133 王都支店オープンに向けて、面談開始2 〜魔道具士〜
今度は魔道具士の面接だ。
今度は、イーサン兄様、ロナウド兄様、ドバイン様、ランドルフ、セドリック、ルーティの魔道施設初期メンバーが連なった。ルーティは平民だから辞退したいと言ってきたが、平民の星だからと言う理由で参加を推し進めた。そして、最後はいつもの俺。
事務官と同じ、名前と志望理由、経歴そしてあったらいいな便利グッズ、魔道具を提出してもらっているので、それについてのプレゼンをお願いしている。
これまた事務官の時と同じ、王宮の魔道具部門にコネがある貴族は冷やかし程度、そして自分で考える魔道具はすでにある物を書いてきた。うーん、発想力がない者が王宮魔道具にいるのかと思うと王宮魔道具部門の後世が不安になる。よそはよそ、うちはうちだ。うちはイーサン兄様とその仲間達が熱い熱い暑苦しい志を魔道具にしている開発製造施設だ。同じ様な志が集まるのは必然なんだ。また集まってくるんだな、夜更かししてまで語り合っている人達が増えるのかぁ。
さて、面接だ。
1番、ナエサルさん。学園魔道具科卒業。45歳。現在鍛冶屋と修理屋。奥様、子供がいる。考えてきた魔道具は動くおもちゃ。フォーゲリア商会で売り出したおもちゃを見て、子供達がおもちゃを動かした時に笑った時を思い出した。動くおもちゃがあれば赤ちゃんや子供が楽しめるのではという理由。
おおー、着眼点がいい。僕もベビーベッドの上をぐるぐる音楽を出して回るやつやいっそ遊園地を作るのはいいのではないかと思っているぐらいだ。始めから面白い考えを持った人がいる。
熱い思いを語り出したよ。それに答えみんなも語っている。いや、今1番目だから、まだ面接する人いっぱいいるよ!
「ケビンはどう思う?」
ん?僕ですか?
「オルゴールも作れたみたいですね。動くおもちゃ、僕も考えていたのでよかったです。いっそ、遊園地を作りましょう!」
「「「「ゆうえんち?」」」」
「子供や大人も遊べる、ぐるぐる回るティーカップや動く乗り物、動くおもちゃの大きい版?が沢山ある遊び場です」
あっ!言っちゃった。
「ナエサルさん、これが、ケビンが言うことは大事になる。そういうことです。その時に一緒に頼む。採用されたら、うちのフォーゲリア領地に来ることが可能だろうか?もしかしたら、この考えはすぐにでも取り掛からなければならない案件かもしれない」
イーサン兄様、僕"これ"扱いだよ!
「は,はい、条件など書いてありましたので、妻とも相談しました。大丈夫ですがすぐに取り掛かるのですか?」
「多分、そうなると思う。では、追って連絡します」
1番目が終わったのに、すでに案件勃発?
「ケビン、ゆうえんちって、何?聞いていないよ。これは公爵様の競馬開催に合わせて、子供達を遊ばせることができる場所になるのではないか?大人も子供も遊ぶことができる場所ということか?」
「あー、競馬にちなんで動く乗り物を馬にすればメリーゴーランド、回転木馬になりますね」
「馬が動く?めりーごーらんど?かいてんもくば?」
「ケビン、あとだ!今は面接に集中したい。全く次から次へと」
みんな馬が動くおもちゃに興味津々かな。僕的には、パンダがゆっくり動くタイプの乗り物が好きなんだ。姪っ子達を乗せて大人も乗れるやつ。自分で歩いたほうが早いけど、大人も乗れたのがよかった。
次の人は女性の魔道具士。体をほぐす魔道具だって!
「えー,マッサージ機。僕も欲しかった。全身用が欲しいけど、まずは肩こりやそうだ、顔の美顔器を作れば顔痩せ効果に、モゴモゴ」
僕を取り押さえるのはセドリック。イーサン兄様に指示されて口を塞がれている。息できないよ、死んじゃうよ。ギブギブ。
「ケビン、お前、もう次から次へと、すまない、これが弟のケビンだ。多分、聞いているよね。ねぇ、セドリック」
口を塞いでいたセドリックに兄様が聞いている。ん?これはセドリックの想い人、つきあっている人?僕を抱き抱えているセドリックを見上げた。真っ赤になっているね。ニヤニヤ。
「ケビン様、そういうのではないですから、ニヤニヤしないでください」
「大丈夫、しっかり働いてくれれば、福利厚生、家族寮を作るからいつでも言ってね」
「ケビン、話が進まなーい。すまない、エリン」
「いえ、本当に発想がすごい人ですね。考えるのが精一杯だったことがケビン様はそこから色々な発想をするのですね。為になります。そしていろいろ聞き出したいです」
「あー、エリン。それはあとで頼む。今は面接というかもういいか。まぁ、弟はこういうやつとわかってくれればいい」
「兄様ひどいですね。そしてみんな笑いすぎです。でも、エリンさん、体関係のものを作るのなら体の部位や機能などを覚えたほうがより良いマッサージ機が作れますよ。美顔器はあまり母様に言わない様に。先に作ってと言われそうなので」
「ケビン様、多分無理です。面接の内容を逐一、ルーク様と公爵様に報告しているので、すでにそのことは報告されていると思います」
ルーアン、何言っているんだ?今ここで言ったことを母様にバレてはダメだ、絶対に!それなのにもう報告されているだって!しょうがない。
「え?!マジで!じゃぁ、エリンさん頑張ってね」
「えっ?私ですか?私は体をほぐす魔道具だけしか言っておりませんが、え?」
「ケビン、無茶振りすぎる。エリンと話をして、どういうものがいいか一緒に考えて欲しい。多分、母様は早急に欲しいと思うぞ」
かわいそうにエリンさん。
「ケビン、お・ま・えが忙しくさせているんだよ。でも、面接にくる者達は自分で考えたものが実用できると思ったら自信につながるし、そしてケビンの生の声が聞きたいだろうし参ったな。とりあえずエリン、もしここに入るのをやめるなら言って欲しい。これからもっと忙しくなるだろうなぁ、あぁ」
「いえ、ぜひ入りたいです」
おおー、かっこいい。パチパチ。
花火らしき物を打ち上げたい人やイルミネーション、電卓、冷蔵庫、冷凍庫、みんな考えることは同じだね。俺も欲しい。馬車にエアコンが欲しい。あとこの世界に傘がないんだ。カッパもない。魔道具以外でも作って欲しいものはいっぱいある。
今は競馬に向けて、食べ物を作る道具を作って欲しい。欲しいものがいっぱいあるから、それを優先的にお願いしよう。
ベビーカステラ、かき氷これはテッパン。あとは唐揚げとポテいもフライ。東地域に行って、タコがあればたこ焼きが食べたい。タコがいて欲しい。イカ焼き、うーん海鮮チヂミの方が食べたいな。
あとはスイートポテトでいいかな。あげたやつとスイートポテト。干し芋も作ろう。ポップコーンも必要かな。
そうだ、事務官になるトルシエさんのお父さんが鍛冶屋さんだ。これは型を作ってもらわねば。あぁ、今日来てくれるかなぁ。作ってくれないかなぁ。とりあえず絵を描いて待っていよう。




