130 王都支店オープンに向けて1
まだまだ東地域に行くことができない。早く行きたいよぉ~。魚が僕を待っているんだよ。みんな王都店オープンに向け頑張っているのだけど、東地域に行くことが先じゃなかったのかぁ。とほほ。
王都、フォーゲリア商会オープンに向け、従業員の面談が行われる。美容部門は母様、アニーベル様、アンジュ様にお任せだ。前世、俺は都会に初めて出てきた時、デパートのお姉様方のあの佇まい、雰囲気に圧倒されそそくさとそのフロアを後にした記憶がある。あそこは僕のような田舎者には敷居が高すぎたのだ。僕にはドラッグストアの化粧品売り場の方が気持ちが楽なのだ。ここの美容部門もそうなってしまうのか?はっ!庶民にも手が届くような化粧品店より高級店を作ってしまった。あー、失敗した。俺の細々とした店に普通に置こうかな。高級品はバラやラベンダーやバニラなどの香りにしている。庶民に卸す方はハーブ系や柑橘系にしようかなぁ。香りがダメな職業だってあるから無臭もあってもいいよね。そうしよう。母様に相談だ!ダメだダメだ、高級志向になってしまっては。ルーベンスさんのカトレイン商会の方にしようかな?とりあえず母様に相談だ。
イーサン兄様の魔道具施設の面接はまだだから母様のところに行こう。
「母様、相談でーす」
「あら、ケビン、どうしたの?相談事って何?」
「やだなぁ、警戒しないでください。大したことではないですよ。母様達の美容部門って高級感あふれているように感じてしまい、庶民が気軽に入れないように思ってしまったのです。庶民にも気軽に来られるように、僕の雑貨屋かルーベンスさんのカトレイン商会に庶民用の化粧品を置こうなぁと思ったのです」
「まぁ、そうだわ、母様も貴族を基準に考えてしまっていたわ。庶民でも手に取れることのできるお店、あぁ、なんてこと。ロナウドとフレッド様とルーベンスさんを呼びましょう」
そこからまた大忙しだった。みんなが集まりことの次第を説明し、ルーベンスさんが渋々承諾してくれた。
「うちも今大忙しなんですよ。化粧品にまで手が回らない。人材が足りない」
どこもかしこも人手不足になってしまっている。自分たちが信頼のおけるものではないと任せることができないからね。
「そうだ、グリムの奥さんと娘さん、息子さんは紙部門で手先が器用なところが発揮されているけど、グリムの奥さんと娘さん、ルーベンスさんところの化粧品部門に来てくれないかなぁ?グリムを呼ぼう」
恐縮しながらやってきたグリム。
「私何かしてしまいましたか?」
「ごめんごめん、グリム、グリムの奥さんと娘さん、働こうと思っていたよね?ルーベンスさんのカトレイン商会の化粧品部門で働いてほしいのだけど。そこは庶民を中心にした化粧品を置こうとしているの。高級な化粧品も置くけど、大体は庶民でも買える化粧品を置こうと思うの。どうかなぁ」
「け、け、ケビン様?えっ、うちの妻と娘をですか?えっ、よろしいのですか?うちのはケビン様から従業員特典でいただいた化粧品を愛用していて、使っては絶賛してます。ルーベンスさんのところなら気軽に仕事ができますね」
おいおい、気軽にってフォーゲリア商会よりは楽だけど。
「今、走って聞いてきます」
「えっ、大丈夫だよ、まだ計画段階だから」
あー、行っちゃった。早い行動。うちのみんなはなぜこうも行動が早いんだろう。
「ケビン、お前が色々と無理難題を次から次へと言ってくるから、みんなの行動が早いんだからね。わかっている?」
「ロナウド兄様、行動はゆっくりでいいんですよ。やることと収支報告が多くなってしまうではないですか!可哀想に、ローガンは商会の事務官に採用したのに、もう大忙しではないですか?大変だなぁ」
他人事のように言っているが、僕だって商会の収支を管理しているから、ローガンが終わったら自分に戻ってくるんだよ。あー嫌だ嫌だ。パソコンが欲しい。表計算と決算承認を電子でやりたい。作って欲しいノートにパソコンも書いておこう。
グリムが奥さんと娘さんと一緒に戻ってきた。みんな走ってきたの!
「グリム、ここ座って。もう走ってこなくていいのに!奥さんと娘さんが可哀想じゃないか」
「妻にとってこの仕事をぜひしたいと言っていたので、すぐ参りました」
「グリムの妻のポリーと申します。娘のペリーヌです。このお話、ぜひ引き受けたいので一緒に参りました。以前は商業ギルドの受付をしておりました。接客には自信があります。よろしくお願いいたします」
自己アピールと圧が強い。姿勢も言葉遣いも申し分ない。もしこっちに貴族が来ても大丈夫かも。
「お願いしていい?」
三人して頷いていた。グリム、君は化粧品担当ではないけど。
「やっぱり制服の方がいい?」
「はい、ただ、フォーゲリア商会より簡素な形でいいです」
「エプロン付ワンピースでいい?」
聞いてしまって、まずいと思った。イメージしたのがメイドカフェみたいなワンピースもしくは不思議な国のアリスの洋服。
「そういうのでいいです。エプロンがついているなんて便利だわ」
メイドカフェ・・・。ロングワンピースにエプロンだな。色をいくつか用意すれば可愛いかな。
ああ、よかった、そうそう決まって。ルーベンスが仕事が増えることが気の毒だがしょうがない。頑張れ、ルーベンス、心の中で合掌をしたが、ルーベンスの射抜くような目でじっと見つめられてしまったよ。
美容部門の初日プレゼントはハンドクリームにしよう。
「母様、美容部門の初日プレゼントはハンドクリームでいいですか?それともほんの少しのフレグランス、あっ、練り香水にしようかなぁ」
ミツロウで作ればいいんだもんね。
「ケビン、練り香水ってなぁに。初めて聞く言葉だけど」
はっ、また口に出ていた。ロナウド兄様を見ると呆れていたよ。また言っているよ、って。やってしまった。
「えーっと、ミツロウにフレグランスを練り込めば、香水のように液ダレしないでそっと香る程度の香水です」
「ケビン、オープンまでに頑張りましょうね」
また仕事が増えたよ、トホホ。




