106 王都タウンハウス
駅でフレッド様達と一旦お別れ。フレッド様達は公爵様のタウンハウスに行きこれからのことを伝えるらしい。
僕達はフォーゲリア家のタウンハウスに向かった。王都から少し?だいぶ外れたこじんまりとした邸宅と騎士団達の宿舎、大きい庭がある屋敷。多分商家の方が立派だと思う佇まい。庭が広いが何もない。トレーニング場にいいのか?
ずらりとまではいかないが、執事、侍女、メイド、従者達がお出迎えをしている。
「イーサン様、ロナウド様、ケビン様、おかえりなさいませ」
「「「おかえりなさいませ」」」
執事のビクティが挨拶し、メイド達がそれに倣い挨拶した。
「出迎えありがとう。みんな、小さかった時しか会っていないケビンだ。小さく見えるが、これでも9歳だ。よろしく頼む」
「イーサン兄様、これでも9歳ってひどくないですか?確かに6歳のジュリに体格が抜かされそうですが、ですが、立派な9歳ですよ」
「ふふふ、まぁみんな、ケビンをよろしく頼む。色々聞いていると思うが、ビクティ、そしてルーアン、ケビンの要望を聞いてくれ、頼む。こちらが私の友人で、ケビンの事務次官をすることになったブラッドだ。ここに遊びにきたことがあるか覚えているかな?ブラッドにも部屋を頼む」
「かしこまりました。イーサン様。それでは旅の疲れもございますでしょうからお部屋に案内させていただきます。イーサン様とロナウド様はお部屋を整えてあります。ケビン様とブラッド様のお部屋をご案内いたします」
みんなの後をついて行き、一旦応接室でお茶とお菓子をたべた。
そこにルガリオ達が現れた。
「「「酷いよ、僕たちのお菓子は?」」」
現れちゃった。みんなに見えているんだね。平伏しちゃった。イーサン兄様が慌ててビクティに平伏することをやめさせ、ルガリオ達を紹介した。いつもご飯とお菓子を一緒に食べるので用意して欲しいことを伝えた。
料理長トーマスと、副料理長ランドル兄弟に厨房に入ってもらい、領地の厨房と同じレベルに達してもらうよう頼んだ。
それから僕の部屋に案内してもらった。
こじんまりとした使いやすそうな動線の部屋だ。まだ、こちらの布団は快適綿で作った布団ではないのか。そういえばタウンハウス自体記憶になかったから、全く考えなかった。ごめん、タウンハウスの人たち。よし、ゆっくりお茶したらタウンハウス散策に行こうかなぁ。
「ルーアン、少しゆっくりしたらタウンハウス散策したいなぁ。いいかな?」
「えっ?!もう何かやらかす気ですか?また忙しくなるのですか?」
「やだなぁ、ルーアンくん。やらかすってなんだね。きみきみー、僕はいつもやらかすことなんては考えていないよ。ひどいなぁ」
「少しお待ちください。イーサン様とビクティ叔父上に聞いて参ります」
颯爽と行ってしまったよ。
そうだルッツに聞いてみよう。
「ルッツ、いる?」
「今、ビクティにお菓子もらっていたのにー、なぁに」
「ごめんごめん、ルッツ、ここって温泉出る?」
「うーん、あー、あるよ。うん、大丈夫。ここも温泉作る?」
「うん、みんなお疲れのようだから作って欲しいかなぁ。あっでも、あの金色の粉は撒かなくていいよ。ここは王都だから、僕たちの敷地は本当にここだけだから、粉は撒かなくていいよ」
「ここだけでいいんだね、わかった」
いやいや、ここだけって、まぁ、うちの土地だからここだけでいいけど、まぁいっか。
イーサン兄様とロナウド兄様がやルーアン、ビクティを伴ってやってきた。
「ケビン、もう少しゆっくりしようという気がないのか?」
「これからゆっくりしたら散策ですよ。タウンハウスがどんなのか気になるじゃないですか。でも温泉は作ることにしました。それにルッツ達に金の粉を王都では振り撒かないようにお願いしたら、ここの屋敷だけ巻くそうです。あと快適綿でみんなのお布団作らないといけなかったですね。タウンハウスの記憶がなかったので、全く気にしていなくすみませんでした。湯船を兄様達に作ってもらい、僕が施設を建てるのでよろしくお願いします」
矢継ぎ早にこれからの計画を伝えた。
「「「は?」」」
「ルーアン、木材を用意できるかな?」
「は、はい、それはいつでも無茶振りで作れるようにマジックバッグに大量に収納しております」
無茶振りって、酷いな。
「さすがルーアン、僕の従者はよくわかっているね」
床とお友達になっているルーアン、大丈夫か?
「ケビン、温泉はありがたいが、作るのか?今からだよなぁ」
イーサン兄様は渋々了解した?感じかなぁ。
「そうですねぇ、疲れていたら明日からでもいいですが、明日は王都の商会とする予定のランドルフの伯父さんのところに行くのですよね?そこで先に出発していたランドルフと母メメルさんと合流。明日は明日で忙しいですよね?」
「イーサン兄様、しょうがないですよ、ケビンですから。私が風呂の方を作ります」
ロナウド兄様が魔法で作ってくれるんだ。やったね。それからビクティも練習をしたいといって参加することになった。その他に土属性の魔法士と騎士達が参加することになった。ここで配属になっている騎士達は、領地とタウンハウスを周期ごとで転属になっているので、僕と初めて顔合わせする騎士、魔導士達が半数いた。噂を聞いているので興味津々といったところだ。失敬な!
「ケビンどうする?領地と同じ、貴族用、従業員用、騎士団達用、女性用に分けるか?」
「そうですね、騎士団と魔導士達の宿舎を見てから考えます。人数が少ないので、領地よりは小さいのを作った方がいいですかね?」
わけ知り顔の騎士や魔導士達はニヤニヤしている。新人騎士のペトロだ。
「ケビン様、あの温泉を作るのですか?ご飯は今日から美味しい料理になるのですか?」
「ペトロ、今タウンハウスに配属になっているんだね。料理は料理長のトーマスと、副料理長のランドルを連れてきたから、領地と同じレベルにしてもらうよ」
「やったぁ、ケビン様、ケビン様が来るのを楽しみにしていたのですよ。自分、領地でもたくさん美味しいものや温泉に入りましたから、やり方を伝授できます。今から楽しみです」
みんな嬉しそうな顔をされると期待に応えないといけないなぁ。頑張るぞ!




