114 王都〜王都支店を見に行こう1
今日は兄様達と少しだけ王都散策、その後ロナウド兄様の商会、王都支店の開業の打ち合わせなのだ。先に行っているランドルフとメメルさんと合流し、メメルさんのお兄さんとの顔合わせ。イーサン兄様達が作った魔道具も置くので、配置など入念の打ち合わせが必要なんだ。僕は商会の会計などを牛耳らないといけないので事務方との顔合わせも重要なんだ。事務方はまだ人数が少ないので募集をかけている。新卒も募集をかけた。希望者がいればいいな。
街の商人の子供風の洋服を着用し、いざ王都へしゅっぱーつ!街の近くまで馬車で行き、馬車停留所から歩いて王都の街へ入った。人がいっぱいだ。獣人もいる。うわー、ファンタジー。
「ケビン、キョロキョロしていると迷子になるぞ。そうだ、なんだか心配だから迷子になったらさっきの馬車の停留所に集まるんだよ。街の人に馬車の停留所を聞けば教えてもらえるから」
「はーい、でもイーサン兄様、僕が迷子になる前提って酷いですね。僕はしっかりしているので迷子なんてならないですよ。イーサン兄様、王都で売っている魔道具を見たいです。ロナウド兄様、王都の商会を見たいです。参考にしたいですね」
ロナウド兄様がため息つきながら程々に頼むだって。程々ってどのくらい?
「いきなり大きな建物にしなくていいからね」
そうだよね、いきなりこの王都で建物が大きくなったなんてびっくりだよね。うーん、そうだ、建築会社がする足場を作ってカバーで隠すか。そうすれば建築しているということがわかるじゃないか!形だけ、形だけ、ムフフ。
「また、悪いこと考えたね、ケビン」
「え?ソンナコトハナイデス、ロナウド兄様。ただ、カバーなどで覆って建築中です、としておけば何か建物を改修しているんだなぁと周りの住人に示すことができるかなぁと思っただけです。ほんとの工事はしないですけど」
「なるほど、開店までその建築中としておけばいいのか」
「そうです、そしてグランドオープンは何日です、としておけば宣伝になるのではないですか?あとはチラシを配ったり、オープン記念に何かプレゼントを配りますとしておけば、誰か来るのではないですか?」
「グランドオープンって何?誰か来るって、お前なぁ。でも、カバーで建物を隠したり、オープン記念にプレゼントを考えるのはいいな。けいばの時に話していた初回限定品などか、なるほどな」
「ロナウド兄様、早速、建物を覆いましょう。あのランドルフの元生家の第三夫人でしたっけ?その実家の商会が動き出すかもしれないではないですか?メメル様の実家を貶めた商会。うちの家族や領民や従業員をいじめる奴は絶対許さないんだから!」
みんなが笑っている。なぜだ?
「ケビンは本当に家族思いで、領民思いで、従業員思いだよな。だからみんな安心できるんだよ」
イーサン兄様、ロナウド兄様は左右同時に僕の頭をワシャワシャと撫でた。
「もう、これではブラッドの髪型と同じになっちゃうじゃないの」
と言ってブラッド見たら、まともな髪をしている。どうしたの?ライオン丸は?
「ケビン様、王都なので髪の毛を整えてみました。変ですか?」
「ううん、まともな髪の毛でびっくりしただけだよ。誰かに会うの?」
「まともって、ひどいですね。私だってきちんとする時はきちんとしますがって、え!別に誰にも会いません。この大きな王都で会える確率なんて低いですよ」
ん?ん?会える確率って誰かに会いたいの?ん?
「ブラッド、誰に会いたいの?学園でいい人いたの?兄様達は東地域と東南地域に行くけど、ブラッドは王都に誰かいるの?いるなら話を聞くよ。プレゼント攻撃するならまずお花からだね。つぎが甘いものがいいかな。次は髪飾りにする?どうする、どうする?」
僕はぐいぐい話を聞こうと詰め寄った。ブラッドにも想い人。これは少しでも好印象を与えたいよね。それともありのままに、か?
「ケビン様、あの、そんなたいしたことではないです。ただ、学園にいた時にたまたま出会った孤児院の先生です。自身は元貴族だったのですが没落し、王都に父親と移り住んだようです。一生懸命で身寄りのない子供達に寄り添っていた人で、あっ、ち、違います。あの、すみません、これは聞かなかったことにしてください」
ほうほう、ブラッド君にもそんな想い人がいたのか。王都の孤児院か。うちの領地は孤児院は改善したので多分他の領地の孤児院よりは待遇はいいと思っている。しかし王都の孤児院はやはり教会が主導か?そこはわからないが、どんな感じなのだろう。ブラッドの想い人を見に行くついでに王都の孤児院を見に行ってもいいね。よし、計画に入れましょう。
「ブラッド、今後のスケジュールに王都孤児院視察を入れておいてね。うちの領地の孤児院とどう違うのか視察に行こうと思う」
「ケ、ケビン様、しかし、その王都の孤児院はスラム街が近くにあり危険な場所です。それを貴族であるケビン様が行くところではありません。おやめください」
「ブラッド、そういう劣悪なところにブラッドの想い人がいるの?危なくない?」
「いえ、そのみかじめをしている人が父親で、仲間意識はあるので大丈夫なのですが、あの地域は貴族を目の敵にしています。ケビン様は商家風ではありますが、やはり貴族と見えてしまいます。端正な顔立ちですから」
整理すると、元貴族で、没落し王都に移り住み、父親がスラム街のみかじめなんだ。みかじめって。ん?マフィアかやくざ?地上げ屋?どんな職業?
それにしても、僕も端正な顔立ち、整っているということだな。父様、母様、兄様方、ジュリ、みんな美男美女だ。僕もなのか!そうか?貴族の雰囲気あるかなぁ?全部疑問符しかつかないじゃないか。
でも、そこの行ければ行きたいな。ムフフ。




