々に対して敬意が全く見られん!トーマス達を見習え!」


「敬意はあると思うよ、多分。でもワガママ放題にさせてはダメなんだよ。躾が大事なんだよ、躾が!」


 料理人達が笑っている。


「食いしん坊の兄弟のようですね!」


「「こやつ(リル)と一緒にするな(しないで)」」


 それからレオン達までやってきて1人で食べている事がバレてお小言をもらってしまった。生食は自己責任だよ!




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