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162 イーサン兄様、甘い言葉はないのかよ!

 今度はイーサン兄様のことを聞かないと、兄様の学園生活、真面目だよね。


「イーサン兄様と学園の時から親しかったのですか?兄様ってどんな学生でしたか?」


 鉄板の質問だ。ランドルフなどに聞いているが人それぞれの感想を持っているから聞くのは楽しい。


「イーサンは初めはな、王族の血が流れている、あの、その、王家が距離を置いている家だ、と噂があったんだ。みんな遠巻きに様子を見ていたんだ。でも、イーサンはそんな噂など気にせず屈託なく話しかけてきて、魔道具コースだから結局みんなで話に盛り上がって仲良くなったんだ。ランドルフ、セドリックとルーティーと仲良くなって、逆にルーティーは平民だからと恐縮しまくっていたんだよ。そんなルーティーにどんどん話しかけていったのもイーサンなんだ。それからみんなでつるんで楽しい学園生活になったんだ。ブラッドも初めは嫌々いる感じだったけど、これもイーサンが話しかけまくってみんなと仲良くなったんだよ。ほんと、こいつは噂などより自分の感性で突き進むやつだったよ」


 ふむふむ、兄様は自分の思ったことを突き進む人なんだよ。噂なんかに流されないで自分の信念をもって人付き合いする人だ。


 僕の兄様、かっこいい!えっへん!そして、皆さん、兄様の友達になってくれてありがとう。


「うちのライザとも仲良くしてくれて感謝しているんだ。うちは末端貴族、おまけに貧乏でこの年代は高位貴族令嬢が多い年だったから、ライザは友達作りに苦労したんだ」


「なぜ高位貴族女性が多かったの?」


「アルバート様が誕生する年だったから、皆さん、なぁ、婚約者、側近候補狙いだよ。アルバート様は2代先の国王陛下だから、未来の王妃となれるのだから躍起になるよね。権力争いの渦中に入ると面倒だからね。下位貴族は関わらないことが一番。だから妹のライザは俺たちといることが多かったんだ。勿論友達はいたが、平民の方が多かったな」


 ああ、なるほど。年齢が近ければそれだけ婚約者、側近候補となる確率が増えるわけだ。特に高位貴族は未来の王妃を狙っているのだね。大変だね、アルバート様。レオンの年も女性が多いのか?女性陣頑張れ。


「まあ、何はともあれ、学園時代はアルは大変だったな」


「本当に大変だった。今も大変だけど。まだこの女性がいいなという方がいない。というか、俺、年上の方がいいんだよ」


「「「「えっ?」」」」


 まさかの年上好き宣言。僕も年上の方がいい。


「アルお兄ちゃん、僕も年上の方がいいなぁと思っています。年上で対等にものを言ってくれる女性がいいですね。貴方にお任せしますわ、あなたがいればそれだけでいいなんて言っている女性は嫌です。結局何もしないで贅沢したいなんて言語道断。一緒に考え、働いてくれる人がいいです」


「わかる!私ははゆくゆくは国王となる定めであるが、国をよくするために一緒に考え行動してくれる女性がいいのだ。今のところそんな女性にお目にかかっていない。足の引っ張り合い、罵倒、騙しあいをしているよ。よくやるよ、と思っているんだ」


 こわっ、怖い、高位貴族女性。中にはいるかもしれないがその中にいては目立たないのだろう。


「アルお兄ちゃんが自分で見つけるしかないんだね。そして自分の目で見て、自分の心で選んだ方がいいよ。噂など信じず自分の信念で探した方がいいね」


「ケビンは度々大人より大人な考えを言うよね。その言葉を高位貴族の当主に説教してくれないか?娘と一緒になってバカな行動をするから困りものだよ」


 親子共々必死になるのは分かるが人の迷惑を考えようよ。強引に事を進めても人の心は付いていかないんだよ。まったく自分が好きだから好きになってもらえるという浅はかな考えはやめようよ。アルバート様は大変だ。レオンもその中にゆくゆくは入っていくのか?頑張れ。


 ショーン様のブルーゼッケン子爵家の仮家で話をすることにした。アルバート様は上層部の話し合いに行ってしまった。


「それにしても今回の会合はすごいな。海精霊様だよ。精霊様がいらっしゃったなんて。この国の言い伝えで精霊様はいらっしゃった。だが人々のいがみ合い、妬み、争いが国中を覆い、精霊様が見えなくなってなってしまったと。その精霊様が姿を現してくれた。本当に凄いことだよ」


 ショーン様が興奮気味に話をしている。ショーン様は精霊様を信じていた人だな。


「なっ、ライザだって精霊や妖精を信じていたもんな。小さい時は海や森に精霊様と妖精を探しに付き合ったよ」


「もうやめて、ショーン、小さい時の行動を暴露しないで」


 可愛いな、小さい時に精霊達を探し回ったのか。今ここにたくさんいるけどね。状況を説明しよう。


 部屋には精霊達が舞って遊んでいる、お菓子を食べている精霊もいる。のどかな空間だ。リルとクルは寝ている。がしかし、イーサン兄様とライザ様の関係はどうなっているんだ?直球あるのみ。


「ところでイーサン兄様とライザ様ってお付き合いしているんですか?」


 ゲホゲホゲホ、イーサン兄様がむせてしまっているよ。


「ケビン、何言っているんだ。ごほっ。ライザ嬢はそ、その仲がいいと、と、ととともだちだ!」


 顔が真っ赤だよ。イーサン兄様頑張れよ!僕はイーサン兄様に目力で声援を送っている。もう一声、大好きだ、愛している、もう君を離さない、なんて何か甘い言葉はないのか。どうなんだよ、イーサンにいさまーー。


 みんなが僕を見る。


「ケビン、声が出ていたよ。イーサン兄様、もう一声、大好き、愛しているよ、君を離さない、なんて甘い言葉はないのかよって」


「あれ?声が出ていましたか?はははは、で、兄様どうですか?」


「ケビン!お前は、なんで俺が恥ずかしくてまだ言えないことをなぜ言ってしまうんだよ!」


 イーサン兄様、本音をみんなの前で言ってしまったよ。そしてショーン様、ブラッド、そして僕、レオン、その他大勢はこの部屋を退出することになった。ショーン様が退出を促す。ほら、みんな行くよ。


「おほほほ、ここはお若い二人でおまかせして我々は退出しますわ」


 僕はまた女の子言葉で?仲人の奥さん?結婚斡旋のおば様?のような言い方で退散する。ショーン様も二人の態度にもどかしさを感じていたのか、率先して二人きりにさせようとしていたから、まぁこれでいいのだろう。


「ケビン、策士だよね。俺が家出しようとしたときのように、今回も芝居じみていたよ」


 レオン、策士ではないよ。ショーン様と同じもどかしさだよ。


「ケビン様、ありがとう。あの二人はお互い想いあっているのに、イーサンってそういうところは積極的に動かないんだよ。もどかしかったよ。ほんと、ケビン様は策士だと思うよ。ロナウド様とステーシーのことだって結局うまくいったよね」


 愛を育んでください、ケッ、リア充め!リア充め!リア充め!






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