153 オルコット侯爵領のこれからの方針
フレッド様がボールドウェッジ公爵様に魔鳥で報告していた。フェンリル様やカーバンクル様に遭遇してしまったからね。報告しないわけにはいかない。
帰ってきた返事がやっぱり私も初めから行けばよかった。今から行く、という簡素な手紙だったらしい。今から来るの?
「長老様達、フェンリル様とカーバンクル様がいらっしゃるので父達がこれから来る。もうすでに魔道列車に乗っているとの連絡が来たよ。これからのことを父と義父上で話をすることになったのだ。ケビン、また話が大きくなったよ。イーサンには魔道具の指導をしてもらわなければならなくなった。こちらにいる魔道具士と鍛治職人、木工職人達を集めて進めていかなければならない。ここにはけいばの話で来たのに、別の商売の話ができてしまった。とりあえず、ケビン、イーサン、ロナウドは東地域の漁村に知り合い?友達がいるのだったな。その人達に会いに行ってすぐ帰ってくるように。私はここで仕事の話をしている。くれぐれもこれ以上仕事を増やさないように頼む。本当に頼む」
僕の目的は兄様達の想い人に会いに行くことと何と言っても魚介類ゲットしに行くのだ。そのためにマジックバッグを大量に作ってきたのだ。出汁を取るために昆布や小魚が欲しい。アサリ、鮑、ロブスター、ホタテなどがあればいいなぁ。小さい漁村と言っていたから地引網漁などをしているのかな。過度の期待はダメだ。落ち着け、僕。
昼前には公爵様がやってきた。ん?父様もいるの?えー!なぜ?領地に帰ったのではないの?
「ケビン、父様はな、領地に帰って仕事をしていたんだよ。本当に仕事をこなしていたんだよ!また、公爵様にケビンがと言われて、慌てて公爵領に行き、あっという間にここ東地域までやってきてしまったよ。初めての東地域なのだが、こういうことがない限り来れなかったなぁ。しかしなぜ今度は神獣様なんだ?どういうことだ、ケビン」
「僕に言われてもわからないですよ。森の奥からやって来たのですから!」
「本当に不思議なことが起こるのだな。それからライアン様に確認し、ここでもお酒造りをすることが決まったのだ。我が領地の酒造りの魔道具を提供することになった。だからギダン、ロゴ、ランドルフ、セドリックを連れてきたのだよ。お酒を造るための魔道具や作り方などは信頼できる領地に任せて、生産を増やしていこうと話がついたんだよ。ここのブドウは食べたら渋かったな。でもケビンが鑑定をして、ワインには適しているとわかってよかったよ。ここではワインを中心に作ってもらうことになったんだ。ここでのお酒はワインとあんず酒と梅酒。麦に余裕がないということなので、ワインを中心にお酒を作ってもらうことにした。うちのワインとは違った味わいのワインになるのだろうな。自生したブドウで作るワイン。楽しみだな。そして、オルコット侯爵領の後はボールドウエッジ公爵領に酒蔵を作る。お酒は競馬と酒蔵の準備を帰ったら大々的にすることになった。今は公共的な道路やトイレなどを整備している。うちの土魔法士達も応援に当たっている。それが終わったら、競馬に向けて本格的準備をして行くことになるのだよ。競馬準備の前に、ケビン、もうこれ以上仕事を増やさないで欲しい。頼む。とりあえずケビン、ここまで話を大きくしたのだ、オルコット領に施設を作ってからイーサンとロナウドの友人達に会いに行っておくれ」
何だか怒涛の父様からの報告。ワインか。ワイン作りの施設を作ってから行くのか。でも、作っておけば後は父様達に任せて、海に遊びに行けるもんね。うんうん、いいかも。でも僕はそんなに仕事を増やしていないからね。
「フレッド様にもそう言われたけど、仕事を増やしているつもりはないんだけどなぁ。父様達、お酒を造らなければいいのではないですか?そうすればその分負担がなくなるではないですか?」
「何を言っているんだ、お酒は大事だ!皆が喜ぶんだよ。そして領地特有のお酒ができあがればもっといいではないか。お酒のことで仕事が増えてもそれは気にならない」
えー、お酒の仕事は増やしていいけど、他はダメだなんて酷いではないか。オルコット領だってこれからお酒を造るから忙しくなるのでしょう?断じて僕のせいではないじゃないかー。
とりあえず、酒蔵地下倉庫を父様とロナウド兄様達土魔法士が作り、僕 は上物、酒や美容の施設を作った。もちろん、お酒を飲み、お茶会ができるサロンを作りましたよ。初めて見るオルコット家の方々は驚愕していたが、イーサン兄様達、見慣れている人たちは自分たちの仕事をしていた。できたと同時に魔道具の運び入れなどをしていた。やることが皆早いよ。
公爵様、侯爵様、父様達は長老達とお酒を飲みながら話をしていたよ。
大人ってずるいよ!
しかし、父様達の話ではボロレス公爵の不穏な行動を聞いたみたいだ。アルバート様とレオンのお父様、現王太子、ケンドリック様からボロレス公爵が馬の賭け事の行事をすると言っていたらしい。ぜひ見に来て欲しいと誘われたということだ。やはり、どこからともなく競馬の話がボロレス公爵に伝わってしまったのだ!ただ、"けいば"と聞いてもわからないだろうが、各地の馬を集めて競争をさせ、賭け事をすると言っていたらしいので趣旨は当たっている。ボールドウエッジ公爵家でも前もって話を広めていたので、こちらが先に考えていた事は南地域以外は知れ渡っている。まぁ、逆にボロレス公爵がどういうふうに行うかは楽しみでもある。だって初めての試みだからイメージしていないと訳がわからないと思う。ただ馬を走られせて賭け事をするだけと思っていても、実際どうやるのだろうねぇ。僕たちがする競馬とは違うかもしれないね。
そうだ、トランペットほしいな。ファンファーレは競馬に絶対必要だ。あの音を聞いて気分が高昇するからね。ドルトン、ギダン、あとはこの前雇ったトルシエさんのお父さん、オズワルドに相談だ。
ボロレス公爵が行おうとする”馬の賭け事”とこちらがする”競馬”の違いを見せつけてやろうではないか。わははは。




