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149 オルコット領〜森の精霊様に会いにいく

 今日は森精霊様に会いに行くのだ。みんなで馬に乗って行く。念のためうちの料理長たちに同行してもらう。新しい食材があった場合を考えてのことだ。


 僕はあの懐かれた黒いかっこいい、ゲフンゲフン、美しくてかわいい馬に乗っている。後ろにいるのは僕の護衛騎士、エルビスだ。


 出発準備をしている時に、黒馬がやってきて洋服を引っ張るんだ。


「ケビン君はこの馬に懐かれたね。これに乗って森まで行けばいい」


 オルコット侯爵ヴィンセント様が快く貸してくれると言っている。


「えっ、いいのですか?」


 今度は馬に話しかけた。


「大丈夫?僕の護衛騎士のエルビスが一緒に乗るよ?」


 早く乗れというように洋服を引っ張るんだ。


「ケビン様、それではこちらの馬に鞍を付け替えますね。ケビン様、馬に懐かれていいですね」


 ここでも言おう。何度でも言おう。なぜ人の女性ではないのだ?僕は牝馬に懐かれているんだ?


「一緒に森に一緒に行ってくれるんだね。ありがとう。楽しんでいこうね」


「ケビン、もう少し大きくなれば一人で乗れるようになるよ。もう少し大きく慣ればね」


「ロナウド兄様、まだ成長途中なのです。いいんです、地道に背が伸びれば。ぐーんと伸びてかっこいいケビン君になってしまってはみんながびっくりしてしまうので、徐々にイケメンケビン君になるんです」


「あははは、かっこいいケビン君になるのか。よしよし、がんばれ」


 頭を撫でられても嬉しくないぞ。レオンはアルバート様の前に乗っている。


「ケビン、楽しみだね。ケビンと一緒にいると楽しいことがいっぱいあるね。僕は今回初めて魔道列車に乗って、他の領地に訪れたり、馬で遠出するなんて夢のようだよ。兄様と一緒に馬に乗って遠出できるのもうれしい」


「レオン、兄様も遠出は初めてだからわくわくするよ。お前の突飛な行動によっていろいろ楽しい経験をしていることも事実だ。困ったものだな。レオン、ケビン、ほどほどに頼むよ」


 レオンとアルバート様は本当に仲のいい兄弟だな。しかしなぜ矛先を僕にするんだー!


「お兄ちゃん、僕は何もしていないよ!ほんとですよ」


 みんながみんな、俺を見てやれやれって顔をしているんだ。それから俺はレオンに助言した。


「レオン、考えてから行動しようね。思い立ったからといって行動しちゃだめなんだよ」


「「「お前(ケビン様)に言われたくない」」」


「ほらみんな行くよ!」


 僕は先を促した。まったくみんなひどいよ。僕はやらかしてませーん。



 そして僕たちは森を目指した。山の麓に大きな森がある。山といっても富士山のような高い山ではないがいくつもの山が連なっている。ハイキングにいいかな?でも、ここの山や森でも魔獣は出るので注意が必要だよ。万全の体制を取っていくことが大事なんだ。屈強の騎士達が周りを取り囲んでいる。オルコット侯爵家騎士団は、王家主催騎士団対抗戦では上位の方らしい。ちらほら騎士団対抗戦のことを聞く。この後ろにいるエルビスだって以前はポロレス公爵の騎士団長で上位というか優勝戦などでも活躍していたというのだからすごい人物だよね。それが僕の護衛騎士なんだ、過剰のような気がするけど、本人が僕の護衛騎士がいいというから気にしないでおこう。


 うちの騎士団達は今年こそは上位に行くぞ!と意気込んでいる。そのための基礎トレ、筋トレや体幹トレはもちろん対外戦に向けたトレーニングをしている。


 今年の騎士団対抗戦楽しみだな。今まで、その記憶がないので関心がなかったのだろう。今年からは関心があるよ。ぜひ上位に位置付けて欲しい。強制ギブスが必要か?タイヤに紐をつけてウサギ飛びはどうだ?って、違うがな。それはアニメの世界だよ、と1人脳内ツッコミをするケビン君であった。


 そうこうしているうちに、森がだんだん近づいてきた。すごく大きな森だ。


「ケビン、森精霊達はずーっとずーっと奥にいるんだよ。結界が張ってあるから誰にも気づかれないようになっているんだ」


 ルガリオが説明してくれた。すごい、結界まで張られているんだ。こんな奥地まで人は来ない、来れないと思う。


「すごい、オーラが神々しい」


 アルバート様もオーラが見えるんだ。さすが王家。


 森の木々がざわめきだした。森の精霊様が登場するのか?あの、もののけの白いのがずらりと木々にいたらどうしよう。ドキドキ。木々が先ほどより大きくざわめいている。


 結界が解かれたのだろう、ずらりと森精霊様がいた。おおー。


 中央にヤギ?じゃなかった。長老様っぽい。


「これ、ケビン。お前さん、何か変なことを考えたか?」


「い、いえ、まったく変なことを考えていません。立派なおヒゲだなぁと思っていただけです。決して変なことは考えていないです。たぶん」


「ほっほっほ、まあよいよい」


 まずい、考えていることがばれていたのか。ごめんなさい、長老様。こっち見てニコニコしているからわかっているのかも。本当にごめんなさい。


「あ、あの、森精霊の長老様、挨拶をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」


 アルバート様は髪色を戻し、長老様に最高礼の片膝を立て挨拶を始めようとした。それに倣い、皆、同じように最高礼を行った。


「私、この国フェノランド王国 現国王の孫であり王太子の第一子、アルバート シュバイツア ヘムスタット フェイノランドと申します。2代先の国王となる予定です。そして弟のレオンハルトです。この国に既にいないと言われた精霊様がいらっしゃることに驚くとともに、うれしさを感じております。このようにお会いできたこと、まことに奇跡と言わざる負えません」


「ほっほっほ、我々は人間に姿を見せないようにしていただけだ。そして関りを持たないようになった。しかし土、水、火、風、海精霊たちが最近人間と交流を持ち始めたことを聞いた。そして我々も会いたくなっただけの事よ。再度人間が不愉快なことをするようであれば、見捨てるまでよ」


 そうだよね、精霊様の威を借りて横暴なことをしてはダメなんだよ!人というのは慣れてくると謙虚さがなくなっていくんだ。そして勘違いして、図に乗っていくんだ。自分がなんでもできる人間だと勘違いしていくんだ。精霊様の信頼を損なわない行動をしなければいけない。気をつけなくちゃ!


 それからみんな自己紹介して、宴会となってしまったのはいうまでもない。

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