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135 僕の王都生活〜まだ東地域に行けないよ

 僕は今、街に出て串肉を食べている。塩加減がいい塩梅のあのおっちゃんの店の目の前で椅子を用意してもらい食べている。


「ケビン様、美味しいですかい?いつも買いに来てくれてありがとな」


「おっちゃん、様はいらないって言っているでしょ!僕は今商人な子供なの。ダメでしょ、様はいらないよ」


「はいはい、わかったよ、ケビン。ケビンが手伝ってくれるから売り上げが上がったよ。東の商人から買ったこのセユのおかげでさらに売り上げが上がった。秘伝のタレだよ。企業秘密ってやつだな。それにこのコロッケパンとジャムパンにスープが美味すぎだよ。安くできるのにうまいってなんだよ。家族総出でやっているよ。ジジババまで引っ張り出したよ。俺までフォーゲリア商会の傘下になっちまったじゃないか」


「傘下といっても売り上げは全ておじさんの店のものだよ。手抜きをして質が落ちても自己責任だよー。でも、おじさんがうちの副料理長のランドルと冒険者のパーティーを組んでいたなんてびっくり。ランドルと街に遊びに来た時におじさんのこの串肉が食べたくなって来たら、あれまぁお知り合いって。縁ってすごいね」


「あぁ、たまげたよ。ランドルが副料理長だなんてな。そしてこのコロッケを教えてくれるなんてさ。本当に気前良すぎだよ、お前達。すまん、貴族にお前なんて」


「だから気にしないでって。僕だって敬語使ってないよ。年上の人なのに」


「俺らにはいいんだよ、砕けた口調で。そういえばケビン、だいぶ前に海の草を買って、お菓子を作って渡したんだって?そのお菓子どういうのだ?もうあまりがないのか?」


「あるよ、東の商会のおっちゃんには東地域に行った時に連絡することを約束したんだ。あっ、ちょっと待っていてね。はい、これがヨウカンとこれがミルク寒天、食べてみて!オレンジのシロップ漬けを入れたのとベリーを入れたやつ。そしてこの黒っぽいヨウカン。みんなで食べてよ」


 奥様と子供達、じーちゃん、ばあーちゃん、みんな集まってスプーンを渡して食べた。美味しい。羊羹にはお茶だ。ポットを出してお茶を入れる。ホッ。


 おっちゃんの前では全て曝け出しているので、おっちゃんも呆れ顔で何も言わないでいてくれる気軽な関係だ。


「甘いがうまいな。すごいな、こういうのができるのかよ、あの草で。全く作り方がわからん。想像もできないよ」


「企業秘密でもないけど、あの草を乱立されても困るから言わないの」


「まぁ、そうだよな。悪い奴らは必ずいるからな。言わないに越したことはない」


 ルーアンとおっちゃんのところでまったりとしている。ブラッドは新人事務官に仕事を教えているからここにはいない。ローガンやトルシエがいるので僕はちょっと街散策。ふふふっ、子供の特権だよ。


 魔道具、木工、鍛冶部門総出で回転木馬計画が始まった。競馬に合わせて回転木馬を作る。回転木馬は魔石を使わずとも人力で回せばなんとかなるのではと言ってしまったら、魔道具士魂に火をつけた形となった。


 女性魔道具士は美顔器開発。火傷をしない程度の蒸気を出し、毛穴に溜まった老廃物を吸い取るスポイトのようなもの、超音波振動で小顔効果、イオン導入などなど、どこまでできるかわからないけど挑戦すると張り切っている女性陣。頑張ってくれたまえ。俺の領域を超えた挑戦をする女性陣の熱気。ガクブルである。


 僕はまったりと王都散策を決行しているわけだ。暇な王都の子供達と遊んでいるんだ。僕も子供だからね。


「ケビン!やっと会えた!」


 声のする方を見ると茶髪の男の子?レオン?


「レオン?」


「そうだよ、髪の色と目の色を魔法で変えて来たんだ。ケビンに会いたくて来てしまったんだ。よかった、会えて」


 前会った時より明るい雰囲気だ。教えた演技をしたのかな?うまく行ったのかな?


「レオン、うまくいったんだね。かなり雰囲気が明るくなったね」


「父上と母上、兄上に僕の気持ちを正直に言ったよ。ケビンに教わった通りに。そうしたら話を聞いてくれたんだ。先生も変えてくれたよ。今勉強が楽しいんだ。本当にありがとう」


「話を聞いてくれるご両親でよかったね。でも王都にお忍びできても大丈夫なの?」


「今日はね、兄上ときているんだ!」


 は?兄上って、え?二代先の未来の国王様?ん?


「レオン、お前なぁ、走っていくなよ。迷子になるだろう?」


「兄上、ケビンに会えたんだよ!ケビン、兄上だよ」


 あー、髪の色が茶色でもキラキライケメンということがわかる。


「君がケビンか!俺たちの従兄弟。イーサンの弟か。ふふふ、俺たちみんな似ているな。イーサンは元気か?王宮の事務官を辞めたと聞いた時はびっくりしたよ」


「初めまして、ケビンです。兄は元気に魔道具開発に勤しんでおります」


「硬い話し方はやめないか?従兄弟同士なんだから、なっ?」


「いいんですか?遠慮しないですよ?本当にいいのですか?」


「あははは、いいよ」


「じゃあ、普通に喋るね。これからどこにいくの?食べたいもの食べた?レオン、えーと、お兄ちゃん?お名前は?」


「あははは、いいね、お兄ちゃんでいいよ!そうだな、おすすめのところはある?」


 お兄ちゃん呼びで本当にいいの?お名前は?って聞いてくれないよ。


「レオンはどこに行きたい?そうだ、魔道具施設が見たいんだよね?うちに見にくる?」


「えっ?いいの?見に行きたい。さっき商会の方へ行ったんだよ。でも、土塀で全然見えなかったよ。行きたい!」


「じゃぁ、行こう。じゃぁ、おっちゃん、またくるね」


 レオンと二人で手を繋いで行こうとしたがルーアンに遮られてしまった。


「お待ちください!先ぶれをしますので待っていてください。ダメですよ、何も言わずに直接いくなんてみんながびっくりしてしまいます。ダメです、ダメです」


「ルーアン、大丈夫だよ。それに時間がありますか?お兄ちゃん?」


「ブフッ、そうだなぁ、時間はないなぁ。行って終わりじゃつまらないから、ゆっくり滞在したいなぁ」


 ノリのいい次期王太子様だなぁ。


「はい、決まり。さぁ行こう。おっちゃん、またくるね。また、お土産持ってくるね」


 おっちゃんと手を振り別れた。それでもルーアンは走って帰って行った。


 僕たちの周りには護衛がいっぱいだった。街人かと思ったら護衛だったよ。街人に溶け込む護衛騎士のスキルはすごいな。自然な動きだった。その中をぞろぞろ歩いてフォーゲリア商会まで歩く僕たち。違和感なし!



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