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155 犬と猫

 馬車に揺られ、そのあいだも仕事をこなす僕達。レオンにはリルとクルと精霊達と遊んでもらっている。


「どうして馬車の中でも仕事をしなければいけないの?ブラッド」


「仕方ありません、私が昨夜やり遂げた物の精査をお願いします。ロナウド様はこれから売り出すこちらの書類に目を通してください。イーサンはビールサーバーの改良についてドルトンより書類がきていますので確認をお願いします」


 3人してため息をこぼす。オルコット侯爵家に搬入した魔道具一式、これからお酒の販路、商会の王都支店のオーブ準備、競馬に向けた準備、やることが多いんだ。こういう隙間時間に王都支店のオープンの話をしないと先に進めないんだ。


 王都支店のオープン記念で、美容部門は練り香水とバラのチャーム、基礎化粧品サンプルのどれかを選んでもらうことにした。母様達は選べない!全部欲しいと言っていたが、数の関係があるので選んでもらうことにした。男は別にそういうところは冷静に対処できるので気にしない、と言ったら冷たい目で見られた。トホホ。お酒部門のオープン記念はお猪口一杯の飲み比べ3種。3種じゃなく5種ぐらいでもいいのでは、と父様やお祖父様に言われたがこれまた俺は飲めないのでどれか3種で十分ですと言ったら、これまたブツブツ言われたが気にしない。魔道具が決まらないんだ。魔道具はどうしよう、と悩んでいた。


「イーサン兄様、魔道具のオープン記念はどうしましょうか。オープン記念では製品は全て割引価格ですが、次回ご来店割引券を配りますか?それともジャムやお酒お猪口さん種飲み比べ券、僕のお店のコーヒー、デザートセット券、美容部門のオープン記念のどれかを選んでもらいますか?それともうちの領地の体験施設1日宿泊券などはどうですか」


「そうだな、体験施設1日宿泊券は購入してくれた人に抽選をしてみるか?ケビンがこの前余興で箱にボールを入れて、当たりのボールを引けばもらえるという運試しをやったじゃないか。それを購入者にしてもらうのはどうだ?」


「ドキドキワクワクですね。それもいいですね。そこに競馬1日宿泊券も入れますか?それ用の宿泊施設を作りましょうか?それは公爵様に相談しないといけないけど」


 僕たちの話を聞いていたアルバート様が一緒に話に加わった。


「楽しそうだな。なぁ、イーサン、俺も変装するから手伝えないか?護衛騎士達も一緒に働かせようか?」


「アル、君は王族だから無理だよ。厳重警戒体制をとらなければいけないではないか?」


 イーサン兄様、アル呼び。ショットバーで飲んですっかり仲良しになったようだ。


 むくっと起き上がりリルとクルが話に入ってきた。


「我が結界を施すぞ。アルバートは兄だから我が守るぞ」


 結界を張ってくれるならありがたいな。悪事を働こうとするものは入れないにすればいい。その人はそこにいる警備員に身体検査をされ殺傷能力のあるものを持っていたら騎士団に連行できるとすれば良いのでは。でも、手伝いに来るを許容したことになってしまうなぁ。


 レオンも手伝いたいと言っているけど子供だから無理と言ったら、ケビンの方が子供じゃないかと言われてしまったよ。僕は働かされるんだよ、強制だよ!


「結界を張ってくれて、変装すれば大丈夫かな?これは父様とフレッド様に相談しよう。大丈夫ならお願い」


 レオンがしょんぼりしているので、くじ引き景品係でいいのではないかと提案した。箱を持って、くじを引いてもらい景品を渡す係。


「やりたい!楽しそう」


 ロナウド兄様が父様に魔鳥で報告している。うちの魔鳥報告率は多いと思う。魔鳥がヘトヘトにならないのか心配だ。もうこんな家ヤダと言って家出をするかもしれない。魔鳥にはお菓子ではなく魔力をあげればいいのかな?


「ロナウド兄様、魔鳥は魔力をあげれば喜ぶのですか?」


「そうだな、多分、父様が管理しているから父様の魔力なのかな。今度聞いてみよう。そうすればケビン報告用を作ればいいのではないか」


「えー、ヤダ!報告するのは面倒なので」


 大体がケビンのことで報告しているのだから自分でやれ、と言われたけど無理だね。報告することがないもんね。そういうのは兄様達やブラッドやルーアンにお任せだ。


 途中、途中、野営をしながら最東端に行く。野営と言っても家があるので快適に過ごせる。料理は料理長達が一緒に来ているので安心だし、護衛騎士達もテントで快適に休んでいるということだった。やっぱりリルの結界はすごいなぁ。便利だね。


 もふもふだから癒しになる。ワシャワシャしてもふもふを堪能しているが、見た目子犬なのに喋り方がおっさんなんだよなぁ。クルのように年齢を誤魔化した喋り方をすればかわいいと思うんだよね。イテッ、だから思念を読まないでよ!猫パンチと犬パンチだよ。


「ケビン、今度は何考えて殴られているの?」



「レオン、酷くないか?思念を読んで殴るって!考えたのはリルがおっさんぽい喋りだから、クルのように年齢を誤魔化した喋り方をすればかわいい子犬じゃない?と思っただけ」


 イテッ、イテッ。


 みんな大笑いしているよ。それは怒るよって思念を読まなければ気付かれないのに勝手に読む方が悪い!と僕は怒ったけど、神獣だから読まれるのはしょうがないから、考える方が悪いと言われた。くそー、ワシャワシャの刑にしてやる。クルはゴロゴロにゃーの刑だ。首を撫で回してやる!


 ほら、やっぱり犬と猫だよ。


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