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159 密漁絶対反対!

 厨房のテーブルには料理長トーマス、副料理長ランドル兄弟が海で獲ったきた食材を並べてあった。貝は海水に付けてあり、魚は生捕りはできなかったみたいなので内臓の下処理をすでにしてあった。さすがだ。


「貝類やエビはたくさんあるね。海藻もいっぱいだ。すごいよ。小魚などいなかった?あー、海の中が見たいなぁ。黒いものを吐いたやつって、絵を描いてきたんだ。こんなかんじの足が複数あるやつ?」


 タコとイカの絵を描いたんだ。ゆるキャラ風の作画だけど伝わればいいんだ。


「ケビン様、足がたくさんありました。こんな感じだと思うのですが、足しかわかりません、すみません」


「いいんだよ、でも確保して吐き出す黒い成分を調べたいね。毒がなければ取って食べることが出来るよ」


「食べるのですか?大丈夫ですか?」


「獲ってみてから考えよう」


「しかしケビン様、あれを獲るのは難しいと思います」


 確かにスミを吐いて逃げるから見失うんだよなぁ。タコつぼ漁、かご漁を試してみよう。


「ちょっと獲り方を考えてみたんだ。漁師の人と協力が必要なんだ。ブラッドのお兄ちゃんどうでしょうか?」


「お兄ちゃん、ふふふっ。わたしはルキアスと言うのだ。アルバート様のことをアルお兄ちゃんと呼んでいるではないか。私のこともルキお兄ちゃんと呼んでもいいよ。あっ、いや、その呼び方はなんでもいいんだ。では漁師に頼んでみよう。そして魚貝類の料理方法を教えてもらいたい。みんなに今日のような料理をふるまってあげたいのだ」


「はい、アルお兄ちゃんは仮のお姿なのでお兄ちゃん呼びですが、ルキお兄ちゃん、ルキ兄様、ルキ兄様ですね。ルキお兄ちゃん呼びはお忍びの時にします」


「ふふふ、そうしてくれ。ブラッドはかわいくない弟だし、もう1人の弟は常に机に向っては魔道具のことを考えてばかりだから可愛い弟が出来てうれしいよ」


「兄上、可愛くない弟ですみませんね。ですが、ケビン様を可愛い弟なんてそんな生易しい弟ではないと思いますよ。もうすでに仕事が増えるような気がするのですが私の考えすぎですかね」


 ブラッド兄弟、何言っているんだ。《《可愛い》》弟ポジションなんだよ。領民のくらしを良くすることを考えているのだから忙しくなることはないよ。失礼な!


「僕もルキ兄様と呼んでいい?ケビンの兄様はイーサン兄様、ロナウド兄様と呼んでいるんだ。ブラッドもブラッド兄様と呼ぶよ」


「レオンハルト様、私はブラッドでいいのです。ケビン様の事務官ですので、お心遣い感謝いたします」


 レオンも兄が増えていくね。ルキ兄様が恐縮してしまっている。アルバート様は笑っているから良いのではないのか。


「ケビン様、これらをどうするかを教えてください」


 料理長達がこれらを早く料理したくてウズウズしている。


「そうだね、まずは領民に還元しよう。浜辺でバーベキューをしよう!自領の海でどのような食材が取れるのか知ってもらうのはどうですか?あっ、そういえばここに来て、海精霊の長老に挨拶していなかった。いつも長老達に会っているし、呑んだくれているから気にしなかったけど挨拶しなくては!兄様達!」


「そうだな、挨拶をしなければ。ではバーベキューにお誘いしよう」


 フォーゲリア家だけで話が進み、イグリシアート家を置いてけぼりにしていた。


「あ、あの、また新しい言葉が出てきましたが、海精霊の長老様?ここには精霊様がいらっしゃいますが、その長老様がいらっしゃるのですか?!少し、お待ちください。我が領の寄親ガーネイル侯爵様に話をしてはダメですか?我々だけの判断できない事案です」


 ルキ兄様が恐る恐る聞いている。すでにキャパオーバーなのはわかる。精霊達が自由奔放に動き回り、リルとクルもまたえらそうに動き回っている。そこへ長老様と聞く。うちもそうだが寄親に丸投げでいいような気がする。


「その侯爵様はいい人ですか?尊敬できる人ですか?」


「それはもちろん尊敬できるお方です。オルコット侯爵様と仲が良く、この東地域をどうにか活性化させようと日々努力をしているお方です」


 ふむふむ、ボロレス公爵だけか?私利私欲まみれなのは!


「ケビン、オルコット侯爵殿がガーネイル侯爵殿に連絡をしていると思うよ。この周辺の寄親寄子を呼んでもらってもいいのではないか?森の精霊様同様、悪事を働くものは漁ができないように約束すればいいのだはないか?」


「そうですね、アルお兄ちゃん、この東地域の海で悪事を働くものは魚介類が寄り付かないとすればいいのですよね、ふふふふ」


 アルバート様と僕は悪どい顔で笑っていた。


「今から魔鳥で知らせて参ります。失礼致します」


 ブラッドのお父さんイグリシアート子爵様が慌ただしく行ってしまった。


「ケビン、お前って、悪事をする奴には容赦ないな」


「ロナウド兄様、当たり前です!密猟をして根こそぎ取られるなんてあってはならないのです!それに自然形態を損なうような行いをする奴らは許さないのです!自分たちさえ良ければという奴らは魚貝類たちが寄り付かなくていいのです」


 そう、前世だってカニの密猟でカニが取られたんだ、とニュースで言っていたのを思い出す。密猟反対!


「ガーネイル侯爵様達はいつ頃来られるかなぁ。今日は領民達のためのバーベキュー用意しないと」


 ルキ兄様が慌てて戻ってきた。すぐくると思うと言っていた。そんなに早く来られるの?イグリシアート子爵様は皆さんを迎えるため準備で忙しくなった。


 長老様に今日バーベキューするから来てね、とウルル達に伝言を頼んだ。


 それから夕方には皆が着くので、バーベキューの用意をし始める。みんな来るんだって。あの時もボールドウエッジ公爵寄子料理人達も来るのが早かった。同じように早馬でくるのかな。


 休む場所を用意してあげたほうがいいのか?


「ブラッド、みんな来るというなら家を用意してあげたほうがいいのかな?ブラッドの家は人を多く収容できるの?」


「できる訳ないじゃないですか!うちは小さい屋敷です。うちは寄子でも末席の方に位置するのです。侯爵様がお越しになるのにこの家では、ケビン様~、お願いします。なんとか、なんとか仮住まいできる家をお願いしたいです。父上達に聞いてきます」


「ケビン、とりあえず、兄様達が持っている屋敷を提供するよ」


 イーサン兄様とロナウド兄様、アルバート様、レオンが持っている家が4つある。これで足りるのか?


 ブラッドが戻ってきた。


 ガーネイル侯爵様、オルコット侯爵様、両方の寄子の伯爵家4、子爵家6、男爵5。全東地域が集まるの?かなり大きい規模じゃないのか?今からなの?まさかこんなに集まるならもう少し時間が欲しかったよ!


「ケビン様、海精霊様との会食と聞き、全員すぐ来ることになりました。オルコット侯爵様もご子息も王都より帰ってきたので一緒に行くと書いてありました。オルコット侯爵様が嫡男も一緒に対応したほうが良いと助言があり、来られるの者は一緒にご子息も来るそうです。奥方様も皆機敏に動かれているようです」


 フットワークが軽い。あれ?食材が足りない?領民もバーベキューしようとしたのにどうしよう。


 ウルンとウルルン、ウオマル、ニンギョ、ヒメがいっぱい海の食材を持ってきてくれた。ルガリオ達や森精霊達もたくさん持ってきてくれた。ありがたい。


「ありがとう、ウルン達。長老様来られるって?」


 可愛く頷いている。君らかわいいぞ。


「うん、また長老達が来るよ。楽しみにしているって」


 達って何?またみんな来るの?


「料理長!大変、これをまた調理して、お願い」





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