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115 王都〜王都支店を見に行こう2

 程なくして、商会王都支店となる店に着いた。王都散策が少なすぎるというか歩いただけだよ。素通りだよ。今度はゆっくりと王都の街散策に連れて行ってもらうよう約束したよ。まったく。みんな商会の方が大事なのはわかるけど、僕は初めての王都。初めての王都散策。ゆっくり見たかったのに!


 王都の商会とするところは中央よりは少し?だいぶ離れたところだけど、店、倉庫があり敷地的には少し広いぐらいか。それも両左右は空き家らしい。これは治安が悪いと言うことなのか?


「ようこそ、フォーゲリア伯爵家の皆様。私はメメルの兄、アイザックと申します。この様に王都の中央より離れたところで大変申し訳ございません。なにぶん、あのガーゴイヤ商会に嫌がらせを受け、こちらでひっそりと商売をしておりました」


 メメルさんが悲しそうな顔をした。メメルさんのせいではないのに。ガーゴイヤ商会はランドルフの生家の第三夫人だった人の実家か。酷い奴らだ!


「アイザック、これが弟のケビンだ。何かと大変になるかもしれないのでよろしく頼む」


 ん?ロナウド兄様、またもや聞き捨てならぬことを言っているよ。ここは訂正しなくては。可愛くいくぞ。


「初めまして、ケビンです(ペコリ)。兄がいつもお世話になっております。僕はあまり商会のことがよくわからないので、皆さんを頼りにしています。兄が何かとおかしなことを吹聴しているかもしれませんが、全くのデタラメです。僕はおとなしい、控えめな男の子です。そこ、間違えないでください。よろしくお願いします」


 身内は笑っているよ。大声で笑いたいのをなんとか堪えている笑いだよなぁ。


「ケビン様でいらっしゃいますね。お噂はかねがね聞いております」


 あー、もう大爆笑している、兄達、フレッド様。メルルさん、ランドルフは失笑。


「アイザックさん、噂というのは誇張されて話されていることが多いので、真にうけないでくださいね」


「か、かしこまりました」


 アイザックさん、真面目そうな人みたいだな。嫌がらせを受けても、商会をやめずに経営するところは根性のある人なのだとわかる。いいんじゃないか。


「ところで、この商会の両左右、裏は空き家なのですか?」


「あっ、はい。皆、中央から南が発展しているので、そちらに移ってしまったのです」


 王都中央から南か。ガーゴイヤ商会が勢力を広げているところだな。


「ふーん、では、この周辺買ってしまいましょうか。発展してない地域なら安く買えるのではないですか?」


「「「「は?」」」」


 変なこと言ったかな?安く買えるに越したことはないよね。駐車場必要だし、倉庫も大きくしたい。酒蔵は地下に置きたいし、化粧品は鮮度が命、まぁ、マジックバッグに入れておけばいいんだけど、ここで調合する施設を作りたい。魔道具の修理工場や中古品買取窓口も置きたい。休憩所やなんならここに社員寮を作ってもいいんだし。あっ、そうそう社員食堂も必要だ。外に買いに行くの面倒だし。でも街で買いたい人は外に行ってもいいし。


「ケビン、どういう商会を目指しているんだ?」


 フレッド様がいち早く立ち直った。さすがだ。


「僕の考える商会は、魔道具、酒、化粧品、雑貨、あとクッキーなど甘い物を置き販売したいですね。そして魔道具の故障や中古品の買取のスペースも欲しいです。社員寮と社員食堂と社員休憩所を作ろうかなぁと思ったのです。社員食堂がないとみんな外で買ってくるか家から持ってくるしかないので、社員食堂は必ず作ります。社員の憩いの場です。そして社員寮も需要があれば作ります。あとは駐車場を作って馬車で乗り入れできる様にしたいです。大量購入していってねってかんじです。そんなところですかね」


 みんなが疲れ切っているよ。あれ?今日初めて会ったアイザックさんもなぜが疲れ切っている。


「聞きしに勝る人ですね。今日初めて会ったばかりなのにこれですか!」


 フレッド様が考え出した。これはライアン様と同じ姿を彷彿させる。


「この周辺を買うのか。まだ地価が安い状況だから今が買い時か。ケビン、そこまで考えていたのか。セレビィ、ここの周辺の地価と所有者を探し出せ。一気に買い込むぞ」


 セレビィ様はフレッド様の従者だ。最近、なぜか就いたらしい。ライアン様が押し切ったみたいだ。セレビィ様は公爵家直属だからうちの従業員特典を渡さなかったら、催促されたんだ。何気にずうずうしいんだよ。そしてルガリオ達と同じお菓子と料理の催促に来るんだ。でも、フォーゲリア家のために尽力を注いでくれる人だから無碍にできないでいる。うーん。


 それにしても一気に買い込むって?両左右と裏でいいんだけどなぁ。


「周辺を買っておけば、拡大もできるし、分店も作ることができる。ルーク様と父上に魔鳥で報告だ。また忙しくなるぞ!」



「「「はい!」」」


 えー、なぜこうなった?ゆっくりでいいんだよ。まだ外、入り口付近しか見ていないんだよ。


「あのー、まだ中を見てないのでゆっくりしませんか?」


 ハッとしてみんな俺を見る。


「そうだったな、まだ店に入ってもいないな、ははは。それなのに、すでに大事って、どう言うことだ?ケビン、お前の中でもう店の構想できているのか?」


「えー、ロナウド兄様、そこまで考えていないですが、前話した様に、道沿いにショーウィンドウで、品物のレプリカを展示することぐらいです。この店に何が売っているのか、そして目玉商品は何かを展示するのです。あっ、でも、両左右土地が買えるなら一つの建物に何店舗もある商業施設にしてしまえばいいのかな?うーん」


「しょうぎょうしせつ?また新たな言葉が出てきたよ。一つの建物にそれぞれの店で区切るのか、なるほど、で、店を大きくしないとダメだな?オープンするまで、垂れ幕が土壁で隠すか」


「そうですね、土壁でもドーンと作れば見えませんよね、兄様達、土壁得意ですからね、ぷぷ」


 うちの領地の土魔法士は土魔法を熟知したことであろう。土を掘ったり、土壁を作ったり、畑を耕したりいい働きをしている。土壁を作って見えなくすれば、オープンの時に土壁消して見せればびっくり仰天!となっていいかもしれない。


 あっ、始めはオープン記念で社員食堂で食べてもらってもいいかも。お酒もオープン記念でお猪口一杯だけ飲ませるでもいいかな。すごーく小さなお猪口。ケチくさいかな?ケチくさくないよな?


 しばらくしてセレビィ様が帰ってきた。早くないか?


「フレッド様、こちらの土地は商業ギルドが持っているらしいですが、全く売れないところと嘆いていたらしく、安価な料金になっております。まだ、フォーゲリアの知名度は王都では皆無ですので、今がチャンスと思われます」


「よし、ルーク様と父上に相談し、買ってしまおう。ロナウド、どうだ?」


「私は賛成です。王都ではまだフォーゲリアの知名度がない今がチャンスですね」


 ロナウド兄様とフレッド様が悪どい顔をしているよ。買いに来たかったら、こちらに買いに来なさーい、出張販売は致しません、転売も許しませーんという方針でいいと思う。特に貴族たちよ!


「ロナウド、楽しくなってきたな」


「そうですね、フレッド様」


 二人で笑いあっている姿は、さながらお代官様と越後屋を彷彿するようなかんじだった。商人って怖い。


「「ケビン、お前の方が怖いからな」」


 えっ?なぜだよ。


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