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107 期待に応えて頑張ってしまったよ

 タウンハウスの散策に同行する人はイーサン兄様、ロナウド兄様、ビクティ、ルーアン、そしてイーサン兄様の従者ディーン、ロナウド兄様の従者コルティ。コルティはここで初お目見えだ。従者三人が揃ったの初めてのことだ。ロナウド兄様の従者コルティは商会の秘書兼従者として仕えるそうだ。あとブラッド、護衛騎士はルースとペトロが続く。この二人は領地で面識ある二人だ。なんだか、みんなでゾロゾロ歩くことになった。


「ケビン、うちのタウンハウスは散策するほど何もないよ。庭が広いが何も植えていない。いつかは母様のために庭園でもと言っていたが、庭園にするためのお金がなかったのだ。だから広い庭というのか土地があるだけだ」


「イーサン兄様、では母様やお祖母様のために庭園作っていいですか?ガゼボも作りますよ!」


「ケビン、待て待て。あのガゼボ?をつくるのか。あれより小さいのでいいからな。ケビンのガゼボの基準が違うから、フレッド様に公爵家のガゼボを見せてもらおうか?でも、母様とお祖母様のため庭園を作ってもいいよな」


 ロナウド兄様も賛成している。殺風景な庭ではつまらないもんね。よし、こちらでも母様に作ってもらったバラを植えよう。ガゼボと言われる施設は領地よりは小さくして、それを中心にバラの庭園だ。領地と同じかそれよりゴージャスな感じかな。それからトピラリーができる樹木を植えればバッチリ。プププ、今度母様達がきたらびっくりするような庭園を作るぞ。


「ケビン、また何を考えたのか報告、相談してから作るのだよ。勝手に作らないこと」


 おっつ、イーサン兄様の指摘はごもっとも。やってしまうところだった。


「イーサン兄様すみませんでした。考えついたのでやってしまおうかと思ってました」


 みんな、一斉にため息をついたね。あとで報告は多分忘れるだろうから、今言ってしまおう。


「今報告します。この辺りにガゼボを作り、その周辺をバラ園と動物の模った樹木をつくります」


「「「動物の模った樹木??」」」


「領地のは丸などの形でしたが、ここは犬や猫や鳥やネズミなどの形をイメージして樹木の形を作るのです。そこは庭師?いますか?庭師に任せたいのですがいますか?」


「庭師はいるぞ」


 良かった、庭師がいて。母様とお祖母様が王都に来た時に喜んでくれる庭園。母様はお花が好きだから、こんな殺風景な庭ではなく心がウキウキするような庭園がいいよね。そうだ、ジュリやよちよち歩きするようになるルーナのために芝生や外で遊ぶ玩具を作ろう。ジュリやルーナと遊ぶためにうんうん、作ろう。よーし。歩く道は兄様達に作ってもらうようお願いした。


「ケビン、また、一人で何を作るか考えているよな?言葉に発して欲しいけど」


「兄様すみません、ジュリやよちよち歩きする頃のルーナが遊べる玩具もここに作ろうと考えたのです。母様とお祖母様が喜ぶ花園とジュリとルーナの遊び場です」


「いいんじゃないか!ルーナがよちよち歩き、可愛いだろうな。ジュリは絶対鍛錬ができる場所だろ?」


 ロナウド兄様、僕は鍛錬場は作らないぞ。


「ブフッ、ケビン、鍛錬場は嫌か?ケビンもガゼボで紅茶やお菓子を食べてる方がいいのだろうなぁ、あははは」


 辺境伯領とゼーファン義兄様が来ている時の鍛錬は尋常じゃなかった。あれは僕に合わないレベルの鍛錬だった。平然とこなすジュリ。ヘトヘトになった僕。ここの鍛錬場は小さくて良い。常駐する騎士達とジュリのためだ。


 僕はお風呂の場所をまず決め、それから門から屋敷までの道を整備してもらった。それから庭園となるところに、小さいガゼボを中心に花園、アーチ、樹木を植えた。ここにバラが咲いたら綺麗だろうなぁ。そして鍛錬場を作っていったというか兄様達土魔法士達に整備してもらった。とりあえず花はこれから咲くだろうし、形だけ整えた。


「なんだかなぁ、あっという間にできてしまうんだよ。あんな殺風景だった土地が見違えるような庭園になったな。門から入った景色が全く違う」


 イーサン兄様の呟きにみんなが賛同していた。いいんだ、母様達とお祖母様が喜んでくれれば。さて、お風呂を作るぞ。


「皆さん、もうお疲れですか?お風呂を作って欲しいのですが?」


 みんな僕を一斉に見て、まだやるのか?と口々に言っている。えっ!お風呂大事だよね?


 まずは騎士達の宿舎のお風呂を改造。洗い場、バスタブを整備してもらい、昔の銭湯のような作りにした。そこにシャワー取り付け完成。なんだこれ?と言われるかもしれないが富士山と桜のタイルを作成した。もちろん富士山の頂には雪。これぞ、銭湯。


「ケビン様、この壁の山と花の絵はなんですか?」


 新人騎士ペトロが興味深げに聞いてきたので、どこかの国の山と花と伝えた。他の国の本を読んだ時に見て綺麗だった記憶があるとだけ伝えた。それ以上は突っ込んでこなかったのでよかった。


「ペトロ、領地と少し違うけど、どうかな?洗い場とシャワーと大きいお風呂」


「サウナ欲しいですね」


「あー、サウナかぁ」


 ちらっとイーサン兄様を見る。チラチラっとイーサン兄様を見る。


「はぁ、ケビン、ペトロ。ローリー副騎士団長が良いと言えば作るよ」


「ホントですか?イーサン様。おれ、いえ私が副団長を説得してきます。サウナの良さを話してきます」


 ペトロ君、きみ、任務放棄か?怒られないか?


「イーサン兄様、多分サウナ、作ることになるのではないですか?」


 ため息をつく兄様。その後、ペトロはローリー副騎士団長を連れてきて、延々とサウナとお風呂の良さを話していた。その後わらわらと騎士団員がやってきた。


「イーサン様、ケビン様、領地のお風呂の話は聞いております。まだ、自分は領地勤務が先なのでぜひお風呂とサウナをお願いしたいです。経験していない団員も半分以上おりますので、ぜひお願いいたします。皆、領地勤務を楽しみにしているのですが、まだまだ先のため残念に思っておりました。できましたらよろしくお願いします」


 騎士団一同、みんながお願いの姿勢だった。そんなに領地のお風呂の噂聞いていたの?どんな噂?


 イーサン兄様はみんなの懇願によりサウナを作っていた。


 タウンハウスに仕える人たちは大喜びだったのは言わずもがな。


 よかった、よかった。母様に見てもらいたいなぁ。でも、母様はいい思い出のない王都には来たくないだろうなぁ。



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