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109 寄親、寄子の結束の標

 公爵様が考え込んでいたので、やっぱりやらかしすぎたなと脳内猛省した。


「ケビンくん、うーん、なんと言っていいか、確かにやらかしすぎだな。建物は奥まったところにあるのでそれはいいが、庭園は、それもこの花園はすごい。目立ちすぎてしまうよ。それでなくとも、フォーゲリア家は魔道具や商会の立ち上げなどで話題が事欠かない状態なのだよ、ケビンくん」


 マジですか!目立ちたくないなぁ。うーんどうしよう。そうだ、公爵様のところに大々的に植えればいいのではないか?ニヒッヒッヒッ。


「ケビン、悪どい顔してるよ。何か悪いこと考えているのではないか?」


「やだなぁ、父様。目立ちたくないので、公爵様のタウンハウスに同じようなものを作れば、寄親にあるものを分けてもらったていでいいのではないですか。それがいいですね」


 お前はどうしていつも悪どい考えが思い浮かぶのだ、とブツブツ言っている。いや、目立ちたくないし、公爵様が表立ってくれれば問題なーし。


「わははは、なるほどうちにもこれを?うちとしてはありがたい。こんな素晴らしい花々を与えてくれるなんて、わたしの妻のキャロラインが大喜びするよ。たぶん自慢しまくるためにお茶会を多く催しそうだな。今、キャロラインの母親の体調が悪く実家に行って不在なのだ。戻って来たら今度紹介する」


 公爵夫人、キャロライン様かぁ。お花気に入ってくれればいいなぁ。お茶会をいっぱい催すならうちの領地のガゼボ?を作った方がいいのか?


 さて、この種は母様が作ってくれた種だ。母様の承認をもらわないと綺麗に咲くことができないたろう。


「母様、この種を公爵様のタウンハウスに植えてもいいですか?どうですか?」


 母様も自分のスキルのことを考えたのかにこやかに答えた。


「えぇ、公爵様のタウンハウスに植えましょう。そして美しく咲き乱れることでしょうね。よろしくね」


 種に語りかけていた。これで母様が望んだ土地に植えることになっただろう。


「ライアン様、この種を公爵家のタウンハウスに植えましょう。ただタウンハウスに植えるのですが、これをタウンハウス以外の土地、公爵領に植えても咲かないです。あくまでタウンハウスで咲く花と考えてください。他に分配しても咲かないです」


「そ、そうなのか。ふーむ、ルーク、ケビンくん、この花を私の寄子達のタウンハウスに咲かせることは難しいだろうか?私と寄子との絆のような標となるものにできないだろうか?」


 タウンハウスでこのバラを咲かせているのはボールドウエッジ公爵家の寄子。結束の硬さを見せるにはいいのかも?でも姉様の辺境伯のタウンハウスにも植えたいんだよなぁ。


「あの、僕の姉様、スティングレイ辺境伯のタウンハウスにも植えようとしたのですがダメですか?」


「それは別に構わない。スティングレイ辺境伯はうちとも懇意にしているからおかしくないだろう。どうだろう、ルーク、頼む。最近頼んでばかりで申し訳ない。それにうちの寄子の当主達にはいつ何時でも無茶振りされたら対応できるようフットワークを軽くするように伝えてある」


 無茶振りでもすぐ動けるよう?なんだそれ?公爵様、無茶振りせず計画を持ってやった方がいいのではないか?部下が大変だよ。


「ケビン、なんだか他人事のような顔をしているけど、無茶振りは君が根源だからね。わかっている?」


 フレッド様に指摘されて、僕ですか?コテンとよくわからないフリをした。


「こら、ケビン。すみません、ライアン様。メルシーどうだろう?いいかな」


「もちろんですわ。私はこのバラを寄子の皆様に楽しんで欲しいので喜んで提供しますわ。王都のボールドウエッジ公爵家の寄子の家がこの花が咲いているなんて心が明るくなりますわ」


「そうと決まったら魔鳥で知らせるか」


「あっ、ライアン様。見本を皆さんに送る用意します。そして色を2色選んでもらってください。それで種からではなく花の苗を用意します。そうすれば早く花が咲くと思うのです」


 ライアン様は手紙を用意している間に、僕はバラの花を用意した。白、黄色、赤、ピンク、濃いピンク、このぐらいでいいだろう。うちには紫のバラと青いバラも植えているがこれは公爵家の庭園にどちらか植えよう。絵も書いて雰囲気がわかるようにする。そしてマジックバッグ10畳ぐらいのポシェットを作ってバラの花を入れた。


「お待たせしました。この中にバラの色の見本が入ってます。2色を選んでもらうのでその配置のイメージしたものを絵に描いてきました。どうでしょう?」


 2色のバラの配置によりイメージが違う。絵を描けばイメージがつきやすいと思った。


「これはいい、でも寄子の庭はそんなに大きくないから大丈夫だよ、ケビン」


「えっ?そのそうなのですか?うちの庭のようなイメージでした」


 父様がなんとも恥ずかしげな顔をしていた。


「ケビン、うちは王都中央のタウンハウスを持つほどのお金がなかったのだよ。今なら買えるかもしれないが、今となったらここで良かったのかもしれないなぁ。こんなに建物を作っているのだからなぁ」


 みんな、この敷地に魔道具施設、温泉施設、庭園、鍛錬場、多分社員寮もここに作るだろう。あははは。まだ余裕があるから小さいガゼボを作ったが、やはりお茶会の施設、料理教室の施設でも作ろうかなぁって、僕、王都にあまり来ないけど。


「ケビン、考えたことを報告!今何考えた?」


「へ?父様、やだなぁ。えーと、まだ敷地に余裕があるので社員寮と領地にあるのと同じようなお茶会の施設、料理教室の施設でも作ろうかなぁなんて思ったのですが、僕、王都にそんなに来ないのでどうしようかなぁと思っただけです。大丈夫です、おかしな考えはしていないです」


 みんな苦笑い。


「そ、そうか、ケビンは王都に来ないのか?王都の学園に入学するだろう?その時に来るではないか」


 フレッド様が学園の入学のことを言ったが、そういえば学校のことを父様に詳しく話していなかった。


「僕は王都の学園には行かないです。フォーゲリア領に学校を作るので、そこに入学します」


「待て待て待て、ケビン、うちに学校はないが?公爵領には学校はあるが、公爵領の間違えではないのか?」


「あっ、そうだった、兄様方とブラッドには言っただけか。父様、うちに学校を作りたいのです。平民も一緒に勉強ができる職業に特化した専門学校を作りたいのです。もちろん基本的な学習はします。女性は淑女教育もします。そのほかに自分がやりたい仕事を早いうちから身につけ、将来に希望を持って生活してもらいたいのです。王都の学園に行くと僕は魔法は使えないで、魔法の実技はできないです。学園に行ってもしょうがないのかなと思ってました。そういえば、魔法って、魔法理論を覚えれば、紋様紙に魔法陣を書いて使えるのではないですか?そういう使い方はないのですか?」


「「「は?」」」


「ん?そういえば魔法陣ってない?あれ?」


 公爵様が真剣な面持ちで僕を見て語った。


「ケビンくん、王都の学園は社交の場でもある。仲間を作り、今後の領地経営などの繋がりに役立つと思うのだ。学園には行った方がいいと思うぞ。それから魔法陣は古代魔法であるのだが、今は誰も古代魔法を読み解けないのだ。確かに魔法陣を使えば魔法が発動すると言われている。しかし今の時代にわかる者がいない。研究している者達はいるのだが、なかなか魔法陣の発動には至っていないのが現状なんだ。その古代魔法研究所というところがある。所長はわたしの末の弟なのだが、あいつは古代魔法の研究で結婚もせず研究に打ち込んでいる変わり者なのだ。王都にいる間に紹介しよう」


 古代魔法って何?今の魔法でさえ使えないのに、魔法理論を勉強しても魔法陣出来ないのかぁ。魔法陣自体がわからないなんて、そんなぁ。


 その後、専門学校の様な技術伝承に特化した学校、もちろん読み書き、計算、マナーなどは教えることなどアバウトな考えを説明した。学校は追々計画していこうと考えている。僕が学園入学前にどうにか軌道に乗せたい。俺は王都に行きたくないんだー!




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