142 東地域にいくぞ2
うわぁ、王宮のお菓子。やばい、絶対あいつらが群がる。
「うわー、美味しそうなお菓子だ」
「食べていい?知らないお菓子だよ」
「ケビン食べていい?」
「フレッド食べていい?」
ほらー、やっぱり来ちゃった。フレッド様も顔を覆っちゃったよ。
「「これは!?」」
お菓子に群がる精霊達。多いなぁ。増えたよね。もう、あきらめの境地だな、こりゃ。
「ルガリオ達、お菓子足りる?」
「足りないよ!このおいしいお菓子もっとちょうだい」
精霊達みんながじっとアルバート様を見る、じっと見ている。
「えーと、これは、精霊様?」
ちゃんと紹介しないとダメだよなぁ。
「ルガリオ達お菓子を食べる前に整列!自己紹介!」
シュタッと勢揃い。おー、戦隊ヒーローの勢揃い映画のようだぞ。ふわふわいているけど。
「僕達、土精霊のルガリオ、ロッソ、ベルリ、ターナ、ルン、アメジ、ラッテ、そしてタール、ティール、トールだよ」
「僕達は、水精霊のルッツ、トロン、ランバ、アン最近上位精霊になったパットとアオン」
「こっちが海精霊、ウルンとウルルン、ウオマル、ニンギョ、ヒメ、火精霊、アスターとガーファイア、ヨウガン、カザン、風精霊、シュールとリズン、リバー、フワリーだよ。そのほかにもバラの精霊と花の精霊と木の精霊とほかにもいるけど僕達がケビン達の旅行に同行するメンバーなんだ!」
アルバート様が呆然と精霊達をみているとレオン大喜びで声を発している。
「精霊様?精霊様がいるの?すごい。わー、可愛い。僕、レオンハルトよろしくね」
「レオンハルト、ケビン達と同じ優しい、温かい魔力感じる。わーい。あたたかーい」
レオンに群がる精霊達。アルバート様はフレッド様、イーサン兄様、ロナウド兄様の方に投げかけた。苦笑いしかない。
「精霊様がいらっしゃるのか?昔、我が国にもいた精霊様が、この国に戻ってくださったのか?」
ん?昔いた?今もいるのではないのか?あれ?そういえばどこから来たのだ?はて?
アルバート様は驚愕しつつ、精霊の存在を受け入れつつある。
「わーい、お兄ちゃんも同じ魔力感じる。優しい、温かい魔力だ」
こらこら君達、群がりすぎだよ。アルバート様がまた思考停止しているよ!
「ルガリオ達、群がりすぎ。紹介したいからこっちにおいでー」
「「「はーい」」」
僕はフレッド様、イーサン兄様に紹介するようにお願いした。年長者にお任せだぁ。
「あの,アルバート様。なんと言ったらいいか、その、こちらにいらっしゃるのは精霊様達です。やはりイーサン、お前が紹介しろ。お前達の領内のことだから。うちにも来ているけど、フォーゲリア領が主だから」
「えーと、アルバート様、一旦落ち着いて座りましょうか。お茶を飲みながらゆっくりと説明します」
「いや、はじめに自己紹介させて欲しい」
片膝をついて最上敬礼をして挨拶するアルバート様。アルバート様の隣にレオンがトコトコと同じ姿勢をとる。
「精霊様、大変失礼をいたしました。私、この国フェノランド王国 現国王の孫、アルバート シュバイツア ヘムスタット フェイノランドと申します。2代先の国王となる予定です。以後お見知りおきを」
「私、弟のレオンハルトと申します」
「アルバート兄様とレオンね。堅苦しくしなくていいからね。僕たち精霊は温かい魔力を持った人が好きなんだ。ここにいるみんな温かいんだ。アルバート兄様とレオンはケビンの母様の魔力の流れが同じだね」
アルバート様とレオンの周りをぐるぐる回っていた。2人は椅子に座りイーサン兄様の説明を聞いていた。
「ことの発端はケビンなんだ」
えー、その話のくだりは父様がみんなに説明していた時の言い方!僕が発端のように聞こえてしまうじゃないか。オブラートに包もうよ、イーサン兄様。
それから、お菓子や料理で釣ったではなくておびき寄せた?違う、お供えをしたことから始まり、それから交流をして来たことを伝えた。王家とは今まで疎遠であり、精霊様がフォーゲリア領地に居続けるかどうか不確かなため秘匿にしといたこと。悪意を抱かなければ精霊様は近くに寄り添ってくれることを伝えた。
「そうだな、今の王家というかボロレス公爵周辺に知られたら悪事に使われそうだな」
「大丈夫だよ!アルバート兄様、うーん長いからアル兄様、そいつらはケビンの母様をいじめた奴らでしょ!そいつらとは絶対仲良くしなーい。お菓子くれても、ご飯くれても仲良くしないよぉ。そいつらの魔力はくすんでいるから、そいつらの納めている地域は僕ら精霊は関与しないよ。精霊達に伝えてあるから大丈夫だよ。母様をいじめた奴らは許さないもん!」
ふんすとみんなが腕を組んで頷き合っている。お菓子やご飯には釣られないってことか?
「あははは、そうか、そうだな、あのボロレス一派とは仲良くしなくていいよ。本当に意地悪だから。自分たちの利益ばかりを優先して民衆に対して何もしない。本当にどうしようもない領主達なんだ」
「うん、アル兄様わかっているよぉ。でもアル兄様はお菓子くれる?」
「もちろん!」
わーっと群がる精霊達。楽しそう。こうして僕たちは東地域へ旅立った。兄様達の想い人さん達、待っていてね。




