137 王都商会〜魔道具開発施設と薬草開発施設(美容)
隣の大きな施設には魔道製造開発施設と薬草開発施設(美容を含む、ほぼ美容だな)が併設している。ここは機密事項が多いので、アルバート様とレオンの護衛騎士に口外できない契約魔法をして入った。騎士の中にはボロレスの寄子や縁者がいるであろう。アルバート様はそいつに近い者はいないと言っていたがどう繋がりがあるかわからないため慎重に選定した。2人の護衛騎士を選出した。契約魔法も了承してくれた。
今、イーサン兄様達は通常の魔道ランプ、ドライヤー、アイロンを作る他に、競馬開催に向け、回転木馬とトランポリン、ローラー滑り台の計画をしている。バンジージャンプのことを言ったら殺す気かと言われて断念。ターザンロープで綱渡りなどを言ったがピンと来ないらしい。子供達用に小さいターザンロープを作ってみよう。俺も子供だからね。単なる僕が楽しみたいだけなのだ。
回転木馬、トランポリン、ローラー滑り台の模型を作って、あとはお任せだ。しょうがない、ターザンロープだけは自分で考えよう。
「これは馬の模型?馬がメインで何かするのか?」
競馬はボールドウエッジ公爵家が主催者だからライアン様が説明をした。
「けいばという馬を競わせて1着と2着の馬を当てて賭け事をすることを考えています。自分たちが育てた馬を見てもらうことも含んでいるのです。競馬を通して自領の馬自慢です」
「ほー、馬の競争。それに賭けて当たれば配当がもらえるというわけか。なるほど、面白い催しだな。父上や伯父上達は馬好きが多い。言ってみるかな」
「アルバート様、まだ公にしないでいただきたい。綿密な計画が必要なのでまだ知られたくないです。それに横槍が入る恐れもあるのでなるべく話は信頼のおける人だけにしてください。まぁ、マネされても同じとはかぎらないですがね、あははは」
「横槍、あぁ、あの一派だね。今は国王陛下に就いているからあのような横暴ができるが、私の父上の代や私の代になったらあんなことは絶対させない」
あの一派、ボロレス。今の王太子様やアルバート様はよく思っていないのか。ボロレス周辺はどうにか次代にも権力が引き継ぐよう画策しているようだけど、どうなることやら。
それから、みんなにアルバート様とレオンを紹介して、恐縮しまくりなみんなであった。
イーサン兄様とアルバート様は仲良く話していた。
「イーサン兄様、お兄ちゃんと学園時代は話をしていたのですか?」
「お、お兄ちゃん?アルバート様をケビン、お兄ちゃんと呼んでいるのか?私もお兄ちゃんと呼ばれたいなぁ。ん?ああ、すまない、アルバート様とは学園時代、全く話したことがないよ。クラスも違うし、専攻が違うから話す機会はなかったよ。今、こんなに話しているのは初めてだよ」
「そうだな、学園の時は取り巻きなどが常に周りにいてウザかったよ。まったく。俺が誰と付き合おうといいじゃないか!と思っていたが行動に移せずすまなかった」
ウザって言っているよ。砕けた口調で今喋っている。さっき、俺とも言っているから、これが本当の姿なのかな?
イーサン兄様とドバイン様が案内して説明していた。魔道ランプでお願いしているのがスイッチもしくはリモコンをつけて欲しいこと。ベッドで寝ながらランプを消したいと言ってお願いしたら、呆れた顔をされたんだ。最近、呆れ顔が板についてきているよ、みんな。イーサン兄様に関しては無言の圧を感じる日々なんだ。怖い怖い。
今は和かに2人を案内している。弟にもそんな顔で快く受けて欲しいよぉ(泣)
「兄上、これはなんですか?」
レオンは自転車を不思議がっていた。アルバート様もわからないと首を振っていた。見たことないよね。自転車なんて。イーサン兄様が説明を始めた。
「それは、自転車、三輪車と言って、馬で引かずに自分の足で漕いで移動する道具です。まだ魔道具は取り付けていないので、自力走行する道具です。外で試してみますか?」
レオン、まだ子供用ができていないから自分で運転はできないんだよぉ。僕だってまだ子供用補助椅子でお手振り状態なんだよ。
テスト走行するグランドにみんなで出て自転車乗りを伝授する。食堂にいた騎士達もはじめは補助輪付き。小さい子供の自転車についている補助輪をつけて走行。近衛騎士達はイケメン揃いなのに笑える。アルバート様は運動神経がいいのかすぐ乗りこなし楽しんでいる。護衛騎士たちも乗りこなし競争をし始めた。レオンは僕と同じ子供用椅子に座っている。うん、可愛いよ。僕もあんな感じなのよ!
「兄様、早く僕用の自転車を作ってください。家の敷地内だったら乗りこなせると思うのです」
「そうだな、家の敷地内なら大丈夫か。ケビンが漕いでも大人の歩く速度と変わらないんじゃないか、あははは」
僕なら立ち漕ぎもできるもん。ふふふん、みんな漕ぐので精一杯ではないか。子供用自転車ができたら立ち漕ぎを披露してやる。
男の人は美容関係は興味がないだろうが、見学をした。今度は女性騎士2人。目を輝かしていた。
母様は目に涙を溜めてアルバート様とレオンと喋っていた。母様のお兄様、王太子殿下そっくりで懐かしんでいたんだ。ジュリを紹介し、本当クリソツ。大人になったらこんな感じ?ルーナは王妃様、俺たちのお祖母様にそっくりらしい。ほんわりとした可愛い感じなんだな。なるほど。ここでもお土産を渡した。お母様にどうぞ!
2人は公爵家の馬車で帰ることになった。当分会えないだろうから、アルバート様には万能薬、中級から特級までのポーション、キャンプ一式セット、お菓子、ご飯類、酒樽などをひっそりと渡した。血を一滴垂らせば自分用になり、盗まれたりしても、他の人が使えばただの袋なので他の人は役に立たないと思うことなど注意点を伝えた。
頭をクシャクシャにされ、お礼を言われた。命の危険があるから用心に越したことはない。あまり会うことはないが、そんな悪い印象がないアルバート様とレオンハルト様、これからはそう言わないとな、2人には暮らしやすい王国を作って欲しい。そのために頑張ってという意味を込めて渡した。
またな!と言われて、ん?または無いような有るような?どっちだろう。
そのあとはいつもの如くお説教でした。




