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111 ボールドウエッジ公爵(ライアン様)視点2

 ケビンくんはどこにいるのか?


 執事のビクティがケビンは庭のガゼボでまったりとしています、と言っていた。優雅にあそこの庭でお茶を飲んでいるのか。子供らしくないぞ。


 そして先に行ったルークの声がこだまする。あははは、怒られているよ。


「ケビン、またやっているよ」


 後ろにいるフレッドがボソリと言っている。こういうことはいつものことなのだろうな。大変だな、ルークは、あははは。


「フレッド様、この庭園は素晴らしいですわね。とても美しいです。お義母様が見たら喜びますわね」

 

「あぁ、でも、アンジュも好きだろう?」


「ええ、フォーゲリア領の庭園、ガゼボ?は美しいし、私達の家の庭にもこのバラが咲いてますが、このように均整の取れた庭園、素晴らしいわ」


 確かにこの庭園はすごい。キャロラインがずっとここにいたいと思うような作りだ。


「ん?フレッド達、家があるのか?そこにこの花があるのか?」


「えぇ、従業員特典の家族寮というか私が貴族ということもあって、平民の家族寮よりは大きい家と庭を作ってもらいました。そこにこの薔薇を植えた庭があります。そこで休日はアンジュとまったりとお茶をしたりしています。フォーゲリア領は本当に気持ちがいい土地ですよ。貸し馬車、送迎馬車や自転車で街に行くこともできますし、楽しいですよ」


「また従業員特典!何だね、その貸し馬車や送迎馬車とは?そういえば、けいばをする時に、駅からけいばまで送迎とか言っていたな?送迎馬車か、なるほど」


「馬の所有は大変ではないですか。だから街へ行くときなど貸し出し用の御者付き馬車があったり、自転車という自分の足で漕ぐものが支給されてます」


 フレッドは自分のマジックバッグからじてんしゃ?なるものを出して見せてくれた。


「初めはバランスを取ることが難しいですが、慣れれば簡単で便利です。安定しない人は三輪車も支給されますから安全です」


 そしてさんりんしゃ?というものを出した。


「お義父様、この三輪車は私様なのですよ。これに乗って美容部門の施設に行くのです」


 は?アンジュよ、これに乗れるのか?そんなドレスで乗れるのか?


「父上、ドレスでは乗らないですよ。パンツルックやフレアスカートという女性が働きやすい洋服が作られているのですよ。それを着て、働いているアンジュはステキです」


 おいおい、2人で見つめ合って、親の前でイチャイチャするな。


「オホン、今度そのじてんしゃに乗らせて欲しい」


「父上は歳なので三輪車の方がいいと思いますよ」


 ふん、乗りこなしてやるわい!


 庭園に案内され、これまたすごい庭園だ。そしてガゼボ?なのか、これは。


「これをガゼボ?というのか?立派な見たこともない形の屋敷だけど?」


「父上、ケビンはお茶会や他の屋敷に行ったことがないのでガゼボを知らないのですよ。ケビンが思い描くガゼボです。フォーゲリア領地のガゼボ?はもっとすごいです。中も外も」


 今度行った時に案内してもらおう。こんなに立派な屋敷を短時間で作ってしまうスキル。本当に規格外すぎる。あの子は母親を大事にする子だ。母親が喜ぶ姿を見るために頑張っているのだろうな。


 さて、あちらは落ち着いた頃だろう。我々もガゼボ?に案内してもらおう。


「やぁ、ケビンくん、だいぶすごいものを作ったね」


 バツが悪そうに見るケビンくん。こう見ると子供なんだよなぁ。


「ライアン様もいらっしゃったのですか。はははは、やりすぎた?みたいですかねぇ?ですが、この庭園、綺麗ではないですか?」


 全く悪びれていない。むしろ悪どい顔をしているのは何故だろうなぁ。そして驚くことを言ってきた。この庭園を公爵家のタウンハウスに作るのか?いいのか、こんな素晴らしい花々を植えてくれるのか?この見たこともない花。これを我がボールドウエッジ公爵家と寄子のシンボルにならないだろうか?誰もが見たこともない美しい花が我が寄子のタウンハウスだけに咲き乱れる。心が揺れる。しかしすでにフォーゲリア家に頼りすぎているのだが、頼んでみるか。


「ルーク、ケビンくん、この花を私の寄子達のタウンハウスに咲かせることは難しいだろうか?私と寄子との絆のような標となるものにできないだろうか?」


 そして快く提案を受け入れてくれた。この花が咲いているタウンハウスはボールドウエッジ公爵家のや寄子。その花は分配できないのか。分配したら枯れてしまうのか。そこはしっかりと言い聞かせないとな。


 それからまたケビンくんは白、黄色、赤、ピンク、濃いピンクのバラの中から1種類か2種類のバラを選んでもらうため、生花と色の組み合わせのバラの薗の絵を描きマジックバッグに入れていた。


 これをそれぞれの寄子に届けさせた。そして、その届けたマジックバックにはこれから始まる社交界での夫人の荷物の移動に役立てて欲しいことを伝えた。そうすれば身軽に来られるだろうとケビンくんの申し出だった。本当に出来た子だ。女性陣の荷物の多さ、いつも大移動になる。しかしマジックバッグがあれば身軽に移動ができる。ありがたい。回収は私がしないとダメだな。そこはしっかりとしないと信用を失ってしまう。


 よし、では、寄子のに送ろう。皆どんな配色を選んでくるのか。


 では、これから公爵家のタウンハウスにケビンくん達を招待しないとな。楽しみだな。




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