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121 王都〜孤児院を

 皆に説明をするために、孤児院の小屋に移った。なんとも異様な光景だ。


 父様、フレッド様、イーサン兄様、ロナウド兄様、ルーベンスさん、後ろに控えているのが兄様方の従者、僕の従者ルーアン、ブラッド、ユリアさん。


 そして僕の位置はみんなの前。ユリアさんが子供達に教えている部屋に黒板とチョークらしきものがあったので、そこで説明することにした。


 黒板は僕の背より遥かに上なので木箱の上に立った。


「では、みなさん、お集まりいただきありがとうございます(ペコリ)新規事業について説明します」


 一斉にため息つかれましたよー。ユリアさんだけが拍手してくれた。2人でにっこり。それをみたブラッドが俺を睨む。ブラッド君、子供の僕に嫉妬とはいただけないぜ、ププッ。


 それから(こうぞ)沈丁花(じんちょうげ)を見せて、紙の原料であること。コーヒーの実を見せて、子供達に収穫してもらう作業をお願いすること。だから子供達も従業員としての立ち位置になることを説明した。


「子供達は従業員扱い、そしてここにいる人たちも色々と仕事をしてもらうことになるので、従業員特典で家の改装をしようと思います。うちの家のように、見た目は貧乏、中は快適空間を作ります。そうすれば目立つことはないと思うのです。そして奥まったところに農作業できる畑を興して、自給自足生活をしてもらいます。紙の方は上質な紙はフォーゲリア商会、平民でも入手出来る品質の紙はおじさんの商会に売ってもらいます。それからおじさんの商会で売れずに余っているものを今後見て、何か作れるものがあるか検討します。で、ここからがお願いです。イーサン兄様、紙ができるまでの工程に必要な道具を作ってください。お願いします(ペコっ)ロナウド兄様、フレッド様、新たな商品を置いてください、お願いします。そして父様、商会の事務官をおじさんの息子さんにしようかと思うので面談しましょう。以上、報告相談連絡でした」


 ここでも、ユリアさんが拍手をしてくれた。俺の発表会だからユリアさんだけ温かい目で見守ってくれていた。みんな疲れ切った目をしていたけどね。


「何が報告相談連絡だ!もうほぼ決まっているじゃないか!ケビン」


「はぁ?またかよ?」


「ケビン、お前は、いなくなったと不安で必死に探していたのに、なんなんだよ」


「あははは、さすがケビンだ!また忙しくなるなぁ」


 お分かりかと思うが、上から父様、イーサン兄様、ロナウド兄様、フレッド様だ。


「少し待ってくれ。ここの住人達の中には以前騎士だったが欠損や怪我で働くのが困難な者、病気がちな者、女子供が多い集落だ。働けと言っても難しいものがある。できる範囲でというと効率が全く上がらないのは目に見える」


「欠損は、まぁ治すのは難しい?ですが、もしうちで働く意志があるなら怪我や病気はポーションを支給します。欠損の人は出来る仕事をしてもらいます。働く意志を考慮します。過去を悲観して生活するより未来を見て生活をしていってほしいです。みんなの意志を尊重します」


 おじさんが目頭を押さえていた。目が疲れたのかな?


「ははは、ケビンくん、いや、ケビン様。あなたの考えはわかりました。もう少し計画を詰めてから、皆に話をしたいと思います。その時は契約魔法をいたします。秘匿が多そうですよね?きっと。ここでの生活を変えたいと思っているのは皆同じですが、方法がなかった為苦しんでおりました。この機会に皆が未来に向かって歩める、希望が持てることの第一歩となることを切に願います」


 父様もため息をつきながら納得したようだ。


「王都の商会まだ立ち上げたばかりなのに、話が大きくなるのはなぜなのだろうなぁ、ケビン」


 ロナウド兄様、それは僕が一番わかりません。なぜなんだろうね?


「とりあえず、先行投資で住宅改善をちゃちゃっと作ってしまいますか?子供達には遊びながら採取をしてもらうのが大前提なので子供達の働きはよろしくお願いします。では作りましょう」


 外側は今まで通り、表から見たら全く変わらないが奥行きを作り、中は贅沢と思われない程度の部屋を作った。部屋は厨房食堂、勉強部屋、寝る部屋、お風呂を作った。


「なんですか、これは?え?」


 おじさん、いや、ルーベンスさんとユリアさんがびっくりしていた。子供達は大喜び。


「これで雨風は凌げますね。今度は奥の方に畑を作って自給自足してほしいです。野菜が収穫できれば、飢えはなくなると思うのです」


「従業員になれば、これが従業員特典、なんですか、この待遇は!」


「未来ある子供達には元気に過ごしてほしいですからね。ただ、全員は助けられないもどかしさを感じます。国で子供支援してくれればいいのに何もしないなんて、嘆かわしい」


 お前も子供なんだけどなぁと聞こえてくる。俺は恵まれた子供なんだよ。転生して、伯爵家三男になり、貧乏といえども心配してくれる、そして笑い合える家族が寄り添ってくれた。


 ここにいる子供達は親に捨てられ、衣食住がままならない生活を強いられている。学習にしてもそうだ。将来どうなりたいか、など考えることがない人生になってしまう。


 この子達をうちの領地の孤児院に来れば、将来働く選択ができるよね。あっ、でも紙を作ってもらいたいし、色々な選択があってもいいよね。とりあえず、今は領地と平等に生活してもらおう。


 将来何をしたいか、希望を持ってほしい。


「ということで、ここの孤児院はうちの孤児院と同じようにしたいと思います。元々保育園みたいにしてますしね。王都店に社員食堂を作るので、そこで給食もつくってもらいましょう、ねっ、父様!」


 父様、何度めのため息だろう。まだ頭はハゲでいないよなぁ。さらさら金髪ヘアだから、頭のてっぺんが禿げてしまうと可哀想だし、やはり毛生え薬は必須だよね。


「ケビン、父様の頭をシゲシゲと眺めているんだ?」


「悩みすぎて頭の毛が禿げていないか心配だったので見たまでです。まだ大丈夫です、父様」


 父様を安心させるためにサムズアップしたら、デコピンされた。痛いよ!



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