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13 畑ふたたび・催促お菓子

 うん、お菓子がきれいになくなっていた。


 窓際に置いたアップルパイ、クッキー、そしてクッキーの袋。どうやって袋を持っていったのだ?アイテムボックスを持っているんだろうなぁ。


 僕は走って食事室に向かって、ドアを開けた。


「父様、母様、聞いて!」


「ケビン、お行儀が悪いわよ。どうしたの?」


 それからお菓子が食べられていること、そしてクッキーの袋がなくなっていたことを伝えた。


「まぁ、食べにきたのかしら?外の畑は大丈夫かしら?昨日植えたのは、綿の花と穀物類だったわよね。綿は、ケビンが言っていた暑い時は涼しく、寒い時は温かくなる綿のだなを作ったけど、本当にできるかはわからないわよ。なんだか、見に行くのが怖いわね。早く、ご飯を食べなさいケビン」


「は、はい。母様」


 外がワサワサしてきた。領民が集まってきたのかなぁ。


 父様を見るとこめかみを押していた。お疲れだなぁ。

 他人事のように見ていたら、睨まれた。がんばれ、父様。もうすぐ兄様方が帰ってくる。手伝ってもらえばいいと思う。イーサン兄様は宰相の補佐官だから書類などが好きだろう。ロナウド兄様も商人魂に火がつくかもしれない。みんながんばれ。


「ケビン、お前にも手伝ってもらうからな」


 えっ?僕まだ子供だよ。


 さてと、綿、できているのかなぁ。

 スキップしながら外へ出た。それを見ていた父様はあきれていただろう。ため息が後ろから聞こえたよ。ごめん、欲求に抗えないんだよ。


 おおー、綿の花。奥には黄金色の小麦、大麦、米。前世のコットンフラワーより大きい。いっぱい収穫できる。水魔法がある人にこれを洗ってもらって風魔法の人に乾かしてもらおう。能率重視を父様に相談。兄様達が帰ってきたらやらせると言質を取った。兄様達にもやってもらうことをメモしておこう。お前は兄達もこき使うのかと言われたが、そんなこき使うことはしないよ、たぶん。僕の収納に入れておくことにする。


 この2日間だけで小麦と大麦、米の生産量が増えすぎた。土精霊様に本当にありがとうございます。この領地の土壌がよくなっている。肥料を与えなくてもいい具合だ。これが土精霊様恩恵。でも、2日間は来てくれたが、自分たちでなんとかできる方法を探さないと、将来の土壌の維持ができない。ずっと土精霊様が住んでくれれば1番いいけど、無理は言ってはいけない。これがいつまでもあると思ってはいけない。


「壮大な光景だな。黄金に光っているなぁ。ただ、もう少し普通の成長でいいのになぁ。今はこの豊作はとてもありがたい。領民に配ることができる。ケビン、ありがとう。お前の突飛な行動でこれだけの恩恵を受けた。本当にありがとう。領民達もとても喜んでいる。収穫も楽しくやっているよ」

 頭をわしゃわしゃされた。父様、髪の毛がぐちゃぐちゃだよ。突飛な行動ってなんだよ、突飛って。


 また、土精霊様からのお言葉がないか、畑を鑑定した。土に栄養が行き届いている。畑というより領地全域か?


 ”おいしい、アポ―パイとクッキーありがとう。今回は仲間がついてきてしまったから、食べるお菓子が少なかったんだよぉ。グスッ。お土産ありがとう。絶対みんなにとられそう。仲間も一緒に土に栄養を与えたよ。二日間黙ってきているので、今度は家族に伝えてからくるね。来週また来るね。お菓子いっぱいがいいなぁ”


 仲間も一緒に付いてきたって。お菓子足りなかったのか。来週なんだ、来るの。


「父様、土精霊様、お友達がついてきてしまってお菓子が少なかったらしいです。仲間と一緒に土に栄養を与えてくれたそうです。今度来るのは来週だそうです。でも一応お菓子置いておいた方がいいですか?」


「そうだな、気まぐれで来てしまった時にないと落胆してしまうから、お供えとして毎日置いた方がいいのではないか?食べずに置いてあったら、ケビンとジュリのおやつでいいじゃないか」


「そうだですね。気まぐれで来た時にないと落胆してしまうもんね。うん、毎日置いておくことにするよ、父様」


 前世、母親や祖父母の祭壇にはお茶と水を毎日置いておいたし、お盆の時やお彼岸の時などはおはぎや団子など作って置いておいたからそれと同じだな。お供え物だから毎日置くことにしよう。でも来週って、いつだろう?


「さあ、収穫して、この綿花?何に使うか教えてくれ。それと、アポーの実、カカオの実、ベリーの実もたくさん成っているぞ」


「ベリーはジャムにしよう。アポーとグレープはお酒にしてしまおう。カカオの実はこれからだよ。とりあえず、また僕の収納に全部しまっておくね」


「ベリーでジャムが出来るのか?アポーでお酒が出来るのか?」


「アポー、グレープ、大麦、米などはお酒にできるよ。ポテイモやスイートポテだってお酒出来るよ」


「よし、お酒を先にしよう。時間が掛かるだろう?」


「えー、お酒?父様たちが飲むだけじゃないか」


「いやー、ほら領民だって、領民は今まで頑張ってきたのだ。ねぎらってあげたいじゃないか。な?」

 父様ずるい。領民のことを持ち出されてしまうとなにも言えないじゃないかぁ。なんもいえねえ。

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