145 オルコット家に滞在2〜騒がしい奴らが帰ってきたよ
オルコット侯爵家に数日滞在した夜、あの子達が帰ってきたよ。
「ケビーン、ただいまぁ。みんなで色々見て回ってきたよ。楽しかったー」
楽しんできてよかったね。
「おかえり、みんな」
「ケビンにおみやげー、森の精霊達からおみやげあるよ。まずはキノコ、フルーツたくさーん。それからね,遊ぶために取ってきた、イガイガ。痛いけど誰が一番遠くに投げられるか競争するのー。あとね、沢にあったの。これねぇ、食べたらツーンとしたから、ペトロとかに食べさせようかと思ったの。どんな表情するかなぁって。イガイガも素早く避ける訓練にいいかもと思ったの。ペトロ、楽しんでくれるかなぁ。ふふふ。あとねぇ、ハチさんにミツもらったよ。フルーツもあるよ。甘いお菓子できる?」
君達、新人騎士ペトロくんをおもちゃにしていないかい?優しくしてあげてね。
しかし森の精霊様すごいものを色々くれたよ。すごいよ。ん?森の精霊様?初めて聞く精霊様だなぁ。あちこちに色々な精霊がいるのか?
「みんな、これらはこの東地域の森にあるの?」
「「「そーだよー」」」
マジですか!見た目も鑑定をしても栗!栗だよ。そしてわさび、きのこ類。栗も嬉しいけどわさびがあるよ。これから海に行くのに必要なもの。ハチミツ、ブルーベリー、プラム、あんず、洋梨、アセロラ、梅があるなんて!うちには母様が作ったフルーツがあるが、ここは自然で生息する豊富な食材がたくさんある森なんだ!森精霊様がいるからか?アセロラなんてビタミンが豊富、美肌にも良い、これはまた女性陣が・・・。
「やったー!嬉しい。これでお菓子が作れるよ。みんなぁ」
「わーい、ケビン喜んでくれた!おかし?おかしできるの?このツーンとしたのもおかし?」
いや、わさびのお菓子はハードルが高い。わさびは普通に料理に使いたい。
「お菓子はこのイガイガとハチミツでできるよ」
みんなでわーいと喜び合っていた。みんな偉いよ。
「ケビン、うるさい!何やっているんだよ」
あっ、イーサン兄様とロナウド兄様が来ちゃった。
「ただいま、イーサンにいさま。これでねぇ、おかしつくるのぉ。トーマスとランドルにおかし作ってもらうの」
タールが兄様のところに報告しちゃった。
「このトゲトゲがお菓子?うわっ、痛っ、チクチクするじゃないか?これでお菓子なんて無理だろう」
「だって、ケビンがおかしつくるっていってくれたもん」
もん、じゃないよ。兄様達が俺を見て、回答を待っているよ。
「ケビン、何騒いでいるの?」
レオンまで来ちゃったよ。
「レオン、これでねぇ、おかしつくるの」
「お菓子は、ほんと?早く作ろうよ!」
僕は首を振った。そんなすぐできるわけない!
「レオン、兄様達、お菓子ができると思います。明日料理長と副料理長に頼みます」
「えー、ケビン、今から頼んでよ」
今、夜だよ!君達。確かに拾ってきた栗は虫止めしたり、下処理が大変なんだよな。時間がかかるから行くかぁ?どうする?よし、行こう。まだ厨房にあの2人ならいるかもしれない。
「じゃぁ、これから行ってくるよ」
「「「わーい、ぼくたちもいくよ」」」
結局、兄様、レオン達も一緒に行ってくれることになり、みんなでぞろぞろ厨房へ行った。うちの料理長トーマスと副料理長ランドルとうちの料理人2人、オルコット侯爵家料理人で料理談義をしているみたいだ。
「こんばんはー、遅くにごめんね」
「ケビン坊ちゃん、どうしましたか、みんな様おそろいで、それも精霊様までいらっしゃって、やっと帰ってきたのですか。お菓子の催促に来ないと思って心配してましたよ」
トーマスとランディの周りをキャッキャしながら回っていた。絶対オルコット侯爵家の料理人には見えているよなぁ。
「あ、あの、あ、あ、あの、こちらの小さい方々は?先ほどトーマス様がせいれいさま?とおっしゃっていましたが、ま、まさか、せ、せ,精霊様ですか?」
うわぁ、厨房で平伏してしまった。
「みんな、その、厨房でそれはやめて!」
「し、しかし、精霊様だなんて・・」
2人が失神してしまった。どうしたらいい?
うちの領地の人たちは通常営業だが、これが普通なのかな?
「ケビン、ロナウド、アルバート様やフレッド様に伝えてくるよ。倒れた2人をソファーに寝かせてあげよう」
関わりができる人たちはどんどん精霊様達の存在が知れていく。そしてこれから精霊様達が表に出てくるのかなぁ。責任は身分の高い人にお任せだ。それが一番!
「ケビン坊ちゃん」
一応説明しておこう。説明する時間がなくなっちゃうからね。
「うん、この子達が新しい食材を見つけてきたから、下ごしらえをして欲しいなぁと思ったの」
「「「「新しい食材ですって!」」」」
イガイガとキノコ、フルーツ類、はちみつを出したが、ワサビはしまっておいた。まだまだこれの活躍の場ではない。
「これはなんですか?ケビン様」
「このイガイガしているのは栗だよ。この領地の山にあるらしいんだよ。すごいよね。こっちがきのこ。焼いても、煮ても、乾燥させても美味しくなるんだよ。ドライフルーツを作ったと思うけど、それのキノコ版。栄養が凝縮していい出汁とかになるんだよ。キノコ、キノコ汁うどんが食べたい。キノコのバター焼きでもいいなぁ」
「ケビン坊ちゃん、もう少し詳しく教えてください」
「ごめんごめん、興奮してしまって」
それからイガイガを足か分厚い手袋で栗を取り出すこと。この栗は実が大きいし5個以上入っているようだ。イガイガが大きいから大量にできるかも。茹でてから皮を剥くのもいいし、茹でる前に皮剥きしても良い。茹でてから皮剥きしてもらう栗と甘露煮を作ってほしい茹でる前に剥いてもらおう。栗羊羹も作って欲しいからね。
「皮が厚いから気をつけてね」
「ケビン坊ちゃん、私たちは料理のプロですから怪我はしないですよ。剥くものとそのまま茹でるのですね。キノコ?はそのままバターで炒めればいいですか?」
「あっ、バターにこのセユをちょこっと香り漬けにか使って」
この前、王都で東商会のおっちゃんからもらったセユ。串肉のおっちゃんと半分こしたんだ。自分が錬金した醤油でもいいけど、東地域のセユでバター炒めどうだろう?
「かしこまりました」
キノコは鑑定したら全部食べられるものだった。毒のあるキノコは除外したのかな?あー、バターと醤油の美味しそうな匂いがする。
バタバタと足音が近づいてくる。はっ!試食の量が少なくなる。早く食べないと!
「みんな、試食しちゃおう。みんなが来ると量が少なくなってしまうよ」
呆れた顔で見ないでよ。
「レオン、ロナウド兄様、料理長、副料理長、みんな食べちゃおう」
「うん!食べちゃおう」
レオンと2人でニコニコしながら食べようとした。
バンっと扉が開いた。
「ケビン!」
もう少しで口に入るところなのに、食べていいかな、食べちゃうよ。フレッド様の目を見ながら口に入れた。
「おいひい!」




