123 王都〜西側スラム街を整備しよう2
場所を西側スラム街に移った。ここにくる時はブラッドも一緒に来ることにしている。ムフフ、キューピットケビン、爆誕。でもブラッドが振られたら困るから流れに任せるけどね。振られたら慰めてあげるからね、ブラッド。
「ケビン様、何ですか、その目は。生温かい目をして、碌でもないことを考えていますよね!」
「人聞きの悪いなぁ、ブラッドくん。僕のこの優しき心で労わってやろうと思っていたのになぁ』
「碌でもないこと考えていましたね」
最近、僕に対する扱いが雑!おー、子供達が楽しく遊んでいる。快適に暮らしているかなぁ。
「あー、ケビンさまだぁ、ケビンさま」
うん、ここでも寄ってくるのは女の子だけど、幼子よ。僕は空を見上げて、女運はどこに行ったー、と心で叫んだよ!うっすらと目尻に涙が出ているのではないか?
「ケビン、大丈夫か?」
「父上、何でもありません。人生について考えていただけです」
「そ、そうか、よくわからないけど頑張れよ」
父様も扱い雑!
老若男女といるが、怪我している者、体がいかにも弱そうな者、老人、子供皆が集まって話を聞こうと集まってきた。
「みんな聞いてくれ。ここにいらっしゃる方々がフォーゲリア伯爵当主、ルーク様だ。そして三男のケビン様だ。皆も知っての通り、ケビン様に孤児院を作っていただいた。見た目は変わらないが、中は皆も見学した通りだ。そして以前説明したが再度説明をする。フォーゲリア伯爵家と仕事の提携をすることになり、皆に働いてもらうことになった。それに伴って、ケビン様が従業員特典で、家を改築してくれることになっている。仕事に関して不安に思うことや質問などして欲しい」
皆からは本当に働けるのか?働かなかったら従業員特典は受けられないのか?仕事は難しいのか?などみんな不安で質問をいっぱいしてきた。
不安だよね,いきなり働けって言ってきた貴族がいる、それが子供の僕。酷いよね、体が弱いのに快適な暮らしをするために働けっていきなり言ってきたのだから。
子供達にはコーヒーの実や葉っぱや木々の採取、体が弱い人は農作物の採取やお花を花束にする作業、詰める作業など座ってできる作業をお願いすること。元騎士さん達は力仕事を頑張ってもらうことを説明した。
ベリーを栽培するので、それをジャムに加工し、瓶詰めする作業もあることを伝えた。
自転車、ベビーカーを作ったなら、車椅子も作りましたよ。ベリーを採取しやすい高い位置で栽培時車椅子や子供達にも採取しやすいように設計を計画している。
「このように、体が不自由な人もちょっとした仕事をすれば従業員です。ゴミ拾いでもいいのです。この土地が少しでも綺麗になる行為をしたならそれは十分仕事です。みんなの生活を最低限保証します。この生活を打破したいと思いませんか?安心して暮らせる生活をしませんか?そして、これから皆さんがこれをやってみたいと思える未来を作りませんか?皆さんの変わりたいという気持ちが大事なんです」
みんな涙ぐんでいた。うそーん、大したことは言っていないよ。
「ケビン様、皆、変わりたいという気持ちがあってもどうしていいのかわからない状況でした。しかしこのような変われる機会をいただきありがとうございました。我々は精一杯頑張ります。よろしくお願いいたします」
みんなが力強く頷いた。
「もし、家族などと離れ離れになっているようなら、ここで一緒に住んでもらってもいいですよ。その時は言ってください。さて、それでは家を作ってしまいましょうか?父様」
ん?父様まで涙ぐんでいるの?
「ケビン、お前ってやつは」
頭をぐしゃぐしゃに撫で回された。うーん、父様は俺にゲンコツか頭を撫で回して髪の毛をぐちゃぐちゃにする、二極端だなぁ。ゲンコツの方が多いけどね。
ここでも、外はボロ小屋、中は快適部屋に生まれ変わった。
もちろん従業員特典の温泉施設を作り、従業員の体のメンテナンスを考慮した。温泉施設の熱を利用し、温室を作りベリーを栽培。
そしてうちの土魔法士達にお願いし、車椅子でも動きやすい道を整備した。立ち並ぶ家々はボロなんだけどね。見た目は変わりがないボロな家だけど、雰囲気は明るくなったよね。着ている服も農作業ができる服や商談に行けるような服、警備しやすい服などを支給しよう。もう、街の人たちに馬鹿にされ、嫌悪されないようにしないと、フォーゲリア商会の傘下になったということを知ってもらわないと状況は変わらない。
と、あっという間に作ってしまったので、みんな思考がついていけているかなぁ。
「さぁ,どうでしょう?もっとこうした方がいいということがあれば言ってください、直します」
シーン。あのー、誰か喋って欲しいなぁ。
「えーと、どうでしょうか?気に入らないところありますかぁ?」
シーン。
「と、父様、やりすぎましたかねぇ」
「はっ!あー、うーん、やりすぎだな。みんな思考停止しているよ」
父様と一緒にみんなの動向を観察していたが、ユリアさんが拍手して喜んでくれた。
「すごいわ、ケビン様。家の外装はボロだけど中は孤児院と一緒で快適なんでしょう?みんな、自分の家を見に行きましょう。自分の家、わかりますよね?外見が変わっていないのですから」
みんな、復活して、おーという声と拍手に包まれた。みんな、外は全く変わらない家だがお乗る遅る中を覗き込んでいた。何じゃこりゃ、など絶叫がこだまする。そうなるよね。
「ケビン様、またすごいものを作りましたね。外見は変わらないけど。あの温泉施設というのはお風呂に我々はいつでも入れるのですか?」
「そうだね、でも、快適にするためには掃除をする人を雇わないとね。多分温泉に入ってから、役割を決めた方がいいですよ。体調が変わると思うので」
「えっ?体調が変わる?それはどういうことですか?」
「お風呂に入ってみてから考えましょうね、あははは」
俺はマジックバッグからタオル一式を皆に渡し、順番に入ってもらった。孤児院の子供達はすでに家で経験済みなので、子供達に石鹸やシャンプーの使い方を教えるよう伝えた。しばらくは父様と温室の方と警備などをどうするか話し合っていた。
「ケビン、お前は次から次へとよく考えるな。しかしこの温室のベリーであのジャムを販売するのか。フレッド様に相談していないよな?絶対公爵様経由で売った方が面倒ごとに巻き込まれないと思うけどな」
「あー、相談してませんでした。何というか、ここの住人だからってだけで嫌味嫌うなんて許せないではないですか!だからこの場所から超目玉商品を出したかったのです。あとは花を、花束を売ろうと思うのです。週に1、2回。そこにバラを予告なしで売ろうと思うのです。バラに出会った人は超ラッキーって」
うわー、父様、痛い子を見る目でまた俺をみているよ。
「まぁ、そこはフレッド様に相談しよう」
「はーい」
そしてルーベンスさんがお風呂施設からいそいそと出てきた。
「何ですか、あれはー!」
そう思うよね。てへっ。




