105 やっと王都に向かう
僕はその後、競馬場、厩舎、パドックとその周辺の模型並びに色々な宿泊施設の模型、マスコット、バッジなどを作りギルドと話し合って欲しいと伝えた。
ゴミ箱を常駐させ、ゴミに捨てる習慣、ゴミ掃除をする人を必ず置くことを伝えた。綺麗な街をイメージさせれば、来訪する人による印象は良くなることを力説した。スライム付きトイレも多く設置することを提言した。
寄子にも話をし、喜んで参加すると返事をもらったらしい。出資もしてくれるので大々的なお祭りになりそうな気がする。競馬場を大きくしないとダメか?
とりあえずどれだけの人数が見込まれるか人数把握をお願いした。これから東地域のアンジュ様のご実家に行くので競馬計画を話し参加するかどうか聞く人するとのことだ。もしかしたら母様の兄様である王太子殿下や第二王子もお忍びで来るかもしれないと衝撃なことを教えてもらった。それほど馬好きはいるみたいだ。これはライアン様にお任せだ。
なぜか温泉施設だけは先に作って欲しいと言われ、公爵家に温泉を引いた。公爵家用、従業員用、騎士団用を作って喜ばれた。言わずもがな、傷が治ったとさ。
傷が治ったことに皆驚き、ここでも契約魔法で緘口令。
そしてやっとやっと王都経由東地域へ行ける。何日かかったんだ?公爵領滞在一週間。その間、競馬、お祭り、競馬、お祭りと案を出し計画書を作った。あとは帰ってきたらまたとなった。またあるのか。
駅でライアン様、ステファン様、父様、お祖父様と別れた。
「行ってきます。初めての魔導列車楽しみです。ライアン様、公爵家の個室を貸していただきありがとうございます」
「ケビン、くれぐれもくれぐれもやらかさないようにな。東地域の皆さんに迷惑かけないようにな、頼むぞ。フレッド様、イーサン、ロナウド、ルーアン、ブラッド、頼むぞ。本当に頼んだぞ」
父様、心配性だなぁ。みんな苦笑いしかせず、返事していないなぁ。しょうがない、俺が返事をしよう。
「父様、いつも言ってますが、大丈夫です。置物のように静かにしています。あら?いたの?と思われるぐらいの気配を消します。ケビンくんは大人しくて、静かでいい子ねぇ、と言われますよ。任せてください」
みんなため息しかつかないね。なぜだ!
「みんな頼んだぞ!」
父様、僕の言ったことはスルーですかーい。
気を取り直して、魔導列車だ。そして王都経由東地区へ行くぞ。
魔導列車はSLのようなものだった。客車が公爵様用の客車だった。広々だなぁ。サロンのようなソファがあり、執務室があり、飲み食いできるテーブルがある。
「フレッド様、これが公爵様の専属客車なのですね。ゆったりしていていいですね。一般車は座席が狭いので、ここは快適です」
「そうだな、ロナウド。王都に商会を立ち上げたら、父上に言ってここを借りることにしよう。フォーゲリア伯爵家が協力してくれるからうちの公爵家がより繁栄することは間違いない。王家やあの宰相に何も言わせない!」
「聞きにくいことですが、やはりうちの両親の結婚を支援したことによって、宰相率いる派閥と仲が悪くなったのですか?」
僕は心配で聞いてしまった。あの南地域の宰相、ゆるさーん。
「もともと仲が悪かったんだよ。今に始まった事ではない。父には父のやり方があって、それがあの宰相と合わないだけだよ。君たちが気にすることはないよ」
今の王族派は南地域のボロレス公爵の派閥。王族がついているので勢いがある。北のスティングレイ辺境伯はうちの姉が嫁いだことにより友好関係にある。東地区はフレッド様の奥様アンジュ様のご実家オルコット侯爵家がある。
ステファン様の奥様は寄子のケルントイック侯爵様のご令嬢アニーベル様。アンジュ様と一緒に美容に力を注いでいただいているバイタリティ溢れる女性だった。ボールドウェッジ公爵家はやり手ばかりだ。公爵家が表立ってくれればフォーゲリア家が目立たなくていい。ありがたい。
「ケビン、何ニヤニヤしているんだ。面白いことがあったか?」
イーサン兄様に指摘され、公爵を盾にすればフォーゲリア家が目立たなくていいと言ったら呆れられた。
「大いに公爵家を使ったら良い。父上や兄上が頑張ってくれるだろう、あははは」
フレッド様も丸投げですか?そうですね、公爵家の影に隠れてやらかしましょう。
「また、ケビン、ニヤニヤしているよ、全く。少しは自重しろよ」
「イーサン兄様、わかってますよ」
本当かよ!ってみんなに笑われた。フレッド様が僕達三人の方を見て真剣な眼差しで礼を言ってきた。
「本当にありがとう。公爵家と共に歩んで欲しい。私はフォーゲリア家のために盾になりそして力となりたい。これからもよろしく頼む」
「「「こちらこそよろしくお願いします」」」
それからご飯を食べ、東地域で何をしたいか聞かれた。
「東地域に行って魚介類を食べたいのです。そしてうちに卸してもらえるように交渉します。マジックバッグも渡します。それほど魚が食べたいです」
ロナウド様とアンジュ様が僕の勢いに若干引いていた。
「ケビン君、そんなに魚介類が美味しいってほどもないわよ。私は臭みがあって、骨もあるでしょ、だからあまり好きではないのよ。ケビン君、魚に対して幻想を壊したごめんなさいね」
獲った後、しめていないのか?干物は?ホタテ、昆布、エビを干したら美味しい出汁が作れるのだよ?
この世界、みんなどんな魚料理を食べているのだ?
そうこうしている間に王都へ到着。人がいっぱいいる。人酔いしそう。久々の人がひしめいている光景。
王都に到着。これから王都のタウンハウスへ向かう。小さい時に何度か行ったタウンハウス。全く覚えていなかった。
「イーサン兄様、ロナウド兄様、タウンハウスの記憶が全くないのです」
「そうだな、ケビンは小さい時に行っただけだからな。覚えてのはしょうがないよ。はっ、おまえ、内装変える気か?」
「不便なら変えたいですね。温泉引けるかな」
みんな余計疲れ切った顔して僕を見るのはやめてくれ。
「タウンハウスの執事はトリニティの弟、ビクティだ。もうお触れと契約魔法はしているだろうがやりすぎるなよ」
どれだけ契約魔法をしているのだ?僕のせい?




