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151 魔力を奉納したら・・・

 飲み過ぎる前にまずはオルコット侯爵様の魔力を土地に流した。魔力量は多くないため、少しだけ元気になったのかなと思える程度。次に僕だ。でも僕の隣で一緒にレオンがやってきて、魔力を流していた。えっ、何してるの?


「レオンハルト!何やっているのだ!」


 アルバート様が勝手に魔力を流すレオンを叱っていた。


「だって兄上、息が苦しいという声が聞こえてきたんだよ。僕の魔力もちょうだいって言われたから渡したの!」


「え?だ、誰に魔力ちょうだいと言われたんだ?」


「うーん、わからないけど聞こえてきたんだ。苦しいから魔力ちょうだいって」


 レオンハルトは何か生き物の声が聞こえるスキルなのか?ん?アルバート様が何かレオンを鑑定しているのかな?目が金になっている。はっ、目があってしまった。慌てて目を逸らすことにした。


 アルバート様がレオンの頭を撫でている。でも、なんだ?何の声なんだって、ほらー、なんか来たよ。子犬?と子猫?


「はぁ、なんか、来たよ、レオン」


 僕は諦めの境地に陥っていたがレオンはそちらの方を見て目を輝かしていた。トコトコと森の奥から白い犬と黒い猫が2匹やってきた。お願い、喋らないで!


「その方達が魔力を流してくれた者か?助かった。魔力が少なくなってきた土地だが見捨てることができず、小さくなって過ごしていたのだ。我はフェンリル、この森と山々を守っていた」


 小さい|(なり)して偉そうだな。


「これ、ケビン。その思念はダメだわい!」


 土精霊長老ルービエンス様にバレていた。ちらっと見たら、子犬にも思念がよまれていた。偉そうにこちらを見ていた。


「私はカーバンクル。このフェンリルに助けられたのよ」


 こちらは可愛く言っているがきっとおばあちゃんなんだろうな。


「「「これ!ケビン、思念。それもだめだ、ばばぁといってはだめだ!」」」


 僕、ババアって言ってないよ。おばあちゃんだよ!


「お前達!お前達の方が姿もジジイのくせに何言っているのよ!」


 長老様と子猫?がけんかし始めてしまった。どっちも歳だってことだろう?どっちもご長寿ってことよ。


「「「おい!」」」


 矛先を俺に向けないでよ。でも、これどうする?アルバート様と侯爵様にお任せだな、これは。


 最高礼をアルバート様がしたので皆で倣う。


「フェンリル様、カーバンクル様であらせられますか?私、この国フェノランド王国 現国王の孫であり王太子の第一子、アルバート シュバイツア ヘムスタット フェイノランドと申します。2代先の国王となる定めの者です。そして弟のレオンハルトです。先ほどはこのレオンハルトと私の従兄弟のケビンが魔力を流しました。私の弟レオンハルトに思念を送ってくださったのはフェンリル様でしょうか?」


「そうだ、その者、ケビンと言ったか、そちにも思念を送ったが無視された。レオンハルトは感じ取ってくれる優しい子よ」


「そうね、レオンハルトは優しい子よね。おばあちゃんなんて言わないわよねぇ」


 誰もが僕を見て、そんなことを言ったのかと呆れ顔を向けられたよ。トホホ。


「ケビン、おばあちゃんなんて思ってはいけないよ。可愛い猫様ではないか。これからはその考えはやめなさい。わかったね、ケビン」


「はい、イーサン兄様!おばあちゃん猫だとは言いません」


 シャーって言って僕の頭の上に乗ってきたよ。まるで肩車をしているようだよ。頭に爪を立てられている気がする。


「ここの位置はいいわね。魔力ももらえるわ」


「何だと!我も」


 レオンに肩車している感じだね。あはは。これはどうしたものか?レオンは喜んでいるが、僕はアルバート様に助けを求めた。


「あの、フェンリル様、カーバンクル様。そこではレオンハルトとケビンが身動きが取れないと思うのです。降りて来てはもらえないでしょうか?」


 アルバート様、神。


「しょうがない、降りよう。この土地に魔力が戻った、ありがとう。北や西にも魔力が復活したのも王家の魔力が流れたからだな。この国の土地に魔力が一部を除けば戻るだろう」


 一部?ボロレス公爵のところの南地域か?


「北と西は王家の魔力が流れたというのは?」


「ケビンとケビンの母親とケビンの姉が北と西の一部に魔力を流したであろう。特にケビンの母が魔力を流した所は魔力に満ち溢れておるがな」


 魔力を流しましたね。えぇ、母様の優しい魔力が溢れ出ました我が領地。


 アルバート様やイーサン兄様が僕に説明を促そうとしている。


「そうですね、うちの領地、フォーゲリア領に母様の魔力を流しました。ルービエンス長老様に頼まれて、僕の魔力と母様の魔力をドバッと流しました。北は姉様の魔力と僕の魔力です」


「そうだな、領地に帰った時に違う領地に来たと思ったほど変わっていたな」


「そうですね、イーサン兄様。広大な土地に黄金に輝く麦が実り、見たことがない量の野菜があり、そして精霊様達が飛び交う光景が今でも忘れられません。そしてあの時から怒涛の忙しさになったのですよね」


 兄様達2人、目を閉じながら光景を思い出し、しみじみとその時の思いを語っていた。


「なるほど、そして東地域はケビンとレオンハルトの魔力が流れたということか。フェンリル様、王家の魔力を流せばこの国に魔力が戻るのですか?」


「いや、王家の魔力を流したとしても、土地に求められない魔力は流してもムダだ。そもそも、精霊がすでに見切りをつけた地域は流したとしてもムダなのだ。今は気候などの環境で豊かになっていたとしても、気候変動により対応できなくなったら終わりな土地なのだよ」


 これは南地域のことを言っているのかな?豊かな土地だが独占的な商法をしていると聞いている。あのボロレス公爵が後ろ盾のガーゴイヤ商会か。



 ふと、ロナウド兄様が変なことを言い出した。


「なぁ、ケビン。ケビンがイーサン兄様に作ったぬいぐるみに似てないか?あの白いフサフサした犬。他にも小鳥やキツネ、オオカミ、よくわからない海や川の生き物?らっこ?ぺんぎん?かわうそ?ジュリにはドラゴンなどを作ったよね。まさかだよね?イーサン兄様、あのぬいぐるみに似てますよね」


 マジックバッグからぬいぐるみを出したイーサン兄様。


「確かに似ているね」


 見比べる兄2人。


 変なフラグを立てないでよ。僕だってイーサン兄様に癒して欲しくてもふもふ、フサフサの快適綿入り白い犬を作ったけど、確かに似ていると思ったよ。思ったけど気にしないことにしたんだよ。気にしないことが一番。出て来たらその時考えればいい話。 


「可愛い、本当に似ているね。ケビン、僕もこういうのが欲しい。このぬいぐるみを抱きしめたらひんやりしたんだ。何か特殊効果つけているの?」


 レオンが興味深く見ていた。そして抱っこしたり、お気に入りのキャラクターを選んでいた。今日寝る時に試してもらおう。


「確かにテントや寝袋もそうだったが快適に過ごせるのだ。なぜだ?」


「そ、それは父様に聞いてください。もしくはフレッド様に」


 フレッド様に振ったがこればかりは無理か。


「いや、それは当主のルーク様に聞いてください。ケビン、他にもどんなぬいぐるみを作ったのか?私がもらったのは、馬だったな。何だかツノのある黒い馬だったが、ん?」


 そうだ、フレッド様には馬好きと言っていたのでツノがあり、立て髪が黒と赤の黒いバイコーンにしてしまったのだ。その時はかっこいいと思ったのだ。アンジュ様にはそれをかわいく立て髪をピンクと水色にした羽のあるユニコーン。ゆるキャラ風にしたユニコーンだ。


 いやいや、ないから大丈夫。架空の動物だよ。


 趣味で作ったぬいぐるみを出して見せた。やばい、黒猫もいたよ。抱き枕も色々な動物のキャラクターを作ったんだ。ゆるキャラ風でかわいいと思うんだ。


「これはなに?」


 アルバート様も興味を惹かれたみたいだ。


「それは抱き枕です。癒し効果抜群です。ぐっすり寝られると思います」


 アルバート様とレオンは興味津々。アルバート様なんてペンギンの抱き枕を気に入ったみたいだ。レオンは柴犬もどきの大きい抱き枕。オルコット侯爵様はハムスターの抱き枕。みんなそれぞれ抱き枕を選んでいた。抱き枕は基本ゆるキャラだから見ていても癒されるだろう。


 僕の抱き枕はごまふあざらしの赤ちゃんをモチーフにした抱き枕とハスキー犬だ。ゆるゆるキャラはかわいいんだよ。


「こら、お前達我々を置いてけぼりにするな。我にもそれを所望する」


 えー、ペットグッズも作らないとダメなのかな?猫じゃらしとかペット用トイレと、あとはと考えていたらベシッと顔面に猫の手が当たった。ペットじゃないって、ごめんなさい。心の声を読まれると困るなぁ。




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