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161 キューピッドケビン誕生!(俺はピエロ)〜ロナウド兄様

 あれ?イーサン兄様、ロナウド兄様がそれぞれ誰かと喋っている。イーサン兄様のところにはブラッドも一緒なので学園のお友達!もしやもしや、じっと見ていると小柄な女性が隠れていた。あれがイーサン兄様の想い人か?ロナウド兄様の方は、フフフッ、女性と喋っておりますわねって女の子言葉になってしまったわん。


 イーサン兄様の想い人、ブルーゼッケン子爵令嬢のライザ様とオブライエン子爵令嬢のステーシー様だね。ムフフフ。


 イーサン兄様とロナウド兄様に呼ばれてしまった。


「こら、ニヤニヤしてないでこっちにおいで、ケビン。紹介するよ。うちの弟のケビンだ。色々とやることを増やしていく弟なんだ。多分、絶対、ショーンにも振りかかっていくらよろしくね。ブラッドはいつも大変そうだよ。ケビン、こちらが俺の学園時代の仲の良い友人、ブルーゼッケン子爵嫡男、ショーンと双子の妹のライザ嬢だ。こら、ニヤニヤしない!」


 今度はロナウド兄様の紹介だ。


「本当にニヤニヤするなよ、ケビン。こちらがステーシー嬢だ。この前、ソーセージに使う羊の腸の皮をいただいた人だよ」


 自分のことのように喜んでいるロナウド兄様。そうですか、そうですか、愛を育んでいるのですね。ステーシー様、可愛らしい方ですね。うちの家系は可愛らしい女性が好きなのだね。お祖母様も母様もかわいらしいからね。女性の好みが遺伝に引き継がれているのか?


 しかし下位貴族、子爵家などの令嬢の結婚は見初められて高位貴族に嫁ぐか、同等の爵位の人と結婚か、平民になるかだそうだ。うちは伯爵だから大丈夫。安心して嫁いでください。


「今日は呼んでくださりありがとうございます。私の家は父が急逝してしまったため爵位を返上し、母の実家に身を置くことになったのです。ブルーゼッケン子爵様のご子息ショーン様とライザ様のご厚意でここにやって参りました。母の実家に行く前にロナウド様にお会いできてよかったです。羊の方はブルーゼッケン子爵様で管理飼育していただけることになったので、ショーン様と今後のことを話されるといいかと思います」


 なんですと!お父様が急逝。職位返上、実家に帰るなんて。ロナウド兄様は知らなかったらしく、驚きと共に戸惑っていた。これは何とかしなくては。


「お姉ちゃん、お母様のご実家に帰っちゃうの?お姉ちゃん、何か得意なことある?」


「えっ?!お、おねえちゃん?ケビン様?あ、あの、母は元々商家の出身なので貴族より商家の方が合っているので爵位は返上することを決めたのです。私は刺繍や裁縫は得意です。そういったスキルを持ってます」


「お姉ちゃん、お母様のご実家は商家なのですか?東地域に商会を営んでいるのですか?」


 聞いたところ、な、なんとアズマイースト商会、あのおっちゃんはお母様の弟さんだった。


「あのおっちゃん、お母様の弟だったの?」


 おっちゃん呼びをしてしまったのでロナウド兄様に口を塞がれ怒られた。失礼だぞ!と兄様に怒られた。


「ウフフ、ロナウド様、大丈夫ですよ。確かに叔父様はおっちゃん、というかんじですね。従兄弟に店を任せ、自分の足で行商をすることが好きな叔父なのです。この前、王都に行った時に、こちらではゴミの物が大量に売れたと喜んでおりました。また王都に行くから、今はその海藻集めをして乾燥させて忙しくしておりますわ」


「それ、僕だよ。僕が大量に買ったんだよ。そして今度また大量に買うから別の海藻も集めて乾燥させておいてとお願いしているんだ。あれ?おっちゃんを忙しくさせているのは僕?」


 ロナウド兄様は呆れ顔。縁ってあるんだなぁ。


「おっちゃんとは今後も末長く付き合っていこうとしているので、お姉ちゃん、うちの商会に来ませんか?裁縫、刺繍のスキルをお持ちというので、即採用です!お母様もよろしければ一緒に!うちの商会の美容部門ドレス係をお願いします。レンタルドレスもしますが、新しい斬新なドレスを売り出していこうかな、と思っていたところです。これからは平民の洋服も考えていこうと思います。どうでしょうか?住む家は大丈夫です。家族寮作りますので」


 また饒舌に話を推し進めてしまった。


「えっ、あ、あの、ロナウド様?」


 ステーシー様が困り顔でロナウド兄様に助けを求めた。ロナウド兄様、眉間にしわが寄っているよ。色男が台無しだよ。


「ケビンや、聞いたことがない話だけど、母上は知っているの?」


「平民が気軽におしゃれできる洋服を考えていたので、別におかしな話ではないです」


「待て待て待て、違う違う、そうじゃなくて、母上とかには話していたのか?」


「まだ構想段階だったから母上には話していないです。ルーベンスの商会で平民用の洋服を売り出せればなぁ、と考えてました」


「ルーベンスは知っているの?」


「えーと、忙しそうだったのでまだ言えてません。これ以上忙しくさせていいのかなぁ、怒られるかなぁって思ってました。あははは」


 誰もがため息をついているよ。なぜだ?裁縫、刺繍のスキルを持っているなんて、採用一択だよ。人材確保。


「僕はおねえちゃんを離さないよ」


 ステーシー様に抱き着いた。セクハラか?いやまだ9歳。まだ大丈夫。


 ゴチン、イタッ!


「ケビン、何やっているんだ」


 といってロナウド兄様がステーシー様を抱きしめているではないか。オイオイ、僕はピエロか!9歳のイタイケの少年だぞ。大人げないぞ、兄様。


「あ、あのロナウド様」


 ハッと2人は我に返り2人して真っ赤になっている。


「青春だなあ」


 ボソリと出てしまった言葉。


「ケビン!!ステーシー、すまなかった。そ、その、ケビンが言ったこと考えてみないか?王都のうちの商会で働くことを。うちは人手不足なんだ。この弟がさっきのようにいろいろ考えては無茶ぶりするんだ。うちは福利厚生が充実しているから、家族寮などもあるというか作る。一緒にどうかな」


 そこは俺のところに来ないか、なんて言わないのか?男だろ、漢になれ。まだだめか、商会がうまく立ち回れるようになったら”俺と結婚しよう”か、ケッ、リア充どもめ。ブラッドといい、ロナウド兄様、そしてイーサン兄様か!キィッと睨む僕。僕に寄ってくるのはバラの精霊と馬と猫だよ。それもバラの精霊と猫は僕をこき使うし、(しもべ)ではないんだよ、僕は!


「母に相談するわ。本当にいいのかしら?」


 ステーシー様の手を握りぜひ来てほしいなんて言っているよ。ヒューヒューだよ。俺は冷やかすことしかできないよ。お熱いお2人は放っておき、よし今度はイーサン兄様だ。



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