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152 仲良くなった兄様方

 それからはフェンリル様とカーバンクル様を交えて宴会が始まった。いつも思うが精霊様やフェンリル様達はお酒や料理はいらないのではないかな?そうですか、いるのですね、すみません。


 この人たちは一体どれだけ飲み食いするんだ。本当にお酒造りの場所を公爵領とその寄子、辺境伯領以外も作った方がいいのかな。ただし信頼のおける関係の方々のみで。


  僕とレオンは眠くなったのでイーサン兄様とアルバート様と一緒に俺が持っている家で寝ることにした。フェンリル様とカーバンクル様は俺たちの後ろをついて来た。


「2人?ともまだ飲んでいてもいいんだよ」


 2匹と言うと怒られる気がするので2人といってみたよ。


「いや、ケビンやレオンハルトがどんなところで寝るのか気になったから一緒について行く」


 ロナウド兄様はフレッド様、ヴィンセント様と長老達と今後の話をするらしい。


「ケビン、この家は談話室が2階まで吹き抜けになって空間が広く感じるね。2階の部屋のドアを開けると談話室で誰がいるかわかるんだね。ふふっ、内緒話は向かない談話室だね」


「そうですね、内緒話なら執務室か大人達の呑む部屋があるのでそちらで話して、となります」


「え?呑む部屋まであるのか?」


「そうです、見学しますか?」


 眠気が醒めてしまった。アルバート様とレオンは一部屋一部屋見て周り感想を述べ合っていた。


 大人達の呑む部屋はショットバーのような雰囲気で今まで作ったお酒が並んでいる。


「これは何だ?」


 アルバート様がビールサーバーに興味を惹かれたみたいだ。お酒の部屋だからビールサーバー完備。これもイーサン兄様達魔道具士が作ったもの。特にギダン達が率先して作った物だ。


「お兄ちゃん、それはビールサーバー。さっきのところでは出さなかったけど辺境伯領で作っているお酒なの。エールより美味しいと思うよ。飲んでみる?」


「ぜひ」


「イーサン兄様も飲むよね?レオンはオレンジジュース飲んでみる?あとミルク寒天、コーヒー寒天とフルーツ寒天」


「あっ、その黒いのはこの前俺のマジックバックに入れてくれたこーひーか?俺も欲しいな」


 アルバート様、コーヒーにハマったか?


「お兄ちゃん、コーヒー美味しかった?まだ、量ある?無くなったら補充するよ」


 まだ、アルバート様をお兄ちゃん呼びしているけど、本当にいいのかなぁ。何も言われないからそのままにするけどね。


「ケビン、コーヒーが欲しい。まだ王都のフォーゲリア商会が開業していないからどうしようかと思っていたのだよ。あるなら欲しいな。父上も実は飲んでいるんだ。紅茶よりコーヒーの方が好きなんだ。あとはすまん、シャンプーとトリートメント、化粧品を母上と大祖母様が無くなることを心配しているんだ。密かに融通してもらえないだろうか?」


 王家御用達にはなりたくないので、密かに渡すよう何か考えないといけないな。イーサン兄様もその問題に対して思うことがあるのだろう。これはみんなに相談だ!


 それからショットバーでビールとおつまみを出し、僕とレオンはジュースを飲んだ。僕はグレープフルーツジュースだよ。フェンリル様とカーバンクル様はお菓子を食べていた。甘党か!


「レオンハルトがケビンと出会ってから目まぐるしく状況が変わっていく。まさか精霊様の他にフェンリル様やカーバンクル様に会えるなんて奇跡だよ。イーサン、これからも大変なんだろうな。レオンハルトとケビンが一緒だと相乗効果を生んで大変になるのだろうなぁ。父上に魔鳥で報告しなければ」


 お互いの兄達がしみじみ言っている。そんなに目まぐるしく状況は変わっていないと思うけど。たぶん。


「ははは、そうだな、アルバート。長老様にも言われているようにもっと忙しくなるのだろうな。アルバートとレオン、ケビンをこれからよろしく頼む。ケビンは同年代の友達がいないんだ。本当におっさんしか周りにいないよな!」


 頭を撫で撫でされながら話を聞くが、確かにオッサン率が高いんだよ。


「レオンハルトだって、今まで同年代と交流していなかったから友達はケビンしかいないよ」


 僕たちは顔を見合わせて、お互いを慰め合っていた。でも、レオンが王立学園で飛び級してこないかと言ってきた。王都はやだと答えておいた。


「何でだよ、ケビン、王立学園に入学するよね?しないの?」


 アルバート様やイーサン兄様まで僕を見ているよ。


「うーん、王立学園は別に入学しなくていいかなぁ。うちの領、フォーゲリア領地に学校を作ろうかと思っているからそこに入ろうかなぁと考えているんだ」


 慌ててイーサン兄様が僕の考えを説き伏せ始めた。


「ケビン、王立学園は社交の場であり、今後の友達や先輩後輩の関係など形成するのに役立つときもある。今だって、その時一緒に学んだ友人や先輩達がうちで働いてくれるようになった。王立学園も役に立つよ。それにケビンが入学して変えてしまえばいいのではないか」


「イーサン兄様、変革は労力と体力と精神力が必要なんですよ。昔からそこに居座った人達は変革を拒絶するのです。僕みたいに小さい者はすぐぺちゃんこになってしまうのですよ。そして異分子として扱わられてしまうのですよ。打ち破るには大変なことだと思うのです」


「ケビン、悟りを開いているのか?まぁ、ケビンの言っている事は正論だ。新しくしようとすると、古狸達が騒ぐ。自分たちに利益がこなくなるからな。魔道具科でのドバイン様を排除したのも自分たちの利益のためにしたことだが結果的に学園と王宮魔道具研究所の衰退を早めただけだろう。だって、優秀な人材はフォーゲリア商会の魔道具研究施設に来てしまったからな。王宮の魔道具研究所はコネでしか入らないボンクラ揃いだからどうしようもない。いまさら変えるわけにもいかないから、さてさてどうするのだろうな。ふふふ、楽しみだな。悪あがきするあいつら」


 いま、アルバート様は悪代官のような顔をしているよ。まあ、確かに試験に来た今年の卒業予定者、まったく発想力がなかったよ。これで王宮魔道具研究所で魔道具士するのだから、何作ろうとしているのだろう。魔道具研究所、あ、でも魔道列車作った、のは、ドバイン様だ。ドバイン様を排除した魔道具研究所、機能しているのか?知ったことではないけどね。よそはよそ、うちはうちである。うちの魔道具と似たようなものを作っても別に構わないと思っている。うちの製品は自慢ではないが優れている。絶対まねできない製品だと思っている。真似ても同じように作れないと思うがもしかしたら作れるかもしれない。


 話はそれてしまったが、王立学園は遠慮したいなあ。


「じゃあ、僕がケビンの領地の学校に行けばいいかな。魔道具士コース作るでしょ!フォーゲリア領の方が魔道具士になるにはいいと思っているんだ。魔道具研究施設もあるし、兄上いいよね」


 兄達2人は何言ってんのって顔だよ。レオン、何言ってんの。君は王族、王立学園行くでしょ?


「いやいやいや、レオンハルト、まだフォーゲリア領での学校はできていないんだよな?まだできていない学校に行くというのは時期尚早だ。王立学園をまずは考慮していこう、なっ、レオン。もしフォーゲリア領に学校を作ったとしても、ケビンが思い描く学校は高度な気がする。ケビン自体が高度な学力を持っているように思う。そのためにレオンハルト、お前も学力向上に努めなければならない」


「はっ、確かに計算ドリルを渡されたけど、高度な計算方法だった。勉強はケビンに教わった方がいいのではないか?」


「いやぁ、僕、この国の常識知らないし」


 みんながガクッとした瞬間だった。イーサン兄様なんて、納得した顔をしているよ。アルバート様は大笑いしているし、どうしましょう。


「もう少し常識を覚えたら考えるね」


「そうだな、ケビンはそこから始めないとダメだな。常識を身につけなさい」


「イーサン兄様、僕のこと常識人と思ったことは」


「ない!」


 即答かよ!


 結局大きなベッドにレオン、僕、フェンリル様、カーバンクル様、抱き枕で寝た。兄様達はまたショットバーに飲みに行ってしまった。あの2人仲の良い友達のようだ。距離が縮まってよかった。





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