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138 王城一室で 〜アルバート回想録1

>>>アルバート視点>>>



 ボールドウエッジ公爵家の馬車で王宮に戻ってきた。今日は本当に楽しかった。まさか伯母上に会えるとは思わなかった。


 思い返せば、昨日、弟レオンハルトがケビンに会いたいから王都に行くと言っていた。ケビンくんか。どんな子だろうと思い、そしてレオンハルト1人を行かせるのは心配だった。そうだ、俺も行ってみよう。俺だって度々王都にお忍びで遊びに行っていたので王都は分かるが、フォーゲリア伯爵家の商会が王都に進出したとは知らなかった。同い年にイーサンがいたのは知っていたが話すことはなかった。あちらは魔道具士科だったので機会がなかったのだ。周りもいちいちうるさくかった。自由に話してもいいだろうに。レオンハルトは俺が行くことにびっくりしていたがそれと同時に嬉しそうだった。あれ以来、気にかけるようにしている。家出まで考えていたほど、1人で苦しんでいたなんて兄と失格だった。父上や母上もみんなが気にかけるようになり、家族が一つになるきっかけだった。ふふふっ、レオンハルトに家を出て、ケビンくんのところに来いだなんて、それを本気で考えていたレオンハルト。まったく、その2人が一緒になるととんでも無いことをしでかすのではないのか?本当にどんな子だろう。会えればいいな。父上も興味津々なんだよ。


 さぁ、レオンハルト一緒に王都へお忍びだ。髪の色を変えていこう。


「レオンハルト、髪の色を変えていこう。庶民は茶色が多いから茶色にしていこう」


「はい!兄上。街に遊びに行くのが楽しみです。串肉が食べたいです。行きましょう。本当に絶品なんです。ケビンが教えてくれたのです」


「レオンハルト、お前はケビンケビンと、口を開けばケビンくんだな。会えればいいな」


「うん、フォーゲリア商会ができると聞いたからそこにはじめ行ってみたいです。魔道具とか売るらしいですよ。家出したらケビンのところで魔道具士となる予定だったのになぁ」


 まだ家出のことを言っているよ。本当にやりそうで怖いよ。すでにあの教師は辞めさせて、レオンハルトのことを考えてくれる良い教師に出会えた。レオンハルトはケビンに言われて勉強の大事さを痛感したと言っていた。あの時の言い方も教わったと言っていた。いったい何を教わったのか。


 さて、会えればいいが、ダメなら串肉を食べて帰ろう。


「父上、レオンハルトと街へ行って参ります。レオンハルトはまだケビンくんに会いたいみたいです。会えればいいのですがこればかりは運ですね」


 そう言って出てきた。父上は伯母に会いたいのだろう。いつかみんなで会えればいいのにな。


 まずはフォーゲリア商会にやってきたがまったく中がわからない。土塀に囲われており、オープンまでお待ちをと書いてある。まだオープン日は決まってないのか。


「レオンハルト、しょうがない、串肉を食べて帰ろう」


「う、うん」

 

 寂しそうな顔を見るとなんとかしてあげたいがこればかりはしょうがないんだ。


「ほら、串肉食べにいこう。案内してくれ、レオンハルト」


「うん、兄上、こっちだよ」


 レオンハルトと手を繋ぎながら歩いた。


「あそこに美味しい串肉屋さんがあるんだよ。人だかりがすごいね。あれ?あそこだったような?」


「そうだな、あそこが最後尾らしい。看板を持っている人がいるよ」


 そして俺たちは並んだ。護衛騎士たちには自分達が並ぶので待っていて欲しいと言われたが、自分で並んだ方が美味しく食べられると思い並んだ。


 店の近くから、店主と子供が喋っているのが聞こえる。おっちゃんと呼ばれる男と金髪の子供。


「あれ!ケビンだ!ケビン!やっと会えた!」


「レオン?」


「そうだよ、髪の色と目の色を魔法で変えて来たんだ。ケビンに会いたくて来てしまったんだ。よかった、会えて」


「レオン、うまくいったんだね。かなり雰囲気が明るくなったね」


 この子がケビンくんか。俺たちに似ているな。ふふふっ。


 ケビンくんを紹介されてからが驚きの連続、まずはお兄ちゃん呼び。いいな、お兄ちゃん呼び。


 そしてなぜかフォーゲリア商会へ行くことになった。うちに行こう!か。従者は先ぶれに行こうとするのを止めているし、まぁ、先ぶれなして行くのは楽しいかもしれない。びっくりするだろうなぁ。


 3人で手を繋いで最初に来た商会と思しき土塀のところに行く。ケビンくんの従者はそれでも走って先ぶれをしに行ってしまった。ケビンくんは別に先ぶれなんていらないのに、と言っているよ。本当はいるんだからね。


 向こうからボールドウエッジ公爵か?伯父上も走ってきたよ。


 俺は仰々しい挨拶をやめるよう手で制した。


 後ろではケビンくんを怒る伯父上。ふふふっ、仲がいい親子だな。では、俺も頭を出した方がいいか?


「いやー、やめて、こめかみをグリグリしないで!父様」


「伯父上,その辺で。私も楽しくて先ぶれを出さないように言ったので共犯ですよ。グリグリしますか?」


 レオンハルトも頭を出し伯父上の困った顔が面白い。きっと3人していたずらっ子のような同じ顔で伯父上を見つめていたのだろう。公爵達も笑っている。


 フォーゲリア商会の土塀を抜けると?何これ?王都の商会で1番大きい建物が立っている。ここにこんな大きい建屋があったか?隣にも大きな施設。


「こちらが商会で、あっちの建屋は魔道具製造開発と薬草開発部門の施設です。はじめに社員食堂に案内します」


 ケビンとレオンは仲良く手を繋いで行ってしまったよ。


「こんなに大きい施設は見たことがないです。すごいですね」


「えぇ、品物の数が多く、このような商会になってしまいました。どうぞ、社員食堂です」


 社員食堂?社員のための食堂なんてあるのか?メニューがあり見ても全くわからなかった。レオンハルトも何を頼んでいいかわからない状態だった。ケビンくんが提案してきた。


「全部食べてみれば?食べ切らなかったものは護衛騎士さん達にあげればいいじゃないの?」


 そうだな、いろいろ食べてみたいから、その案でいこう。


「レオンハルト、食べてみよう。食べ切らなかったら護衛騎士たちにあげればいい」


 少しずつ食べていったがどれも美味しく、護衛騎士たちに食べ切らない分は渡した。


 しかし、後ろの方に座る騎士達に料理が回らないことに怒った騎士達。おいおい、お前達順番で食べていけばいいではないか!それもすぐ近くに座っている騎士達、渡してすぐ食べない!回せ!全く子供じゃないんだから、みんなに回すようにできないのか!結局、あいつらは普通にご飯を選び食べている。このしゃいんしょくどう?にいる時は護衛達は楽にするようにと伝えていたが、楽にしすぎだろう、お前達。


 これから行くところは魔道具施設と薬草研究施設というところ。秘匿が多いので、宰相のボロレス公爵の寄子の騎士以外の者を厳選し、連れて行く騎士には契約魔法をしてもらい案内してもらった。


 もうすでに売り出している魔道具、それから馬?の何かを作っているのか?そしてよくわからないも物が置いてあった。これは本当に秘匿すべきものがたくさんあるな。


 馬好きのための何かを作っているのか?ボールドウエッジ公爵に聞いてみたところ、これから馬の競争する催しを計画しているということだった。けいば?馬を走らせて賭け事をする?よくわからないが馬好きなら楽しい催しだな。父上に言ってもいいとがあまり広めないようにということだった。そうだな、まだ計画段階だから内密だよな。


 今度は裏にある試作走行グランド?へ行くことになった。よくわからない物を動かすためにグランド?に行く。ワクワクが止まらない。




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