136 みんなを引き連れて王都商会へ
ぞろぞろとみんなを引き連れて、お兄ちゃんこと、アルバート様とレオンと手を繋ぎ歩いて行く。ルーアンにこっそり名前を教えてもらったよ。
だんだん商会が近くなったところで父様と公爵様、ステファン様、フレッド様が走って来た。
お兄ちゃん(やっぱりアルバート様呼びしたほうがいいかな?)は手で挨拶を遮った。
「今はお忍びだから、そんな仰々しい挨拶は抜きだ。普通に話してほしい」
「「「かしこまりました」」」
ゴツっ、イタッ!
「父様痛いよー」
「痛いじゃない、痛いじゃ。ケビン、なんで先ぶれを出さずに来たんだよ、お前は。ルーアンが急いできたが、もう少しお前が時間をずらして来い!」
「いやー、やめて、こめかみをグリグリしないで!父様」
天の助けの声が聞こえてきた。
「伯父上,その辺で。私も楽しくて先ぶれを出さないように言ったので共犯ですよ。グリグリしますか?」
父様にお兄ちゃん、レオン、二人揃って頭を出しているキラキラオーラのお兄ちゃんとレオンってやんちゃだ!
「アルバート様、ここで立ち話ではなく中へどうぞ。門は小さいので申し訳ございませんが少し屈んでお入りください」
土塀を抜けるとそこはドーンと商会が建っている。
「は?えっ?商会の建物、え?向こうにも建物があるのか。すごいな」
「向こうの建屋が魔道具開発施設です。売り場はこの建屋です。そうだ、父様、護衛の皆さんも一緒に社員食堂に行きましょう。おやつの時間ですよ」
「「「ケビン(くん)」」」
マイペースすぎる僕に大人達はため息連発。ごめんよぉ。
「レオン、家出する時のために食料と寝袋を持っていきなよ。レオン用に作っておいたから」
「なぜ、家出用って、家出を促すのだ?。ん?ケビン」
「いえ、何かあった時の予防策ですよ。食べ物と飲み物、寝袋があれば生きていけます。ここで用意したものは毒など入ってないので、自分で食べる分には安全だと思ったのです。あと魔道ランプとロープとテントはこの前渡したけど、最新の魔道ランプとテントができたから渡すよ。僕でもテント設営できるようにしたんだ。ポンとできてあとは釘を地面にトントンするだけなんだ。あとで渡すね」
「うん、楽しみだよ」
二人で話しながら手を繋いでい社員食堂まで歩いて行った。
「レオン、お腹空いていたら、なんでも食べていいよ。作り置きしているからいつでも食べられるよ」
「ケビン、絵を見てもなんの料理かわからないよ。色々食べてみたいなぁ」
「じゃぁ、少しずつ食べればいいじゃないか。残ったのは護衛騎士さんに食べて貰えばいいと思うよ」
レオンがお兄ちゃんの方を見て様子を伺っていた。
「ふふふっ、じゃあ、お兄ちゃんも一緒に食べよう。そして残ったものをどんどん護衛騎士達に渡してしまおう。そうすればレオンがいっぱい食べられるよ」
「やったー、兄上、ありがとう。ケビン、食べていいって」
「よかったね。父様、いい?」
「はぁ、みんなジャンジャン持って来てほしい。小皿を多めに頼む」
それからはメニューを上から順に持って来てもらい食べていたよ。護衛騎士さんの方が食欲旺盛って感じだった。だって始めの方に食べた人で料理が残っていないんだよ。料理が回ってこなくて大ブーイング。結局各テーブルに料理を置いて食べてもらったよ。うちの護衛騎士はほんの少ししかいないし、魔道具士や木工士は大食いではないので、こんなに食料がなくなるのは初めてだよ。
「ケビン、美味しいね。そしてみんなで食べるのが楽しい。騎士達こんなに食べるんだね。面白いね」
「ボールドウエッジ公爵、フォーゲリア伯爵、もてなしありがとう。とても楽しい食事だった。お酒があればもっと楽しいだろうな」
父様達が相談しているよ。
「アルバート様、帰りはうちの公爵家が馬車でお送りいたします。お酒は王宮に戻ってから飲んでください。お土産にお酒を持たせます。騎士達にも一人一本ずつならお渡しできます。ただ種類が違うので、みんなで飲み比べで飲んでほしいです」
「レオン、レオンのバッグに入れてしまえばバレないよ。念の為、毒などの鑑定をしたから飲んでくださいね。1番安全なのはレオンが出して、そのまま飲むことだけど、うーん、レオンにわざわざ出してもらうのは負担がかかりますよね。やっぱり、お兄ちゃんも毒とか盛られたりして大変なの?」
みんながお兄ちゃん?と僕たちの顔を見ていた。今はいいんだよ。
「そうなんだよ。俺の場合はなぁ、媚薬だなぁ」
「あぁ、大変ですね。モテるって!媚薬は毒消しポーションなどで状態異常が回復しないのですか?」
「そんなに毒消しポーションがあるわけではない。新鮮度がないと効かない時があるんだよ」
ふーん、よし!
「お兄ちゃん、親戚特典でこれあげるよ。マジックバッグ、時間停止付き。大きさはこの部屋ぐらいかな。もっと大きいものが欲しかったら言ってね。ここにポーションや毒消しポーションなど入れておけばいつでも飲めるよね。はい、ポーションもあげるね。レオンに渡したものと同じ一式セットと椅子、テーブルセット。これはこれから売り出す保冷ポットと魔道コンロ。これなら自分で料理や温めてができるから毒を盛られないよ。なるべくなら自分で入れるか、本当に信頼できる人に入れてもらってね。お菓子や料理を入れておけば、出された料理は食べなくても、これを食べればお腹が空かなくていいと思うんだ」
突然、お兄ちゃんが笑い出した。
「はぁ、規格外すぎる。なんでこんなにポンポンものが出てくるんだよ。あははは。マジックバッグありがとう。ここではみんな持っているんだな。親戚特典?じゃないよな?」
「みんな従業員特典と家族特典ですよ。ここではお菓子を入れておかないと大変なんですよ」
「ありがとう、ケビン」
深刻そうな顔で、何やら僕の上の方で公爵様や父様達が目で会話しているようだ。大人って!でも、万能薬を持たせた方がいいかな。そっと渡しておこう。
「レオン、魔道具開発施設に行こう!興味があるんだよね。今、兄様達がいるから行こう。父様行ってきていい?」
「ああ、みんなで行こう」




