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146 オルコット侯爵家と精霊達

「おいひい!」


 食べる方を優先させた僕。しっかしバターと醤油の風味がうまいよ。


「ケビン!みんなを説明して迎えに行っている間に先に食べるなんてひどいじゃないか!」


「イーサン兄様、ごめんなさい。これ、美味しいです。食べてください」


 食べかけだけど、ちょっとしか食べていないから大丈夫だよね。


「いいよ、ケビン、食べなさい」


「ありがとう、イーサン兄様」


 オルコット侯爵様へは大体、フレッド様が説明してくれていた。あー、よかった。そこからはいつものパターン。最高礼をするオルコット家。


「そんなにかしこまらないで」

 

 と言う精霊達。そしてその後はワイワイガヤガヤ、お菓子を食べているか遊んでいるかの自由奔放なあの子達。残されたのは理解が追いついていないオルコット家の方々。


「こ、これは、精霊様がいらっしゃるなんて夢のようだ。遠い昔、この国に精霊様達がいらっしゃったが見限られ、精霊様が見えなくなったと言われ続けていた。それがこのように精霊様を見ることができるなんて奇跡だ!」


 涙するオルコット侯爵様。感情豊かな方なんだぁ。


「あなた、ビシッとなさい!皆に示しがつきません。精霊様、当主が申し訳ございません。この家ではのびのびとお過ごしください」


 侯爵夫人の方が強い。やはりどこもかしこも女性の方が強いのか、そういう世界なのかぁ。


「はーい、お菓子いっぱいちょうだいね。そうだ、ケビン、新しいお菓子早く作ってね。楽しみにしているからね」


 新しいお菓子?一同、僕を見る。


「あの、ルガリオ達がキノコをたくさんと栗とフルーツを持ってきたんだよ。キノコのバターソテーはこれだけど、栗は下処理に少し時間がかかるので少々お待ちください。料理長、キノコ料理を皆さんに出せるかな」


「もちろんです。皆様の分をご用意してあります」


 いつの間に!いつの間に作っていたの?早いよ。あっ、気絶した料理人達も回復している。良かった。


「この東地域の森に豊富なキノコ類と栗とこのわさびというものがあるそうです。このわさびはツーンとしているのですが、料理に使うとアクセントになってハマる人はハマると思います。ただ単体で食べると鼻にツーンときます」


 全く意味がわからない顔をみんながしている。食べてみないとわからないんだよ。言葉では表現しにくい。


 マジックバッグの中にある料理でわさびに合うのはローストビーフか。ローストビーフを出しわさびを擦って、料理長に取り分けてもらった。


「その緑色がわさびで、まずはちょこっとつけて食べてみてください。あとはお好みでソースに絡めて、お肉を食べてみてください」


 うわーっ、鼻が、鼻がツーンとする、など同じような感想だった。


「これは美味しい。私はちょっと多めに絡めた方が好きだ」


 これはオルコット侯爵様とフレッド様、アルバート様、ロナウド兄様、大人達。


 ほどほどが侯爵夫人とあれ?イーサン兄様も少しがいいのか。そういえばイーサン兄様は隠れ甘党だった。


「これが領地にあるのか。あの山にあるのか。知らなかった。しかし、森の精霊様はあそこにいらっしゃるということなのか?え?」


 確かに森の精霊様に教わったと言っているのだからあそこに森の精霊様達がいるってことか。東地域の海には海精霊様もいることも伝えたら、オルコット家の皆さんが感動にうち震えていた。


「精霊様が、精霊様が我が領地に、あぁー」


 侯爵様大丈夫かな。腰が立たなくなってしまったようだ。今度は侯爵様をソファーに寝かせる。侯爵夫人の方が気丈だな。アンジュ様もうちの領地に来た時、普通に溶け込んでいたし。


 栗の下処理、ブルーベリーのジャムと洋梨、あんずのシロップ漬けをお願いして明日にしようとなった。


 オルコット侯爵様はいっぱいいっぱいのようだ。皆疲れた様子で各々の部屋に戻る。


「ケビン、また大事になって行くのかな?」


 イーサン兄様、何、またフラグを立てているの!そういうのは口に出しちゃいけないの。


「だろうなぁ、フレッド様はこちらでも忙しくなるのか?アンジュ様のお兄様に戻ってきて欲しいことを連絡するそうだ。元々、オルコット侯爵家は武人を多く輩出しているが、お兄様は珍しく文官体質らしく、王城で働いているそうだ。弟さんは文武両道に長けた人らしいが、近衛騎士団にいるそうだ」


 かっこいい、お兄さんは王城で文官、弟さんは近衛騎士団なんて、かっこいい。イーサン兄様も王城に勤めていた時会ったことがあるのかな?


「あれ?イーサン兄様が王城で働いていた時、アンジュ様にお兄様に会ったことがあるのですか?」


「ああ、上司だよ。私は事務官補佐、その上司が事務官でアンジュ様のお兄様のパトリック様だった。縁とはすごいものだな。ふふふ、ここでもみんながてんやわんやだな。ジャムを作る装置やドライフルーツの装置などはすでに作ってある。それらを提供するかどうかは父上やライアン様と話をしてもらうことにしよう。あとはそれをここの魔道具士に教えれば良いことだ」


 魔道具の貸出や提供などは父様や公爵様達にお任せだ。フレッド様が魔鳥で知らせていた。


「兄様達、ここだけの話、アセロラは美肌効果、老化、病気予防に適した食材なので、女性陣に知られたら大変なことになると思うのです。内緒ですよ」


「ケビン、もっと声を落とさなければいけない、声が響く、あっ!・・・」


 後ろから甲高い声が聞こえた。あっ!後ろにいたの。恐る恐る振り返るとフレッド様とアンジュ様。てへへへ。


「ケビンちゃん、あとでゆっくりお話ししましょうね。お菓子よりあせろら?の話が先よ。お母様と一緒に聞きましょう。ふふふっ、楽しみだわ」


 母様もよくする断りきれない圧をアンジュ様から感じる。フレット様に助けを求めたが首を振られた。諦めろと静かに言われた。


 東地域に来ているのに本当の目的地までまだまだ程遠い気がする。兄様達にも一言多いんだよと言われた。そう、その一言がまた大事になって行く。あぁ、あの一言が、トホホ。


 でも、森の精霊様が管轄している森だから精霊様と交渉しないと食材がもらえないのではないか?これは明日相談事項だ。


 明日考えよう。




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